舟渡国際法律事務所

酒気帯び運転・酒酔い運転の量刑と退去強制|外国籍の方が直面する二つの手続

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酒気帯び運転・酒酔い運転の量刑と退去強制|外国籍の方が直面する二つの手続

酒気帯び運転・酒酔い運転の量刑と退去強制|外国籍の方が直面する二つの手続

2026/08/19

本記事の要点

  • 酒気帯び運転は3年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金、酒酔い運転は5年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金である。
  • 車両提供者、酒類提供者、同乗者にも独立の罰則があり、運転していなくても立件されることがある。
  • 飲酒事故では過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪や危険運転致死傷が問題となり、法定刑が一段と重くなる。
  • 入管法24条4号リの該当性は1年を超える拘禁刑の実刑かどうかで決まり、刑の全部の執行を猶予された場合は但書により除かれる。
  • 刑事手続と入管手続は別個に並行する。刑事処分が軽く済んでも入管対応が自動的に終わるわけではない。

会食の帰り、少しの距離だからと車を動かした。前夜の酒が残ったまま朝の通勤で運転した。飲酒運転の事件は、多くの場合、悪質な意図から始まったものではありません。それでも日本の法制度は、この類型に厳しい態度をとり続けています。

外国籍の方の場合、事態はさらに複雑になります。刑事事件としての処分に加え、在留資格をめぐる審査というまったく別の手続が同時に動き出すからです。

酒気帯び運転と酒酔い運転の違い

酒気帯び運転は、呼気1リットル中0.15ミリグラム以上のアルコールが検出された状態での運転を指します。行政処分は、0.15ミリグラム以上0.25ミリグラム未満で違反点数13点、0.25ミリグラム以上で25点となり、後者は免許取消しです。酒酔い運転は数値ではなく、アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態かどうかで判断されます。違反点数は35点で免許取消しです。

見落とされやすいのが運転者以外の責任です。車両を提供した者は運転者と同じ枠組みで、酒類を提供した者や同乗した者も、運転者が酒酔いであったか酒気帯びであったかに応じた罰則の対象となります。

事故が伴う場合の重い類型

アルコールの影響により正常な運転が困難な状態で人を死傷させれば危険運転致死傷となり、致傷で15年以下の拘禁刑、致死で1年以上の有期拘禁刑という重い法定刑が適用されます。事故後に飲酒の発覚を免れる目的で逃走し、あるいはさらに飲酒した場合には、過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪として12年以下の拘禁刑が定められています。

想定される刑事手続の流れ

検問や事故現場で発覚した場合、その場で現行犯逮捕されることがあります。逮捕されれば、警察は48時間以内に検察官へ送致し、検察官は24時間以内に勾留を請求するか釈放するかを決めます。この72時間で身柄の見通しが定まります。外国籍であることを理由に逃亡のおそれが強調される場面は現実に存在します。

この点への反論は抽象的な主張では足りません。在留資格の種類と残存期間、雇用契約、家族の在日状況といった資料を、72時間の中で揃えて提出する必要があります。

外国人事件特有のリスク

入管法24条4号リは無期又は1年を超える拘禁刑に処せられた者を退去強制事由としますが、但書により刑の全部の執行を猶予された者は除かれます。飲酒運転の多くは罰金又は執行猶予付き判決で終わるため、この号に直ちに該当するわけではありません。もっとも、死亡事故を伴い危険運転致死傷が問われる事案では、入管法24条4号の2が列挙する重大犯罪の枠組みで検討されます。

より現実的なリスクは、退去強制に至らない場面にあります。在留期間の更新(入管法21条)は裁量による許可であり、素行の善良性は重要な考慮要素です。免許取消しを伴う飲酒運転の前科は更新申請で説明を求められる典型的な事情であり、永住許可や帰化の審査ではさらに厳格に見られます。身体拘束や解雇によって在留資格に対応する活動を3か月以上行わない状態になれば、在留資格の取消し(入管法22条の4)も問題となりえます。

また、退去強制事由の該当性について、故意や過失を要しないという実務の前提が長く維持されてきました。当事務所はこの前提に対して責任主義の射程を問う訴訟を提起し、上訴審まで争ってきました。

不起訴処分の重要性

前科を残さない唯一の道は不起訴処分です。不起訴であれば、更新審査で説明すべき前科そのものが生じません。他方、薬物事犯のように有罪判決そのもので退去強制事由となる類型(入管法24条4号チ)があり、この場合は罰金でも執行猶予でも該当します。刑罰の軽重と在留への影響は、必ずしも比例しません。

不起訴を目指す活動としては、被害者がいる場合の示談交渉と賠償、飲酒経緯の整理、アルコール依存の問題があるときの治療開始と診断書の提出、車両の処分と免許返納、そして検察官との面談と意見書の提出が挙げられます。処分が決まる前にどれだけの材料を検察官の手元に置けるかが分かれ目です。

初動対応の3つのポイント

第一に、黙秘権の行使です。飲酒量、飲酒終了時刻、運転の動機といった細部が量刑を左右します。記憶があいまいなまま推測で答えれば、その推測が調書に固定されます。

第二に、早期の弁護人選任です。逮捕直後の72時間は国選弁護人が付かない時間帯であり、身柄解放を求める活動も資料の収集も、この時期にしかできません。

第三に、通訳の質です。捜査機関が指定する通訳人は捜査を進めるために置かれており、依頼者本人のために動く通訳とは役割が異なります。当事務所は中国語専属通訳を弁護活動の内側に置いています。

当事務所のご案内と解決事例

  • 特殊詐欺の受け子(現場で現金や荷物を受け取る役割を指す用語)として複数回再逮捕された事案では、取調べ対応と主張立証を積み重ね、全件について不起訴処分を獲得しました。
  • 観光目的で来日し日本人女性との間に子を授かったものの在留資格を失い、不法滞在で起訴された事案では、婚姻と認知を成立させ、有利な証拠を集めて1回の申請で在留特別許可を獲得しました。
  • 過去の逮捕報道・前科報道の削除に成功した実績もあり、事件後の生活再建まで見据えた対応を行っています。

ご依頼をお受けした事件は、舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田)の弁護士松村大介が初動接見から公判結審まで全工程を直接担当し、事務員や若手弁護士による代行は行いません。外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐し、接見にも同行します。刑事手続後の在留資格は、提携行政書士と連携してワンストップで対応します。

おわりに

飲酒運転の事件は、罰金で終わったから安心という単純な構造をしていません。刑事の側で処分が確定した後も、在留資格の側では説明を求められ続けます。二つの手続を同時に見渡すことが必要です。

本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

執筆者

弁護士 松村大介(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)。舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田)。注力分野は外国人刑事弁護、入管手続(退去強制・在留特別許可)、行政訴訟。最終更新:2026年8月。

舟渡国际法律事务所
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本記事の中国語版(简体字)はこちら

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