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電子計算機使用詐欺|キャッシュレス決済の不正利用と外国籍の方の在留リスク

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電子計算機使用詐欺|キャッシュレス決済の不正利用と外国籍の方の在留リスク

電子計算機使用詐欺|キャッシュレス決済の不正利用と外国籍の方の在留リスク

2026/08/19

本記事の要点

  • 他人のカード情報をスマートフォンの決済アプリに登録して使う行為は、刑法246条の2の電子計算機使用詐欺として立件され、法定刑は10年以下の拘禁刑です。
  • 店舗で商品を受け取った場合は通常の詐欺罪、機械に対する処理のみで完結する場合は電子計算機使用詐欺と、構成が使い分けられます。
  • 被害額が大きい事案や反復した事案では実刑の可能性があり、その場合は入管法24条4号リが現実の問題になります。
  • 刑の全部の執行を猶予されれば但書により4号リから除外されますが、在留期間更新(入管法21条)の場面では別途不利に評価されます。
  • 不起訴処分を得られるかどうかが、在留を継続できるかどうかを事実上決めます。

スマートフォンのウォレットに登録するだけで買い物ができる時代になり、決済は物理的なカードから離れました。他人名義の情報を入力するだけで資金の移動が完了するため、罪の意識が追いつかないまま被害だけが積み上がることもあります。「頼まれて登録した」「報酬をもらってチャージの作業をしただけ」という相談は珍しくありません。

この記事は、日本で暮らす中国籍の方と、家族が突然連絡を絶ったという中国本土のご家族に向けたものです。決済をめぐる事件が刑事手続でどう扱われ、在留資格にどう跳ね返るのかを条文に即して整理します。

想定される刑事手続の流れ

この類型では、カード会社や決済事業者による不正検知が端緒となり、加盟店の防犯カメラ映像、端末の位置情報、アカウントの登録情報が突き合わされます。捜査が形になった段階では既に相当量の客観証拠が揃っていることが多く、否認するか認めるかの判断もその前提を踏まえて行う必要があります。

逮捕された場合の時間の流れは厳格です。警察による48時間以内の送致、検察官による24時間以内かつ逮捕から72時間以内の勾留請求という枠組みがあり、この72時間で事件の輪郭が決まります。家族が状況を知ったときには既に勾留が決まっていた、という順序になりがちです。だからこそ、連絡が取れなくなった時点で速やかに弁護人を立てることに意味があります。

電子計算機使用詐欺は10年以下の拘禁刑と定められており、詐欺罪と同じ重さです。被害額が積み上がる類型であるうえ、組織的な背景が疑われると、初犯であっても実刑が視野に入ります。

外国人事件特有のリスク

実刑が現実味を帯びる類型であるため、入管法24条4号リの検討を避けて通れません。同号は「無期又は1年を超える拘禁刑に処せられた者」を退去強制事由としますが、但書により刑の全部の執行を猶予された者は除外され、一部猶予の場合も実際に服する部分が1年以下であれば同様です。すなわち、1年を超える実刑を避けられるかどうかが、この号との関係では一つの分水嶺になります。

もっとも、これで安心できるわけではありません。在留期間更新は入管法21条の枠組みで審査され、素行の善良性が正面から問われます。執行猶予付き判決でも、更新の場面では説明を求められ、不許可という結論に至ることがあります。また、届け出た活動を行わず不正な決済の作業に従事していたと評価されれば、在留資格の取消し(同法22条の4)の検討対象にもなります。

退去強制事由の判断について、実務は故意や過失を要しないという運用を続けてきました。当事務所は、この運用が責任主義の観点から許されるのかを問う訴訟を担当し、上訴審まで争ってきました。頼まれて登録しただけという事案では、この論点が具体的な防御に結びつきます。

不起訴処分の重要性

執行猶予を得れば足りるという発想は危険です。前科は残り、更新審査でも在留特別許可の判断でも参照されます。狙うべきは起訴前の不起訴処分であり、そのための活動は勾留期間の中で完結させなければなりません。

具体的には、被害の回復が中心になります。カード会社や決済事業者、加盟店、名義人本人といった被害の帰属先を確定し、弁償の申し入れを行い、可能であれば示談を成立させます。次に、関与の構造を明らかにします。誰から、どのような言葉で依頼を受けたのか。報酬の有無と金額。断ろうとした事実の有無。これらを時系列で整理し、資料とともに検察官へ提出します。あわせて、就労先や家族の状況、在留資格に及ぶ影響を意見書にまとめ、検察官面談を求めて口頭でも説明します。

初動対応の3つのポイント

第一に、黙秘権の行使です。決済の仕組みは複雑で、本人にも正確には分かっていないことが多いものです。分からないことを推測で埋めた供述は、後から訂正が極めて困難になります。方針が定まるまで話さないという判断は、正当です。

第二に、早期の弁護人選任です。被害回復の申し入れは早いほど受け入れられやすく、勾留延長の要否や処分の見通しにも影響します。逮捕直後に接見できるかどうかが、実務上の分岐点です。

第三に、通訳の質です。捜査機関が指定する通訳人は捜査の進行のために置かれた存在であり、依頼者の利益を守る立場にはありません。「知っていた」と「そうかもしれないと思った」の差は、訳し方ひとつで認識の認定を左右します。弁護人が同行させる通訳は、依頼者本人のために働きます。

当事務所のご案内と解決事例

舟渡国際法律事務所の関連する解決事例をご紹介します。

  • 特殊詐欺の出し子に関わったとされた20代女性の事案では、指示役からの欺罔や脅迫的な状況、犯意が存在しなかったことを具体的に主張し、不起訴処分を獲得しました。
  • 取り込み詐欺の被害に遭った卸業の依頼者について、刑事告訴を端緒として相手方を特定し、最終的に7,500万円の解決金を獲得しました。決済と資金移動の追跡について、被害者側からの実務経験も蓄積しています。
  • 冤罪により不法就労助長罪に問われ強制退去の危機にあった女性の事案では、退去強制事由に故意・過失は不要とする従来の実務に対して責任主義の射程を問う訴訟を提起し、上訴審まで争いました。その後、入管から在留特別許可が認められています。

当事務所では、弁護士松村大介が初動接見から公判の結審まで全工程を直接担当し、事務員や若手弁護士による代行は行いません。外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐し、接見と打合せに同席します。提携行政書士による在留資格サポートにより、刑事手続の後の在留手続までワンストップで対応します。

結語

決済のデータは正確に残ります。残らないのは、操作をした人が何を知り、何を知らされず、どのような立場に置かれていたかという事情です。それを語る機会は、勾留期間という限られた時間の中にしかありません。連絡が取れなくなった段階で、早めにご相談ください。

本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

執筆者

弁護士 松村大介。第一東京弁護士会所属、登録番号59077、2019年登録。舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田)。注力分野は外国人刑事弁護、入管手続(退去強制・在留特別許可)、行政訴訟。最終更新:2026年8月。

舟渡国际法律事务所
网站:https://matsumura-lawoffice.jp/
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本記事の中国語版(简体字)はこちら

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