舟渡国際法律事務所

採尿・採血・身体検査への対応|任意と強制の分かれ目

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採尿・採血・身体検査への対応|任意と強制の分かれ目

採尿・採血・身体検査への対応|任意と強制の分かれ目

2026/08/18

本記事の要点

  • 採尿には任意提出と令状による強制採尿があり、実務上はまず任意提出を求められます。
  • 強制採尿は、医師に医学的に相当と認められる方法で行わせる旨の条件を付した令状によって行われるとされています。
  • 任意提出の同意は、言語の壁がある状況では任意性そのものが問題になり得ます。
  • 薬物事件の有罪は、罰金でも執行猶予でも入管法24条4号チの退去強制事由に該当します。

職務質問の場で尿を出すよう求められた、警察署で容器を渡された、というご相談は多くあります。その場でどう応じるかで見通しは大きく変わります。しかし多くの方は、断れるのか、断ればどうなるのかを知らないまま応じています。

本記事では、採尿や採血、身体検査がどのような根拠で行われ、任意と強制の境目がどこにあるのかを整理し、薬物事件が在留に及ぼす影響と初動対応を説明します。

逮捕から勾留決定までの72時間

逮捕された方は警察署で弁解を録取され、48時間以内に検察官へ送致されます。検察官は24時間以内、逮捕時から72時間以内に勾留請求か釈放かを判断します。勾留されれば原則10日、延長でさらに10日、起訴前だけで最長23日に及びます。

薬物事件では、簡易な試薬による予試験の結果を前提に逮捕され、その後に正式な鑑定が行われるのが一般的です。勾留が決まる段階では鑑定結果が確定していないことが多いのです。この時期に使用の経緯を詳しく語れば、後に鑑定結果と食い違い、その食い違い自体が不利に働きます。

任意提出と強制採尿の境目

捜査機関はまず任意提出を求めます。任意である以上、応じない選択もあり得ます。しかし現実には、複数の警察官に囲まれ、断れば長時間その場に留められると感じて事実上応じてしまう方が大半です。後に任意性を争う場合には、その場のやり取り、人数、所要時間、通訳の有無を再現する必要があります。同意書が日本語のみで作成され、説明が十分でない例もあります。

任意提出が得られない場合、捜査機関は令状による強制採尿を検討します。最高裁は昭和55年10月23日の決定で、強制採尿は捜索差押許可状によって行うことができるとし、その際、医師をして医学的に相当と認められる方法により行わせる旨の条件の記載を要するとしました。平成6年9月16日の決定は、強制採尿令状の効力として、採尿に適する場所まで連行することも許されるとしています。血液の採取には、鑑定処分許可状と身体検査令状を併用する運用がとられています。

弁護人が確認するのは採取の方法だけではありません。採取した尿がどの容器に入れられ、誰が封をし、いつ鑑定機関に送られ、その間どこで保管されたのかという保管の連続性も検証します。ここに疑問が残れば、鑑定結果と本人の体内の状態との結びつきそのものを問うことができます。

外国人事件に特有のリスク

薬物事件は外国人の方にとって最も影響の重い類型です。入管法24条4号チは薬物関係の有罪を退去強制事由としますが、罰金でも執行猶予でも刑の免除でも該当し、在留資格の種類も問いません。24条4号リには、無期又は1年を超える拘禁刑に処せられた者であっても刑の全部の執行を猶予された者を除外する但書がありますが、4号チにこのような除外はなく、執行猶予判決を得ても退去強制事由に該当した状態が残ります。

影響はさらに続きます。薬物に関する上陸拒否事由には年限の定めがなく、期間の定めのない上陸拒否となります。再び日本に入るには上陸特別許可によるほかなく、出国命令の制度も薬物該当者は利用できません。なお大麻については、令和6年12月12日に大麻取締法が大麻草の栽培の規制に関する法律へ改称され、大麻は麻薬及び向精神薬取締法上の麻薬とされ、7年以下の拘禁刑を定める使用罪が新設されました。令和6年版犯罪白書によれば起訴猶予率は大麻35.5パーセント、覚醒剤8.5パーセントです。加えて入管法21条による更新の不許可、22条の4による取消しという経路もあります。当事務所は、退去強制事由の判断に故意・過失を要しないとされてきた実務に対し、責任主義の射程を問う訴訟を提起して争ってきました。

不起訴処分がなぜ決定的なのか

薬物事件では執行猶予を得ても在留を守れないため、不起訴処分の価値が他の類型以上に高くなります。不起訴なら有罪の判断が存在せず、24条4号チの前提を欠きます。

そのため弁護活動は起訴前に集中します。採取手続の適法性、鑑定の前提、所持の認識の有無を早期に整理し、検察官に書面で示します。営利目的が争点となる事案では、所持の態様や金銭の流れを検討し、目的の推認が成り立たないことを主張します。

初動対応の3つのポイント

第一に、黙秘権の行使です。鑑定結果が出ていない段階で使用の経緯を語ることは、後の主張の幅を自ら狭めます。黙秘を選んでも不利益に扱われることはありません。

第二に、早期の弁護人選任です。採取の状況は時間が経つほど記憶が薄れます。逮捕直後の接見で詳細を記録に残すことが後の争点形成につながります。

第三に、通訳の質です。同意を求められた場面で何をどう説明されたのかは、任意性を判断する核心です。捜査機関が指定する通訳人は捜査手続のために置かれ、依頼者のために動く立場ではありません。依頼者のための通訳が同行して初めて、その場のやり取りを原語で再現できます。

当事務所のご案内と解決事例

舟渡国際法律事務所は、外国人の刑事事件と入管手続を中心に扱っています。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)で起訴された依頼者の事案では、徹底的な証拠分析と被告人質問・反対尋問により無罪判決を獲得しました。手続の一つひとつを検証する姿勢が結果に結びついた事案です。

また、国際刑事事件、裁判員裁判の対象事件、広く報道された重大事件への対応実績があり、中国籍の方の重大事件にも多数対応しています。冤罪により不法就労助長罪に問われ強制退去の危機にあった女性の事案では、従来の実務に対し責任主義の射程を問う訴訟を提起して上訴審まで争い、その後、入管から在留特別許可が認められました。

当事務所では、松村大介弁護士が初動接見から結審まで全工程を直接担当し、事務員や若手弁護士に代行させません。外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐し、接見にも同行します。提携する行政書士による在留資格サポートにより、刑事手続後の在留資格の維持や更新までワンストップで対応できます。

結語

採尿や採血は一瞬の出来事ですが、そこで何が行われたかが事件の全体を規定します。応じるか断るかを迷ったら、その場で結論を出す前に弁護人と連絡を取ってください。薬物事件は在留への影響が重く、初動の判断が数年先の生活を左右します。

本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。

過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

執筆者

弁護士 松村大介(第一東京弁護士会、登録番号59077、2019年登録)。舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田)。注力分野は外国人刑事弁護、入管手続(退去強制・在留特別許可)、行政訴訟。最終更新:2026年8月。

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网站:https://matsumura-lawoffice.jp/
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本記事の中国語版(简体字)はこちら

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