舟渡国際法律事務所

「仮放免中でも働ける」という誤解|就労禁止の意味と再収容のリスク

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「仮放免中でも働ける」という誤解|就労禁止の意味と再収容のリスク

「仮放免中でも働ける」という誤解|就労禁止の意味と再収容のリスク

2026/08/25

本記事の要点

  • 仮放免は収容を一時的に解く措置にすぎず、在留資格は回復しません。就労は認められません。
  • 仮放免中に働けば、仮放免の取消しと再収容につながり、退去強制手続での評価も悪化します。
  • 雇用した側は入管法24条3号の4の不法就労助長を問われます。行為があれば該当し、刑事処罰を要しません。
  • 監理措置でも就労が当然に認められるわけではなく、何が許されるかは個別の決定の内容によります。
  • 入管法50条2項は収容令書により収容されている者と監理措置決定を受けた者に申請権を認めています。

仮放免で施設から出られたとき、多くの方が直面するのが生活費の問題です。そこで「仮放免になったのだから少しくらい働いても構わないのではないか」という考えが生まれます。しかしこの判断は、それまで積み上げてきたものを一度に失わせる危険を持っています。

本記事は、仮放免中のご本人と生活を支えているご家族、そして雇用を検討されている事業者の方に向けたものです。

どこまでが正しく、どこから誤りか

正しいのは、仮放免によって身体の自由が回復する点です。収容施設から出て自宅や親族のもとで生活でき、通院も家族との日常も取り戻せます。仮放免を得ることには大きな価値があります。

誤りは、仮放免を在留資格の回復と同視する点です。退去強制手続は進行しており、在留資格が与えられたわけではないため就労は認められません。住居や行動範囲の制限、定期的な出頭義務といった条件が付されるのが通常で、違反すれば仮放免は取り消され、再び収容される可能性があります。入管法50条5項は考慮要素を法定化しており、素行や本邦における生活の状況が評価対象に含まれます。条件に反して就労した事実は不利に働きます。

監理措置も同様です。監理人が選任され届出等の義務が課されますが、就労が当然に認められるわけではありません。何が許されるかは個別の決定の内容によりますので、決定書の記載を弁護人と確認してください。

想定される刑事手続の流れ

仮放免中の就労が発覚した場合、入管法上の対応にとどまらず刑事事件として立件されることもあります。逮捕されると、警察は48時間以内に事件を検察官に送致し、検察官は24時間以内に勾留を請求するか判断します。この72時間が最初の分岐点で、会えるのは弁護人だけです。勾留決定後は原則10日、延長でさらに10日の身柄拘束が続き、その終わりに起訴・不起訴が判断されます。

この段階では、なぜ働かざるを得なかったのかという事情を含め、事案の全体像を示す必要があります。生活の困窮や雇用主側からの働きかけは違法性を消しませんが、処分の判断で考慮されるべき事実です。

外国人事件特有のリスク

退去強制事由は入管法24条に号ごとに定められています。仮放免中の方に関係する号を正確に区別してください。

  • 24条4号ロ:不法残留。仮放免中の方の多くは、この号を含む事由で手続が進行中です。4号イ:資格外活動の専従。4号ヘ:資格外活動の罪により拘禁刑に処せられた者。就労の態様によってはこれらの号が新たに問題となります。
  • 24条3号の4:不法就労助長。雇用した側の問題であり、行為があれば該当し、刑事処罰を要しません。事業者は、刑事事件にならなくても在留を失う可能性があります。
  • 24条4号リ:ニからチまでに掲げる者のほか、無期又は1年を超える拘禁刑に処せられた者。但書により刑の全部の執行を猶予された者は除外され、一部猶予でも実刑部分が1年以下なら除外されます。
  • 24条4号チ:薬物関係の有罪。有罪判決のみで足り、罰金でも、刑の全部の執行を猶予されても、刑を免除されても該当します。柱書で4号リから除かれた別枠です。24条4号の2は一定の重大犯罪の列挙で、危険運転致死傷(自動車運転死傷処罰法2条・6条1項)の罪も加えられています。

在留資格がある方でも、資格外活動の範囲を超えた就労は在留資格の取消し(入管法22条の4)や在留期間更新の不許可(同21条)につながります。さらに、退去強制事由の該当性判断に故意・過失を要しないという実務が長く維持されてきました。当事務所は、この実務に対し責任主義の射程を問う訴訟を提起し、上訴審まで争ってきました。雇用主の説明を信じて働いた方が認識の有無を問われないまま該当すると判断される、その構造への問題提起です。

不起訴処分の重要性

仮放免中の就労が刑事事件化した場合、不起訴処分を得られるかが決定的です。有罪判決が存在すれば、4号ヘのように拘禁刑を要件とする号や4号リの適用可能性が現実の問題になります。不起訴であればこの議論は生じず、在留特別許可の判断でも刑事処分を受けていない事実は有利に働きます。

具体的には、検察官との面談で就労に至った経緯と生活状況を説明すること、雇用の実態が継続的・組織的でなかった場合にその点を資料で示すこと、家族や支援者による今後の生活支援の体制を提示することです。

初動対応の3つのポイント

第一に、黙秘権の行使です。黙秘を理由に不利益な取扱いを受けることはありません。就労の期間、頻度、報酬額は量刑にも入管の判断にも直結します。記憶が曖昧なまま概括的に認めると、実態より重い前提が固定されます。

第二に、早期の弁護人選任です。国選弁護人は勾留決定後に付き、72時間に動けるのは私選弁護人だけです。

第三に、通訳の質です。捜査機関が指定する通訳人は捜査手続を進めるために呼ばれ、依頼者の利益のために補足したり誤解を指摘したりする立場にありません。依頼者本人のために動く通訳は、弁護人と一体となって本人の意図を伝えます。手伝ったのか雇われていたのかという区別は、訳語ひとつで意味が変わります。

当事務所のご案内と解決事例

  • 冤罪により不法就労助長罪に問われ強制退去の危機にあった女性の事案。従来の実務に対し責任主義の射程を問う訴訟を提起し上訴審まで争いました。その後、入管から在留特別許可が認められています。
  • 過去の逮捕報道・前科報道の削除に成功した事例があります。在留資格を回復した後、報道が検索結果に残って就労が妨げられる場面は現実に存在します。

当事務所では、松村大介弁護士が初動接見から公判の結審まで全工程を直接担当し、事務員や若手弁護士による代行は行いません。外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐し接見にも同行します。刑事手続後の在留資格は提携行政書士のサポートによりワンストップで対応できます。

結語

仮放免中に働けないという制限は、生活の実感からすれば厳しいものです。しかし制限を破る代償は収入に見合いません。就労できない期間をどう乗り切るかは、弁護人と一緒に設計すべき課題です。

本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。

過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

執筆者

弁護士 松村大介/第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録/舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田)。注力分野は外国人刑事弁護、入管(退去強制・在留特別許可)、行政訴訟です。最終更新:2026年8月。

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网站:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119

本記事の中国語版(简体字)はこちら

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