舟渡国際法律事務所

差入れを中国から日本へ|現金・衣類・書籍の実務

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差入れを中国から日本へ|現金・衣類・書籍の実務

差入れを中国から日本へ|現金・衣類・書籍の実務

2026/08/23

本記事の要点

  • 中国から国際郵便で施設へ直接送る方法はうまくいかないことが多く、日本国内の弁護人や知人を経由するほうが確実です。
  • 現金は領置金として扱われ、本人が日用品の購入に使えます。最も汎用性の高い差入れです。
  • 衣類には枚数や形状の制限があり、ひもや金具のあるものは受け付けられないことがあります。
  • 中国語の書籍は内容の確認に時間がかかり、制限されることがあります。運用は施設により異なります。

身柄を拘束された方にとって、外の世界とのつながりを実感できる数少ない機会が差入れです。着替えが届く、読みたかった本が届く、それだけで日々の張りが変わります。

中国本土のご家族からは、何を送ればよいのか、そもそも中国から送れるのか、というご質問を頻繁にいただきます。

中国から直接送れるのか

中国から国際郵便で施設へ直接送る方法は、うまくいかないことが多いのが実情です。内容物の検査が必要で外国語の説明書きが付いているものは確認に時間を要すること、通関を経る必要があり施設の受付までに日数がかかることが理由です。現実的な方法は、日本国内にいる方を経由することです。弁護人に費用を預けて必要な物を購入し、差し入れてもらう。日本にご友人がいればその方に依頼する。

何を、どこまで差し入れられるのか

  • 現金。領置金として扱われ、本人が施設内で日用品や食料を購入する原資になります。渡し方は施設の定めに従います。
  • 衣類。下着や靴下など消耗の早いものが喜ばれます。ただし、ひも、金具、フードが付いたものは受け付けられないことが多く、枚数にも上限があります。
  • 書籍。中国語の書籍は内容の確認に時間がかかるため制限されることがあり、認められる場合でも閲読までに日数を要します。運用は施設により異なりますので、事前の確認が欠かせません。
  • 医薬品。原則として差し入れることはできません。持病がある場合は、その旨と服用している薬の名称を弁護人に伝え、施設の医師の診察を求める形を取ります。
  • 写真。認められることがありますが、枚数の制限や内容の確認があります。電子機器や携帯電話は差し入れることができません。

外国語の手紙は翻訳の確認に時間がかかるため、急ぎの用件は弁護人を通じて伝えるほうが確実です。

想定される刑事手続の流れ

逮捕から48時間以内に検察官へ送致され、さらに24時間以内に勾留を請求するかどうかが決まります。合計72時間です。この間ご家族は面会できず、会えるのは弁護人だけです。この72時間に勾留の要否について裁判官へ意見を届けられるかどうかで、その後が変わります。

勾留が認められれば原則10日、延長で最大20日です。この20日間をどのような環境で過ごすかは、取調べへの耐性に直結します。眠れない、寒い、読むものがないという状態が続けば、判断力は目に見えて落ちます。差入れは、防御の環境を整える行為でもあります。

外国人事件に特有のリスク

入管法24条は退去強制事由を号ごとに定めています。24条4号リは無期又は1年を超える拘禁刑に処せられた者を対象としますが、但書により刑の全部の執行を猶予された者は除かれます。一部猶予でも実際に服する部分が1年以下であれば同様です。

これに対し薬物関係の24条4号チは有罪判決があれば足り、罰金でも執行猶予でも該当し、在留資格の種類も問いません。上陸の場面でも扱いが異なり、入管法5条1項5号による上陸拒否には年限の定めがありません。外国の法令に違反した場合や罰金であっても対象となり、期間の経過によって当然に解消されることがなく、再び入国するには12条1項の上陸特別許可を検討することになります。

在留期間の更新(入管法21条)は裁量処分であり、事件の存在は素行の評価として審査に入ります。届出義務違反などがあれば22条の4による在留資格の取消しも問題となります。なお実務は、退去強制事由の判断に故意や過失を要しないとしてきました。当事務所は、責任主義の射程を問う訴訟を担当してきました。

不起訴処分の重要性

差入れによって環境を整える目的は、本人が落ち着いた状態で取調べに向き合えるようにすることです。不起訴であれば有罪判決が存在せず、4号リも4号チも問題になりません。執行猶予でも退去強制事由に該当する薬物事犯のような類型が現に存在し、有罪判決の存在自体が後の更新や変更の審査で不利に働きます。

弁護人は、検察官との面談、示談、犯意や関与の程度を争う意見書の提出、生活環境の整備を、起訴の判断が下りる前に集中して行います。その先にあるのが、起訴前の不起訴処分という結論です。

初動でおさえる3つのこと

  • 黙秘権。疲弊した状態で長時間の取調べを受ければ、早く終わらせたいという気持ちが判断を曇らせます。通訳を介した供述が日本語の調書として固定されると、後から動かすことは容易ではありません。
  • 弁護人選任の早さ。国選弁護人は勾留決定の後に選任されるため、最初の72時間には存在しません。この空白を埋められるのは私選の弁護人だけで、ご家族からのお申込みで選任できます。
  • 通訳の質。取調べの通訳人は捜査機関が手配します。依頼者のために働く通訳は、弁護方針を理解したうえで、頼まれたのか指示されたのか、預かったのか受け取ったのかを訳し分けます。この差が犯意の評価に直結します。

当事務所のご案内と解決事例

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田)は、外国人の刑事弁護と入管手続を中心に取り扱っています。

  • 特殊詐欺の出し子に関わったとされた20代の女性について、指示役からの欺罔や脅迫的な状況、犯意が存在しないことを主張し、不起訴処分を獲得しました。身柄拘束が長引くなかでの活動でした。
  • 観光目的で来日した後に在留資格を失い不法滞在で起訴された事案では、婚姻と子の認知を成立させ、国籍国の公的書類がほとんど得られない状況で資料を集め、1回の申請で在留特別許可を獲得しました。
  • 国際的な刑事事件、裁判員裁判の対象事件、世界的に報道された重大事件への対応実績があります。中国籍の方の重大事件も多数担当し、国境をまたぐ照会や連絡にも慣れています。

ご依頼いただいた事件は、弁護士松村大介が初動の接見から公判の結審まで全工程を直接担当し、事務員や若手弁護士による代行はありません。外国人事件に精通した中国語の専属通訳が常駐し、接見にも同行します。刑事手続後の在留資格は、提携する行政書士とともにワンストップで対応します。

結語

遠く離れていても、届けられるものはあります。何が必要かを弁護人に確認し、日本国内で購入して差し入れる。この形が最も速く、最も確実です。

本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

執筆者

弁護士 松村大介。第一東京弁護士会所属、登録番号59077、2019年登録。舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田)。注力分野は外国人の刑事弁護、入管手続(退去強制、在留特別許可)、行政訴訟。最終更新:2026年8月。

舟渡国际法律事务所
网站:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119

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