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威力業務妨害で逮捕されたとき|飲食店トラブルが立件されるまで

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威力業務妨害で逮捕されたとき|飲食店トラブルが立件されるまで

威力業務妨害で逮捕されたとき|飲食店トラブルが立件されるまで

2026/08/19

本記事の要点

  • 威力業務妨害罪(刑法234条)は3年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金です。現実に業務が停止したことまでは必要とされず、妨害の危険が生じれば足りると解されています。
  • 飲食店で声を荒げたやり取り、退店要求への抵抗、長時間の居座り、店内での物の投げつけが、威力の行使と評価されることがあります。
  • 店側の110番通報から現行犯逮捕という流れが典型で、防犯カメラ映像と従業員の供述が中心的な証拠になります。
  • 入管法24条4号リには但書があり、刑の全部の執行を猶予された者は退去強制事由から除外されます。ただし在留期間更新(21条)や在留資格取消し(22条の4)のリスクは別に存在します。
  • 被害店舗との示談は法律上の必須条件ではありませんが、不起訴を目指すうえで実際上は最も強い材料になります。

酔って大きな声を出し、店から出るように言われても納得できずに残った。飲食店でのトラブルが威力業務妨害として立件されるケースは相当な数にのぼります。

ご本人の理解は、多くの場合、自分は正当な苦情を述べただけだ、というものです。しかし日本の刑事実務では、苦情の内容が正当かどうかと、その伝え方が業務を妨害する威力にあたるかどうかは、別々に判断されます。

威力とは何か、どこから犯罪になるのか

刑法234条の威力業務妨害は、威力を用いて人の業務を妨害する行為を処罰します。威力とは人の意思を制圧するに足りる勢力を指すと理解されており、暴力そのものに限られません。大声での怒号、店内での物品の投げつけ、退店要求を無視した長時間の居座り、多人数で取り囲む行為などが、状況によって威力と評価されます。また、現実に営業が止まったことまでは必要でなく、妨害の危険が生じれば足りるとされています。争いの中心は、行為の具体的態様、継続時間、周囲への影響、そして店側の対応の合理性です。

逮捕から勾留決定までの72時間

飲食店トラブルでは、店側の通報を受けて臨場した警察官がその場で現行犯逮捕するのが典型です。逮捕後は48時間以内に検察官へ送致され、24時間以内に勾留請求の可否が決まります。

酒に酔っていた場合、曖昧な記憶のまま供述すると、それがそのまま調書に固定されます。外国人の方は住居不定や逃亡のおそれを理由に勾留が認められやすい傾向があります。弁護人が在留カード、賃貸借契約、雇用契約といった資料を集め、勾留請求前に検察官へ、勾留質問の前に裁判官へ届けることで、判断が変わる余地があります。あわせて被害店舗の連絡先の開示を求め、示談交渉の準備に入ります。

外国人事件特有のリスク|入管法を号ごとに読む

入管法24条4号リは、無期又は1年を超える拘禁刑に処せられた者を対象としますが、但書があり、刑の全部の執行を猶予された者は除外されます。威力業務妨害の法定刑は3年以下ですから、この号に直接該当する事案は多くありません。他方、身柄拘束が長引き在留期限を過ぎれば24条4号ロの不法残留に至ります。留学の在留資格で学業を離れて就労に専従していたと評価されれば24条4号イ、資格外活動の罪により拘禁刑に処せられた場合は同4号ヘです。薬物事犯の24条4号チは有罪判決さえあれば罰金でも執行猶予でも該当し、在留資格の種類も問いません。

実務でより頻繁に問題になるのは、入管法21条の在留期間更新です。有罪判決や罰金前科がついた場合、更新審査では素行の面から説明を求められます。在留資格の取消し(同22条の4)は、活動の不実施や虚偽申告が絡んだ場合に浮上します。さらに、退去強制事由の該当性判断について故意・過失を要しないとされてきた運用に対し、当事務所は責任主義の射程を問う訴訟を提起し、上訴審まで争ってきました。

不起訴処分の重要性

執行猶予でも退去強制事由に該当してしまう類型が現に存在する以上、判決の段階で猶予を得れば大丈夫だという前提には立てません。最も安定した出口は、起訴前に不起訴処分を得ることです。第一に被害店舗との示談交渉で、営業への影響、破損した什器の弁償、従業員への配慮を含め、店側が何を求めているかを聞き取ります。第二に防犯カメラ映像の存否と保存期間の確認です。第三に検察官面談で、事件の経緯、偶発性、飲酒の影響、再発防止策、退去強制や更新不許可が生じた場合の不均衡を意見書として提出します。

初動対応の3つのポイント

第一に、黙秘権の行使です。この類型では、何をどのような口調でどれだけの時間言ったのかという細部が成否を分けます。記憶が不確かなまま説明すれば、不正確な内容が確定してしまいます。

第二に、早期の弁護人選任です。国選弁護人が付くのは勾留決定の後になるのが原則ですから、最も重要な時間帯が空白になります。ご家族からのご依頼で私選弁護人が動けば、逮捕当日に接見し、映像の保全と示談の準備を同時に始められます。

第三に、通訳の質です。飲食店トラブルは言語がそのまま証拠になる類型です。捜査機関が指定する通訳人は捜査を進めるために置かれた存在であり、依頼者本人のために言葉を尽くす立場ではありません。弁護人が同行させる通訳は依頼者本人のために動きます。当事務所には外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐し、接見にも打合せにも同行します。

当事務所のご案内と解決事例

舟渡国際法律事務所では、弁護士 松村大介が初動接見から公判結審まで全工程を直接担当いたします。事務員や若手弁護士が代行することはありません。中国語専属通訳が常駐し、提携行政書士による在留資格サポートで、刑事手続後の在留期間更新や在留特別許可の申請までワンストップでご対応します。

特殊詐欺の出し子に関わったとされた20代女性の事案では、指示役からの欺罔および脅迫的な状況、犯意の不存在を具体的に主張し、不起訴処分を獲得しました。外形的な行為だけを見れば不利に見える事案でも、経緯を丁寧に立証すれば処分は動きうるという例です。

被害者側での交渉実績としては、ストーカー被害者の代理人として交渉にあたり、解決金1,000万円で解決に至った事案があります。また、観光目的で来日した後に在留資格を失い不法滞在で起訴された方の事案では、婚姻と子の認知を成立させ、国籍国の公的書類がほとんど得られない条件下で有利な証拠を積み上げ、1回の申請で在留特別許可を獲得しました。

結語

飲食店での言い争いが刑事事件になり、さらに在留資格の問題にまで発展する。しかし日本の制度では、刑事手続と入管手続はそれぞれ独立して進み、片方の結果がもう片方の前提になります。だからこそ、最初の段階で全体の見取り図を持った弁護人が入ることに意味があります。逮捕の連絡を受けたら、その日のうちにご相談ください。

本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。

過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

執筆者

弁護士 松村大介(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)。舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田)。注力分野は外国人刑事弁護、入管手続(退去強制・在留特別許可)、行政訴訟。最終更新:2026年8月。

舟渡国际法律事务所
网站:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119

本記事の中国語版(简体字)はこちら

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