舟渡国際法律事務所

所属機関等に関する届出義務(入管法19条の16)|転職・退職・離婚を14日以内に届け出る

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所属機関等に関する届出義務(入管法19条の16)|転職・退職・離婚を14日以内に届け出る

所属機関等に関する届出義務(入管法19条の16)|転職・退職・離婚を14日以内に届け出る

2026/08/24

本記事の要点

  • 就労資格の方は、勤務先の名称・所在地の変更、勤務先の消滅、契約の終了、新たな契約の締結を14日以内に地方出入国在留管理局へ届け出ます。
  • 留学等の方は教育機関の変更等を、配偶者としての身分に基づく資格の方は離婚・死別を、いずれも14日以内に届け出ます。
  • 届出を怠れば罰則の対象となり、虚偽の届出は拘禁刑を含む刑罰の対象になり得ます。
  • 就労資格で正当な理由なく一定期間活動していない場合や、配偶者としての活動を長期間行っていない場合は、在留資格の取消し(入管法22条の4)が問題となります。
  • 不法就労助長(入管法24条3号の4)は行為があれば該当し、刑事処罰を受けたことは要件ではありません。受入れ企業側は特に注意が必要です。

転職した、会社が倒産した、契約が更新されなかった、離婚が成立した。いずれも生活上の大きな出来事であり、目の前の対応に追われるうちに入管への届出が後回しになりがちです。

しかし入管法19条の16は、これらの事実を14日以内に届け出ることを義務づけており、この期限は生活の混乱を理由に延びるものではありません。この記事は、就労資格で働く中国籍の方、勤務先の人事担当者、配偶者としての在留資格で暮らす方に向けた整理です。

誰が、何を、いつ届け出るのか

届出義務を負うのは中長期在留者ですが、内容は在留資格の類型によって異なります。技術・人文知識・国際業務、経営・管理、特定技能、高度専門職など契約に基づいて活動する資格では、契約機関の名称・所在地の変更、機関の消滅、契約の終了、新たな契約の締結が対象です。留学・研修など教育機関に所属する資格では、機関の変更や離脱が対象となります。家族滞在、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等では、離婚または死別が対象です。

  • 届出先は地方出入国在留管理局で、持参・郵送・電子届出システムのいずれでも行えます。

想定される刑事手続の流れ

逮捕から48時間以内に検察官送致、そこから24時間以内に勾留請求という流れがあり、逮捕から72時間で勾留の可否が決まります。この72時間のうちに弁護人が接見し、供述の方針を固められるかどうかが結論を左右します。会社側の担当者が同時に取り調べられている事案では、双方の言い分が食い違ったまま調書化されることを避けなければなりません。

外国人事件特有のリスク

届出義務違反は入管法24条の退去強制事由そのものではありません。危険なのは在留資格の取消し(入管法22条の4)です。同条は、就労資格の方が正当な理由なく一定期間その活動を行わずに在留していること、配偶者としての身分に基づく資格の方が正当な理由なく配偶者としての活動を行っていないこと、偽りその他不正の手段により許可を受けたことなどを取消し事由としています。転職先が決まらないまま数か月が過ぎた、離婚後も届け出ずに在留を続けたという状況は、まさにこの射程に入ります。

入管法24条の側では次の各号が問題になり得ます。4号イは在留資格に応じた活動を行わず他の収入を伴う活動を専ら行っている場合で、資格外の仕事に事実上専従していた事案が該当します。4号ヘは資格外活動の罪により拘禁刑に処せられた場合です。4号リは無期または1年を超える拘禁刑に処せられた者ですが、但書により刑の全部の執行を猶予された者は除かれます。4号チは薬物関係の有罪判決を対象とし、罰金でも執行猶予でも該当します。そして3号の4は不法就労助長で、不法就労をさせた行為そのものにより該当し、刑事処罰は要件ではありません。役員や管理者が外国籍の会社では、刑事処分がなくてもこの号による手続開始があり得ます。なお当事務所は、退去強制事由の判断に故意・過失を要しないとする従来の実務に対し、責任主義の射程を問う訴訟を上訴審まで争ってきました。

不起訴処分の重要性

虚偽届出や偽造文書行使の事案で有罪判決を受ければ、在留の見通しは一気に厳しくなります。執行猶予が付いても在留期間更新(入管法21条)の裁量審査で不許可となる可能性は高く、更新が認められなければ結局は在留を失います。起訴前に不起訴処分を得ることが決定的です。

  • 届出の遅れや不備が生じた経緯と、故意の不正が存在しないことを資料で説明する
  • 雇用契約書、給与明細、勤務実績、社会保険の記録など実態を示す資料を体系的に提出する

初動対応の3つのポイント

第一に、黙秘権の行使です。会社の実態や指示系統について確認しないまま推測で答えると、その推測が事実として調書に残ります。分からないことは分からないと述べるか、弁護人と協議するまで述べないという選択を守ってください。

第二に、早期の弁護人選任です。会社と従業員の双方に捜査が及ぶ事案では利益が対立する場面があり、誰の立場で誰が弁護するかを早期に整理する必要があります。当事務所では初回のご相談でこの構造を確認し、方針を定めます。

第三に、通訳の質です。捜査機関が指定する通訳人は捜査のために選ばれた者であり、依頼者のために動く立場にはありません。雇用契約の内容、指揮命令の実態、報酬の支払方法は日本語と中国語で対応する語がずれやすく、誤訳が実態認定を歪めます。当事務所には外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐しています。

当事務所のご案内と解決事例

舟渡国際法律事務所では、弁護士 松村大介が初動の接見から公判の結審まで全工程を直接担当し、事務員や若手弁護士による代行は行いません。中国語専属通訳が常駐し、提携行政書士による在留資格サポートにより、刑事手続後の在留資格変更や更新まで一貫してご対応します。

  • 冤罪により不法就労助長罪に問われ強制退去の危機にあった女性の事案。退去強制事由に故意・過失は不要とする従来の実務に対し、責任主義の射程を問う訴訟を提起して上訴審まで争い、その後入管から在留特別許可が認められています。
  • 虚偽の株主総会決議により代表取締役を解任されたとされる事件で、東京地方裁判所・東京高等裁判所のいずれにおいても勝訴しました。法人の実体と意思決定の経緯を丹念に立証した事案です。
  • 取り込み詐欺の被害に遭った卸業の依頼者について、刑事告訴を端緒として相手方を特定し、7,500万円の解決金を獲得しました。取引記録の分析と関係先の調査を積み重ねた事案です。

おわりに

届出義務は、在留資格を持つ方と受入れ企業の双方に課された在留管理の基礎的な約束事です。届け出なかったこと自体が直ちに退去強制を招くわけではありませんが、届け出ていなかった期間の生活実態が問われる場面は必ずやってきます。届出漏れに気づいたときは、隠すのではなく、経緯を整理した資料とともに速やかに届け出ることが結果として最も在留資格を守ります。

本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。

過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

執筆者

弁護士 松村大介(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)。舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田)。注力分野は外国人刑事弁護、入管手続(退去強制・在留特別許可)、行政訴訟。最終更新:2026年8月。

舟渡国际法律事务所
网站:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119

本記事の中国語版(简体字)はこちら

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