舟渡国際法律事務所

あおり運転(妨害運転罪)で立件されたとき|刑事処分の重さと在留資格への影響

お問い合わせはこちら

あおり運転(妨害運転罪)で立件されたとき|刑事処分の重さと在留資格への影響

あおり運転(妨害運転罪)で立件されたとき|刑事処分の重さと在留資格への影響

2026/08/19

本記事の要点

  • 妨害運転罪は道路交通法上の犯罪であり、反則金で終わる交通違反ではない。
  • 法定刑は3年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金、著しい交通の危険を生じさせた場合は5年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金で、免許は取消しとなる。
  • 入管法24条4号リは1年を超える拘禁刑に処せられた者を退去強制事由とするが、但書により刑の全部の執行を猶予された者は除かれる。
  • 妨害目的の運転で人を死傷させた場合は危険運転致死傷として、入管法24条4号の2の枠組みで検討される。
  • 退去強制に至らなくても、在留期間の更新(入管法21条)で素行が正面から問われる。

幹線道路でのわずかな行き違いが、その場での通報につながり、あるいは数週間後に警察からの呼出しとして戻ってくる。妨害運転の事件は双方が「先に危険な運転をしたのは相手だ」と考えていることが多く、どちらの言い分が客観証拠と整合するかで結論が変わります。相手方の映像だけが残っていることも珍しくありません。

この罪名は交通違反の延長として受け止められがちですが、拘禁刑の定めのある犯罪です。日本での生活を続けるのであれば、刑事処分と在留資格への影響を最初から一体で考える必要があります。

妨害運転罪はどのような行為を対象とするのか

道路交通法は、他の車両等の通行を妨害する目的で、一定の違反行為を、交通の危険を生じさせるおそれのある方法で行うことを処罰します。車間距離の不保持、急ブレーキ、割込み、執拗な追越し、幅寄せ、警音器の不必要な使用、前照灯の継続照射などが対象です。高速道路上で他車を停止させるなど著しい交通の危険を生じさせた場合は法定刑が重くなり、違反点数もそれぞれ25点と35点で、いずれも免許取消しです。

実務上の争点は「通行を妨害する目的」に集中します。映像上、車間が詰まっていたことが明らかでも、渋滞や前車の急減速が原因なら妨害目的は認められません。ところが取調べで「腹が立った」と認めれば、この要件は一気に固まります。

想定される刑事手続の流れ

現行犯逮捕なら、警察は48時間以内に検察官へ送致し、検察官は24時間以内に勾留を請求するか釈放するかを判断します。この合計72時間が身柄の帰趨を決めます。勾留が決定されれば、延長を含めて20日程度の拘束が続きます。

72時間の間に弁護人が動けば、勾留請求への意見書、勤務先や住居の実在を示す資料、身元引受人の確保により勾留を回避できる場合があります。この期間を空白にすると、以後は準抗告など高いハードルの手続で争うことになります。

外国人事件特有のリスク

入管法24条4号リは、同号ニからチまでに掲げる者のほか、無期又は1年を超える拘禁刑に処せられた者を退去強制事由とします。もっとも但書があり、刑の全部の執行を猶予された者は除かれます。一部猶予でも実刑部分が1年以下なら同様です。この号について「執行猶予でも退去強制される」という説明は正確ではありません。

他方、妨害目的の運転で人を死傷させた場合は危険運転致死傷が問題となります。危険運転致死傷(自動車運転死傷処罰法2条・6条1項)は入管法24条4号の2が列挙する重大犯罪に含まれ、4号リとは別の枠組みで該当性が検討されます。

見落とされやすいのは、退去強制に至らない場合の不利益です。在留期間の更新(入管法21条)は権利ではなく裁量による許可で、素行の善良性は重要な考慮要素です。身体拘束や解雇で在留資格に対応する活動を3か月以上行わなくなれば、在留資格の取消し(入管法22条の4)も問題となります。なお実務は長く、退去強制事由の該当性に故意・過失を要しないという前提をとってきました。当事務所はこれに対し、責任主義の射程を問う訴訟を提起し上訴審まで争ってきました。

不起訴処分の重要性

在留への影響を最も小さく抑えられるのは不起訴処分です。不起訴なら前科は生じず、拘禁刑に処せられた者にも当たりません。他方、薬物事犯のように有罪判決そのものが退去強制事由となる類型(入管法24条4号チ)があり、罰金でも執行猶予でも該当します。「執行猶予なら安全」という一般化が危険なのはこのためです。

不起訴を目指す活動は具体的です。相手方との示談交渉、双方の車載映像や運行記録の取得、妨害目的を否定する客観的事情の抽出、検察官との面談と意見書の提出。映像は循環録画で短期間に失われるため、事件直後の保全要請が決定的です。

初動対応の3つのポイント

第一に、黙秘権の行使です。取調べで話した内容は供述調書にまとめられ、公判で強い証明力を持ちます。妨害目的という内心の要件は、本人の一言で認定されることがあります。

第二に、早期の弁護人選任です。逮捕直後の72時間は国選弁護人が選任されない時間帯であり、この空白を埋められるのは私選弁護人だけです。証拠保全もこの時期にしか間に合いません。

第三に、通訳の質です。捜査機関が手配する通訳人は捜査を進めるために配置された存在で、中立であることと依頼者本人の利益のために動くことは違います。当事務所は依頼者本人のために動く中国語通訳を弁護活動に組み込んでいます。

当事務所のご案内と解決事例

  • 裁判員裁判対象事件、国際的な刑事事件、世界的に報道された重大事件への対応実績があり、中国籍の方の重大事件にも多数対応してきました。客観証拠の評価が争点となる事件の経験を蓄積しています。
  • 冤罪により不法就労助長罪に問われ強制退去の危機にあった女性の事案では、退去強制事由に故意・過失は不要とする従来の実務に対し、責任主義の射程を問う訴訟を提起して上訴審まで争いました。その後、入管から在留特別許可が認められています。
  • 観光目的で来日し日本人女性との間に子を授かったものの在留資格を失い、不法滞在で起訴された事案では、婚姻と認知を成立させ、1回の申請で在留特別許可を獲得しました。

ご依頼をお受けした事件は、舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田)の弁護士松村大介が初動接見から公判結審まで全工程を直接担当し、事務員や若手弁護士による代行は行いません。外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐し、接見にも同行します。刑事手続後の在留資格は、提携行政書士と連携してワンストップで対応します。

おわりに

妨害運転の事件は、映像という動かしがたい証拠がある一方で、その映像が何を意味するかには解釈の幅があります。誰がどの順番で証拠を確保するかで結論が変わります。連絡が取れる状態になった時点で、早めにご相談ください。

本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

執筆者

弁護士 松村大介(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)。舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田)。注力分野は外国人刑事弁護、入管手続(退去強制・在留特別許可)、行政訴訟。最終更新:2026年8月。

舟渡国际法律事务所
网站:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119

本記事の中国語版(简体字)はこちら

----------------------------------------------------------------------
舟渡国際法律事務所
住所 : 東京都豊島区高田3丁目4-10布施ビル本館3階
電話番号 :050-7587-4639


東京にて中国人の方をサポート

東京を中心に刑事事件の弁護

----------------------------------------------------------------------

当店でご利用いただける電子決済のご案内

下記よりお選びいただけます。