舟渡国際法律事務所

日本人の配偶者等と刑事事件|別居・離婚と6か月要件、在留特別許可の実際

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日本人の配偶者等と刑事事件|別居・離婚と6か月要件、在留特別許可の実際

日本人の配偶者等と刑事事件|別居・離婚と6か月要件、在留特別許可の実際

2026/08/24

本記事の要点

  • 日本人の配偶者等は就労制限のない身分系の在留資格ですが、婚姻の実体が失われた瞬間に土台が消えるという弱さを併せ持ちます。
  • 配偶者としての活動を継続して6か月以上行っていない場合、正当な理由がなければ在留資格の取消し対象となりえます(入管法22条の4)。この6か月の類型は、日本人の配偶者等と永住者の配偶者等に特有のものです。
  • 身柄拘束による別居がこの6か月に数えられてしまわないよう、正当な理由の存在を早い段階で説明しておく必要があります。
  • 薬物事犯は罰金でも刑の全部の執行猶予でも退去強制事由に該当し、日本人と婚姻していることは適用を妨げません。
  • 在留特別許可の考慮要素は法律に定められており(入管法50条5項)、日本人配偶者や実子との関係は重要な事情として主張できます。

日本人の配偶者として在留しておられる方が刑事事件の当事者になったとき、問題は刑事手続だけにとどまりません。事件をきっかけに夫婦関係が悪化し、別居や離婚に至れば、在留資格の土台そのものが失われるからです。

この資格は就労の制限がなく、安定しているように見えます。しかし、その安定は婚姻の実体に支えられています。本記事では、婚姻の実体という視点から、刑事事件がどこに効いてくるのかを整理します。

逮捕から起訴・不起訴までの流れ

逮捕後、警察は48時間以内に検察官へ送致し、検察官は24時間以内に勾留請求の可否を決めます。合計で最大72時間。この間に弁解の内容と調書の骨格が固まります。配偶者間のトラブルが端緒となる事件では、通報の直後に作られる供述が、その後の見立てを大きく左右します。

勾留は原則10日、延長でさらに10日です。この間、配偶者との連絡が途絶えることが多く、接見禁止が付けば手紙のやりとりもできません。誤解が解けないまま時間が過ぎ、離婚の決意が固まってしまうことがあります。弁護人が早期に入る意味は、刑事の結論だけでなく在留の帰趨にも及びます。

この在留資格に固有のリスク

まず退去強制事由です。入管法24条4号リは無期又は1年を超える拘禁刑に処せられた者を対象としますが、但書により刑の全部の執行を猶予された者は除外されます。同条4号チの薬物関係の有罪は、罰金でも執行猶予でも刑の免除でも該当し、日本人と婚姻していることは適用を妨げません。同条4号の2は危険運転致死傷などの重大犯罪を列挙しています。

次に取消しです。入管法22条の4には、日本人の配偶者等または永住者の配偶者等の在留資格をもって在留する者が、配偶者としての活動を継続して6か月以上行っていない場合という類型があります。正当な理由がある場合は除かれますが、身柄拘束による別居、あるいは事件後の一時的な別居が、この6か月に組み込まれてしまう危険があります。配偶者からの暴力を避けるための別居のように、正当な理由が認められる典型もありますので、事情を早い段階で書面に残しておくことが有効です。なお、この6か月の類型は身分系の資格に特有であり、家族滞在などの別表第一の資格に適用される3か月の類型とは別のものです。

離婚に至った場合、在留資格の基礎が失われますので、定住者への変更などを検討することになります。ここでは婚姻期間、お子さまの有無と監護の実態、日本での生活の定着度が判断材料になり、素行も併せて見られますから、不起訴で終えられているかどうかが結論に直結します。退去強制事由の判断に故意・過失を要しないとされてきた実務に対しては、当事務所が責任主義の射程を問う訴訟を提起し、上訴審まで争ってまいりました。

不起訴処分と在留特別許可

この資格の方の事案では、不起訴を取ることに加え、仮に退去強制手続に進んだ場合の在留特別許可を見据えた準備が必要です。在留特別許可の考慮要素は法律に定められており(入管法50条5項)、家族関係や生活の実態が正面から評価されます。他方、無期又は1年を超える拘禁刑の実刑に処せられた者などについては加重された要件が設けられています(同条1項但書)。

配偶者が被害者となる事件では、示談交渉は同時に夫婦関係の再構築の作業にもなります。弁護人が一方的に謝罪を迫る進め方をすれば、かえって関係を壊します。通訳を介して双方の事情を丁寧に聴き、宥恕の意思が本心から出たものであることを確認して書面化します。検察官には、婚姻の経緯、生活の実態、お子さまの状況、再発防止のために整えた環境を意見書で示します。

初動対応の3つのポイント

第一に、黙秘権の行使です。夫婦間の出来事は、どちらの視点から語るかで印象が大きく変わります。感情が高ぶった状態での説明は避け、弁護人と整理してから話す判断が合理的です。

第二に、早期の弁護人選任です。国選弁護人は原則として勾留決定後に付き、最も重要な72時間が空白になりがちです。配偶者との関係修復の余地は、時間が経つほど狭くなります。

第三に、通訳の質です。捜査機関が指定する通訳は捜査手続のために置かれ、依頼者のために訳の当否を争う立場にはありません。依頼者本人のために動く通訳であれば、夫婦間で交わされた中国語の言い回しや感情表現の強弱を弁護人に伝えられます。強い口調に聞こえた言葉が、実際には日常的な物言いであった例は少なくありません。

当事務所のご案内と解決事例

舟渡国際法律事務所では、弁護士松村大介が初動接見から公判結審まで全工程を直接担当します。事務員や若手弁護士による代行はいたしません。外国人事件に精通した中国語の専属通訳が常駐し、刑事手続後の在留資格は提携行政書士とともにワンストップで対応いたします。

  • 観光目的で来日し日本人女性との間に子を授かったものの在留資格を失い、不法滞在で起訴された事案では、婚姻と認知を成立させ、国籍国の公的書類がほとんど無い状況下で有利な証拠を集め、1発で在留特別許可を獲得しました。身分関係の立証が困難な事案の実例です。
  • 冤罪により不法就労助長罪に問われ強制退去の危機にあった女性の事案では、退去強制事由に故意・過失は不要とする従来の実務に対し、責任主義の射程を問う訴訟を提起して上訴審まで争いました。その後、入管から在留特別許可が認められています。
  • ストーカー被害者の代理人として、解決金1,000万円を獲得した事例があります。配偶者や交際相手との関係が問題となる事案では、被害者側の立場からの対応経験も有しています。

おわりに

日本人の配偶者等という資格は、婚姻の実体に支えられています。刑事事件は、その実体を内側から崩す力を持ちます。だからこそ、刑事弁護と並行して、夫婦関係をどう扱うか、別居が続く場合に正当な理由をどう説明するかを早い段階で設計しておく必要があります。

本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。

過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

執筆者

弁護士 松村大介(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)。舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田)。注力分野は外国人刑事弁護、入管手続(退去強制・在留特別許可)、行政訴訟。最終更新:2026年8月。

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网站:https://matsumura-lawoffice.jp/
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本記事の中国語版(简体字)はこちら

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