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組織的犯罪処罰法10条・11条|犯罪収益の隠匿と収受に問われたときの防御

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組織的犯罪処罰法10条・11条|犯罪収益の隠匿と収受に問われたときの防御

組織的犯罪処罰法10条・11条|犯罪収益の隠匿と収受に問われたときの防御

2026/08/19

本記事の要点

  • 組織的犯罪処罰法10条の犯罪収益等隠匿は5年以下の拘禁刑若しくは300万円以下の罰金、又はその併科と定められています。
  • 同法11条の犯罪収益等収受は3年以下の拘禁刑若しくは100万円以下の罰金、又はその併科です。
  • 争点は多くの場合「その資金が犯罪収益であると知っていたか」であり、認識の立証を巡る攻防が結論を決めます。
  • 実刑が1年を超えれば入管法24条4号リに該当しますが、刑の全部の執行を猶予されれば但書により除外されます。
  • 在留期間更新(入管法21条)や在留資格の取消し(同法22条の4)の場面では、執行猶予でも不利な材料となります。

資金の移動それ自体は、日常の経済活動です。送金を頼まれる、両替を手伝う、暗号資産を交換する、名義を貸して受け取る。こうした行為が犯罪になるかどうかは、その資金がどこから来たのかという一点と、行為者がそれをどう認識していたかという一点にかかっています。組織的犯罪処罰法は、犯罪によって得られた財産の出所を隠す行為と、それと知って受け取る行為を、独立した犯罪として処罰しています。

この記事は、送金や資金の受渡しに関与して捜査の対象となった方、その家族、従業員が事件に巻き込まれた受入れ企業の方に向けたものです。認識という目に見えない要素をどう争うのか、在留資格にどう影響するのかを整理します。

想定される刑事手続の流れ

この類型は、前提となる犯罪の捜査から派生して立件されることが多く、資金の流れを遡る過程で関与者が特定されます。金融機関の記録、暗号資産取引所の記録、通信アプリのやり取りが証拠の中心となり、着手の時点で相当量の客観証拠が揃っています。

逮捕された場合、警察は48時間以内に検察官へ送致し、検察官は24時間以内かつ逮捕から72時間以内に勾留請求の判断を行います。この72時間で問われるのは、資金の性質についてどこまで説明を受けていたか、不審に思わなかったのか、という点です。相手をかばう趣旨で曖昧な答え方をすると、かえって認識を認めたものとして扱われることがあります。方針を固めないまま応じる危険が特に大きい類型です。

法定刑は、隠匿について5年以下の拘禁刑若しくは300万円以下の罰金又は併科、収受について3年以下の拘禁刑若しくは100万円以下の罰金又は併科とされています。隠匿については未遂・予備も処罰の対象とされており、送金が実行される前の準備段階でも立件が可能です。

外国人事件特有のリスク

まず、入管法24条4号リの検討です。同号は無期又は1年を超える拘禁刑に処せられた者を退去強制事由としますが、但書により刑の全部の執行を猶予された者は除外されます。一部猶予でも実際に服する部分が1年以下であれば同様です。この類型は法定刑の上限が5年以下であるため、単独事件で1年を超える実刑となる例は限られますが、前提犯罪と併せて起訴された場合は事情が異なります。

より現実的な危険は、在留資格の側にあります。在留期間の更新は入管法21条により審査され、素行の善良性が正面から問われます。執行猶予や罰金であっても、更新の場面では説明を求められ、不許可という結論に至ることがあります。また、届け出た活動を行わず資金の移動に従事していたと評価される場合には、在留資格の取消し(同法22条の4)も検討されます。

さらに、退去強制事由の判断について故意・過失を要しないとされてきた実務があります。当事務所は、その運用が責任主義の観点から維持できるのかを問う訴訟を担当し、上訴審まで争ってきました。資金の性質を知らされていなかったという事案では、刑事上の認識の争いと、行政上の責任の在り方の議論が、同じ地平で問題になります。

不起訴処分の重要性

認識が争点である以上、起訴前の弁護活動には大きな意味があります。検察官が起訴に踏み切るかどうかは、認識を立証できるかの見通しに強く依存するからです。弁護人としては、依頼者が資金の出所についてどのような説明を受けていたか、通常の取引と比べて不自然な点を認識し得たか、報酬の水準は労務の対価として説明可能かといった点を、客観資料に即して整理します。

あわせて、資金の返還や被害弁償が可能であればこれを進め、生活状況、家族の状況、在留資格への影響を意見書にまとめます。検察官面談を求め、書面で伝えきれない経緯を口頭でも説明します。執行猶予付き判決を得れば足りるという発想では、在留は守れません。目標はあくまで不起訴処分です。

初動対応の3つのポイント

第一に、黙秘権の行使です。認識が争点である類型では、断片的な供述が組み合わされて認識の認定に用いられます。方針が固まるまで話さないという選択は、正当な権利の行使です。

第二に、早期の弁護人選任です。資金の流れは客観資料で追えるため、弁護人が早期に資料を確認できれば、依頼者に有利な説明の枠組みを構築できます。時間が経つほど、選択肢は狭まります。

第三に、通訳の質です。捜査機関が指定する通訳人は捜査の進行のために置かれており、依頼者の利益のために言葉を選ぶ立場にはありません。「おかしいと思った」と「犯罪の金だと思った」は、認識の程度がまったく異なりますが、訳出の段階で容易に接近してしまいます。弁護人が同行させる通訳は、依頼者本人のために働きます。

当事務所のご案内と解決事例

舟渡国際法律事務所の関連する解決事例をご紹介します。

  • 覚醒剤取締法違反(営利目的所持)で起訴された依頼者について、徹底的な証拠分析と被告人質問・反対尋問により無罪判決を獲得しました。認識の立証が争点となる事件において、客観証拠を積み上げて検察官の主張を崩した事案です。
  • 国際的な刑事事件、裁判員裁判の対象となる事件、世界的に報道された重大事件についても対応実績があり、中国籍の方の重大事件にも多数関与してきました。
  • 冤罪により不法就労助長罪に問われ強制退去の危機にあった女性の事案では、退去強制事由に故意・過失は不要とする従来の実務に対し、責任主義の射程を問う訴訟を提起して上訴審まで争いました。その後、入管から在留特別許可が認められています。

当事務所では、弁護士松村大介が初動接見から公判結審まで全工程を直接担当します。外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐し、提携行政書士による在留資格サポートで刑事手続後もワンストップで対応します。

結語

資金の流れは記録に残りますが、その人が何を知らされていたかは記録に残りません。頼んできた相手との関係、断れなかった事情、受け取った金額の意味を、証拠に即して説明できる状態を作ること。それがこの類型の弁護の中心です。捜査の連絡を受けた段階で、早くご相談ください。

本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

執筆者

弁護士 松村大介。第一東京弁護士会所属、登録番号59077、2019年登録。舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田)。注力分野は外国人刑事弁護、入管手続(退去強制・在留特別許可)、行政訴訟。最終更新:2026年8月。

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本記事の中国語版(简体字)はこちら

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