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退去強制手続の流れ|違反調査から異議の申出まで、どの段階で何を主張できるか

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退去強制手続の流れ|違反調査から異議の申出まで、どの段階で何を主張できるか

退去強制手続の流れ|違反調査から異議の申出まで、どの段階で何を主張できるか

2026/08/24

本記事の要点

  • 退去強制手続は、入国警備官による違反調査、入国審査官による違反審査、特別審理官による口頭審理、法務大臣に対する異議の申出という段階を踏みます。
  • 認定に対する口頭審理の請求は3日以内、判定に対する異議の申出も3日以内という極めて短い期限が定められています。
  • 認定や判定に服する旨の書面に署名すると、その先の段階に進む機会を自ら放棄することになります。
  • 在留特別許可は原則として異議に対する裁決の場面で検討され、退去強制令書が発付された後は申請ができません(入管法50条3項)。
  • 収容令書により収容されている方と監理措置の決定を受けた方には、在留特別許可の申請権が定められています(同条2項)。

入管から呼出しを受けた、あるいは家族が入国警備官に収容された。そのとき最も多く聞かれるのが「これからどうなるのか」という問いです。

退去強制手続は公開の法廷で行われるものではないため、外から流れが見えにくく、気づいたときには争う機会が閉じていたという事態が起こりがちです。この記事では各段階を順に追いながら、そこで何を主張でき、何をしてはいけないのかを整理します。

手続の四つの段階

第一段階は違反調査です。入国警備官が、退去強制事由に該当する疑いがあると考えたときに事情聴取や関係先の調査を行います。ここで作成される供述調書が、以後の手続全体の土台になります。

第二段階は違反審査です。入国審査官が退去強制事由への該当性を判断し、該当すると認めれば認定をします。本人が認定に服する旨の書面に署名すると直ちに退去強制令書が発付され、口頭審理も異議も行われません。早く出たいから、争っても無駄だと言われたからという理由で署名し、在留特別許可を求める機会を失う例が後を絶ちません。

  • 第三段階は口頭審理です。認定の通知を受けた日から3日以内に請求し、特別審理官の前で意見を述べ、資料を提出できます。
  • 第四段階は異議の申出です。判定の通知を受けた日から3日以内に法務大臣に対して申し出ます。
  • 異議に理由がないと裁決されれば、主任審査官が退去強制令書を発付します。在留特別許可はこの裁決の場面で検討されます。

想定される刑事手続の流れとの接続

刑事事件を契機として退去強制手続に入る場合、両者は連続しています。逮捕されると48時間以内に検察官へ送致され、24時間以内に勾留請求の可否が判断されます。逮捕から72時間で身体拘束の枠組みが決まり、勾留は原則10日、延長で最長20日です。ここで不起訴を得られるか、起訴されるか、どのような判決を受けるかが、そのまま退去強制事由の有無を左右します。

外国人事件特有のリスク

退去強制事由は入管法24条に列挙され、号ごとに要件が異なります。4号ロは在留期間を経過した不法残留、4号イは在留資格に応じた活動を行わず他の収入を伴う活動を専ら行っている場合、4号ヘは資格外活動の罪により拘禁刑に処せられた場合、4号ハは人身取引等に関わった場合です。4号リは無期または1年を超える拘禁刑に処せられた者を対象としますが、但書により刑の全部の執行を猶予された者は除かれ、一部執行猶予でも実刑部分が1年以下であれば除かれます。

これに対し4号チは薬物関係の有罪判決を対象とし、罰金でも執行猶予でも刑の免除でも該当します。4号リの柱書から除かれているため、薬物事犯は別枠の扱いです。4号の2は危険運転致死傷などの重大犯罪を列挙し、3号の4は不法就労助長で行為があれば足り刑事処罰は要件ではありません。手続に入る前の段階では、在留期間更新の不許可(入管法21条)や在留資格の取消し(入管法22条の4)も現実的なリスクです。なお当事務所は、退去強制事由の判断に故意・過失を要しないとされてきた実務に対し、責任主義の射程を問う訴訟を提起し上訴審まで争ってきました。

不起訴処分の重要性

執行猶予判決であれば在留は安全だという理解は誤りです。薬物事犯であれば執行猶予でも4号チに当たり、退去強制手続は始まります。退去強制事由に当たらない罪であっても、有罪判決の事実は在留期間更新の裁量審査で重く見られます。起訴前に不起訴処分を得ることが、在留を守る最も確実な方法です。

  • 担当検察官との面談を申し入れ、事案の実態、生活基盤、家族関係を直接説明する

初動対応の3つのポイント

第一に、黙秘権の行使です。刑事手続における黙秘は権利であり、行使したこと自体が不利益に扱われることはありません。入管の違反調査では権利の構造が異なりますが、記憶が不確かな事項について推測で答えないという原則は共通です。入国の経緯、在留の目的、就労の内容は、後の在留特別許可の判断に直結します。

第二に、早期の弁護人選任です。不服申立ての期限は3日と極めて短く、収容されている状態で本人が独力で対応するのは困難です。ご家族から早期にご依頼いただければ、期限管理と資料準備を並行して進められます。

第三に、通訳の質です。捜査機関や入管が手配する通訳人は、その機関の手続のために選ばれた通訳であり、依頼者のために動く立場ではありません。家族関係、在留の経緯、帰国後に予想される事情は、微妙なニュアンスが結論を左右します。当事務所には外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐しています。

当事務所のご案内と解決事例

舟渡国際法律事務所では、弁護士 松村大介が初動の接見から公判の結審まで全工程を直接担当し、事務員や若手弁護士が代わりに接見することはありません。中国語専属通訳が常駐し、提携行政書士による在留資格サポートにより、刑事手続後の在留資格手続までワンストップでご対応します。

  • 観光目的で来日した後に日本人女性との間にお子さまを授かり、在留資格を失って不法滞在で起訴された事案。婚姻と認知を成立させ、国籍国の公的書類がほとんど無い状況で有利な証拠を集め、1回の申請で在留特別許可を獲得しました。
  • 冤罪により不法就労助長罪に問われ強制退去の危機にあった女性の事案。責任主義の射程を問う訴訟を提起して上訴審まで争い、その後入管から在留特別許可が認められています。
  • 覚醒剤取締法違反(営利目的所持)で起訴された依頼者について、徹底的な証拠分析と被告人質問・反対尋問により無罪判決を獲得しました。退去強制事由の該当性そのものを断つ結果となりました。

おわりに

退去強制手続は、進むにつれて選択肢が減っていく手続です。違反審査で認定に服せば口頭審理はなく、退去強制令書が発付されてしまえば在留特別許可の申請はできません。逆に言えば、早い段階であるほど、主張し、資料を出し、判断を受ける機会が残されています。呼出しの通知が届いた時点、家族が収容された時点で、まずご相談ください。

本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。

過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

執筆者

弁護士 松村大介(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)。舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田)。注力分野は外国人刑事弁護、入管手続(退去強制・在留特別許可)、行政訴訟。最終更新:2026年8月。

舟渡国际法律事务所
网站:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119

本記事の中国語版(简体字)はこちら

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