舟渡国際法律事務所

出資法・貸金業法違反|同郷者間の無登録の貸付けと在留資格への影響

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出資法・貸金業法違反|同郷者間の無登録の貸付けと在留資格への影響

出資法・貸金業法違反|同郷者間の無登録の貸付けと在留資格への影響

2026/08/19

本記事の要点

  • 登録を受けずに業として金銭の貸付けを行うと、貸金業法違反として10年以下の拘禁刑若しくは3,000万円以下の罰金、又はその併科の対象になります。
  • 業として貸付けを行う者が年20パーセントを超える利息を定めれば出資法違反となり、年109.5パーセントを超える場合はさらに重く扱われます。
  • 同郷者どうしの貸し借りであっても、反復継続していれば「業として」と評価され得ます。
  • 入管法24条4号リは無期又は1年を超える拘禁刑に処せられた者を対象とし、刑の全部の執行を猶予された者は但書により除外されます。
  • 経営・管理や技術・人文知識・国際業務の在留資格で無登録の貸付けを行えば、在留資格の取消し(入管法22条の4)や更新不許可(同法21条)の問題が生じます。

来日直後で銀行から借りられない、学費の納付期限が迫っている、家族の入院費を送らなければならない。そうした事情を知る同郷の知人から資金を融通してもらう場面は数多くあります。貸す側にも、余裕のある資金を役立てたい、少し利息をもらえればよいという素朴な動機があることが多いのです。

しかし日本の法律は、金銭の貸付けを業として行うことを登録制のもとに置き、金利の上限を刑罰で担保しています。個人と個人の合意があれば足りる、という発想は通用しません。この記事は、貸した側にも借りた側にも起こり得る展開を整理し、在留資格への波及と、初動で取るべき対応を示します。

想定される刑事手続の流れ

端緒は、借主やその家族からの相談、取立ての過程で生じたトラブルの通報、あるいは別の事件の捜査で見つかった帳簿や送金記録です。捜査機関は、貸付けの回数、相手方の人数、利息の定め方を確認し、反復継続性と営利性を評価します。

逮捕された場合、警察は48時間以内に検察官へ送致し、検察官は24時間以内かつ逮捕から72時間以内に勾留を請求するかを決めます。この72時間で、貸付けの実態と組織性についての見立てが固まります。帳簿や通信履歴という客観証拠がある一方、その資金がどこから出たのか、誰の指示だったのかという点は供述に依存しやすく、方針を決める前の受け答えが後を左右します。

取立ての過程で強い言葉を使った、在留カードや旅券を預かった、勤務先に繰り返し連絡したといった事情があれば、恐喝や強要、貸金業法上の取立て行為の規制違反として別に立件されることもあります。貸付けそのものより取立ての態様が処分を重くする例は多く見られます。

外国人事件特有のリスク

無登録営業は法定刑の上限が高く、規模が大きい事案では実刑が現実味を帯びます。そこで問題となるのが入管法24条4号リです。同号は無期又は1年を超える拘禁刑に処せられた者を退去強制事由としますが、但書により刑の全部の執行を猶予された者は除外され、一部猶予でも実際に服する部分が1年以下であれば同様です。したがって、量刑の争い方は在留の帰趨に直結します。

他方、在留資格の側の危険はもっと広く及びます。経営・管理や技術・人文知識・国際業務の在留資格をもつ方が、届け出た活動ではなく貸付けの業務に従事していたと評価されれば、在留資格の取消し(入管法22条の4)が検討されます。在留期間の更新は同法21条により審査され、素行の善良性が問われるため、執行猶予や罰金であっても不許可の理由になり得ます。

加えて、退去強制事由の判断には故意・過失を要しないとする実務が長く続いてきました。当事務所は、この扱いが責任主義の観点からどこまで許されるのかを問う訴訟を担当し、上訴審まで争ってきました。名義だけを使われた方、事務作業を手伝っただけの方にとって、この視点は具体的な防御の柱になります。

不起訴処分の重要性

目指すべきは起訴前の不起訴処分です。執行猶予付き判決でも前科は残り、更新審査や在留特別許可の判断で参照されます。起訴前の活動としては、まず貸付けの性質の解明が中心になります。友人間の一時的な融通なのか、反復継続する事業なのか。利息の定めがあったか、返済の督促はどのように行われたか。これらを帳簿、送金記録、通信履歴に即して整理します。

次に、超過利息の返還や損害の回復です。借主に生じた不利益を可能な範囲で解消し、示談に至れば処分の判断に強く影響します。さらに、生活状況や在留資格への影響を意見書にまとめ、検察官面談を求めて口頭でも説明します。共犯の疑いがある事案では、自らの役割の限界を客観資料で示します。

初動対応の3つのポイント

第一に、黙秘権の行使です。「業として」に当たるかどうかは評価の問題であり、本人が「商売のつもりはなかった」と説明しても、断片的な供述が営利性の根拠として用いられることがあります。方針が固まるまで話さないという選択は正当です。

第二に、早期の弁護人選任です。帳簿や送金記録は押収されており、弁護人がこれを踏まえて説明の枠組みを作れるかが結果を分けます。ご家族が動ける場合は、逮捕の連絡を受けたその日にご相談ください。

第三に、通訳の質です。捜査機関が指定する通訳人は捜査の進行のために置かれた存在であり、依頼者の利益のために語を選ぶ立場にはありません。「利息」と「お礼」、「貸した」と「預けた」の違いは、訳出の段階で容易に混同され、営利性の認定を左右します。弁護人が同行させる通訳は、依頼者本人のために働きます。

当事務所のご案内と解決事例

舟渡国際法律事務所の関連する解決事例をご紹介します。

  • 取り込み詐欺の被害に遭った卸業の依頼者について、刑事告訴を端緒として相手方を特定し、7,500万円の解決金を獲得しました。資金の流れを追跡し、民事と刑事の双方から解決を設計した事案です。
  • 虚偽の株主総会決議によって代表取締役を解任されたとされる事件について、東京地方裁判所・東京高等裁判所のいずれにおいても勝訴しました。事業をめぐる紛争の構造を解きほぐす経験を蓄積しています。
  • 観光目的で来日した後に在留資格を失い、不法滞在で起訴された方について、婚姻と認知を成立させ、国籍国の公的書類がほとんど得られない状況で有利な資料を集め、1回の申請で在留特別許可を獲得しました。

当事務所では、弁護士松村大介が初動接見から公判結審まで全工程を直接担当し、事務員や若手弁護士による代行は行いません。外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐し、接見と打合せに同席します。提携行政書士による在留資格サポートにより、刑事手続後の在留手続までワンストップで対応します。

結語

お金を融通した動機は、記録には残りません。残るのは金額と日付だけです。だからこそ、経緯と関係性を早い段階で言葉にしておく必要があります。捜査の連絡を受けた段階でご相談ください。

本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

執筆者

弁護士 松村大介。第一東京弁護士会所属、登録番号59077、2019年登録。舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田)。注力分野は外国人刑事弁護、入管手続(退去強制・在留特別許可)、行政訴訟。最終更新:2026年8月。

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