舟渡国際法律事務所

勾留中の持病と薬をどうするか|留置施設での医療・差入れとご家族にできること

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勾留中の持病と薬をどうするか|留置施設での医療・差入れとご家族にできること

勾留中の持病と薬をどうするか|留置施設での医療・差入れとご家族にできること

2026/08/22

逮捕の知らせを受けたご家族から、しばしば最初に伺うのが「本人は薬を飲んでいるのですが」というお言葉です。高血圧、糖尿病、喘息、うつ病、てんかん。日常的に服薬しておられる方が身柄を拘束されたとき、その薬はどうなるのか。持病があることは手続にどう影響するのか。日本語での説明が届きにくい部分でもありますので、この記事で整理いたします。

本記事の要点

  • 留置施設・拘置所には、被収容者の心身の状況に応じた必要な医療上の措置を講ずる義務があります(刑事収容施設法56条以下)。
  • ご家族が薬をそのまま差し入れることは、原則としてできません。施設の医師の診察と処方を経る仕組みです。
  • ご家族にできる最も有効なことは、通院先・診断名・処方内容が分かる資料を弁護人経由で施設と捜査機関に届けることです。
  • 持病は、勾留の必要性、勾留の執行停止、保釈の判断において考慮され得る事情です。
  • 服薬が中断されている状態での取調べは、供述の任意性・信用性を争う際の重要な事情になります。

施設での医療はどのように行われるか

刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律は、被収容者の健康及び留置施設内の衛生を保持するため、必要な措置を講ずるものと定め、負傷し又は疾病にかかっている被収容者に対しては、必要な医療上の措置を執るものとしています。実際には、施設に配置された医師又は嘱託の医師が診察し、必要に応じて処方が行われます。緊急を要する場合には、外部の医療機関への移送が検討されます。

ここで問題になるのが、時間です。診察までに日数を要すること、施設の医師が従前の処方と異なる薬を選択すること、外国語での症状の説明が十分に伝わらないことがあります。とりわけ、精神科の薬のように中断による影響が大きい種類の薬では、この空白が本人の状態を大きく左右します。

ご家族が薬を持って行っても渡せない

ご家族が処方薬をそのまま差し入れることは、原則として認められません。施設の側で内容と適否を確認できないためです。悔しく感じられるお気持ちは当然のことと存じますが、この点は制度の枠組みとしてご理解いただく必要があります。

その代わりに有効なのが、情報の差入れです。具体的には、お薬手帳の写し、処方箋の写し、診断書、通院先の医療機関名と連絡先、これまでの経過が分かるメモ。これらを弁護人に託していただければ、弁護人から施設と捜査機関に対して、診察と適切な処方を求める申入れを行います。書面で残すことに意味があります。

持病は手続そのものにも影響する

第一に、勾留の必要性の判断です。刑訴法87条1項は、勾留の理由又は必要がなくなったときは勾留を取り消すものとしており、同法95条は、適当と認めるときに勾留の執行を停止することができると定めています。入院を要する状態であることは、これらの判断において考慮される事情です。

第二に、保釈の判断です。健康状態は、刑訴法90条の裁量保釈における「その他の事情」として斟酌され得ます。医師の意見書があるかどうかで、説得力は大きく変わります。

第三に、取調べにおける供述の評価です。必要な薬が中断された状態、あるいは体調が著しく悪い状態で作成された供述調書について、任意性と信用性を争う余地が生じます。日本の刑事裁判では、いったん作成された調書を後から覆すのは容易ではありませんが、その前提として、当時の健康状態が客観的な資料で残されているかどうかが決定的です。だからこそ、早い段階での記録化が重要になります。

外国籍の方に特有の事情

本国から持参した薬をお持ちの場合、成分によっては日本国内で規制対象となっていることがあります。ご本人にその認識がなくとも、所持自体が別の事件になり得ます。ご家族が本国から薬を郵送することも、同じ危険を伴いますので、必ず事前に弁護人にご相談ください。

また、症状を日本語で正確に伝えることは、健康な状態でも難しいことです。当事務所には外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐しており、接見に同行して、体調に関する訴えを正確に汲み取ることができます。捜査機関が手配する通訳とは異なり、依頼者ご本人のために動く立場の通訳であることに、この場面での意味があります。

なお、当事務所は、留置施設における被収容者の処遇について、施設管理権と基本的人権の関係を問う申入れにも取り組んでまいりました。個別の受任と収益を目的とするものではなく、誰も正面から問わなかった論点に筋の通った主張を立てる、社会的な活動として続けているものです。

当事務所の対応と解決事例

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)では、身柄拘束下にある依頼者の状態を、松村大介弁護士が接見を通じて直接把握いたします。

覚醒剤取締法違反(営利目的所持)で起訴された依頼者について、証拠の構造を徹底的に分析し、被告人質問と反対尋問を通じて無罪判決を獲得した事例がございます(事例A-1)。供述がどのような状況で作成されたかを丁寧に検証する作業は、健康状態を争点とする場面にも通じます。

また、退去強制事由の判断について責任主義の射程を問う訴訟に取り組み、その後、入管から在留特別許可が認められた事例がございます(事例D-2)。行政手続の場面でも、本人の状態と手続の適正さを正面から問う姿勢を維持しております。

当事務所の最大の特徴として、松村大介弁護士が接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当いたします(事務員・若手弁護士による代行を行いません)。また、当事務所には外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐しており、捜査機関が指定する通訳とは別に、依頼者ご本人のために動く立場の通訳を、刑事手続全般にわたってご利用いただけます。刑事手続終了後の在留資格の更新・変更については、提携の行政書士とワンストップで対応いたします。

おわりに

薬が足りているか。眠れているか。ご家族が最初に気にされるのは、たいてい法律論ではなく、こうしたことです。その心配は正当なものであり、手続の上でも意味を持ちます。診察を求める申入れも、記録を残す作業も、弁護人が代わって行います。どうぞ、お一人で抱え込まれませんように。

本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。また、過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年8月時点の情報です。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

舟渡国際法律事務所

ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

微信ID:matsumura1119

本記事の中国語版(简体字)はこちら

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住所 : 東京都豊島区高田3丁目4-10布施ビル本館3階
電話番号 :050-7587-4639


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