舟渡国際法律事務所

第三国の国籍を取得したら、日本での在留はどうなるのか|複数旅券の扱い、届出義務、そして上陸拒否期間は国籍を変えても消えない

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第三国の国籍を取得したら、日本での在留はどうなるのか|複数旅券の扱い、届出義務、そして上陸拒否期間は国籍を変えても消えない

第三国の国籍を取得したら、日本での在留はどうなるのか|複数旅券の扱い、届出義務、そして上陸拒否期間は国籍を変えても消えない

2026/08/17

投資による市民権取得、あるいは第三国での帰化。近年、中国籍の方が別の国の国籍を取得された、というご相談が増えております。事業上の必要から、あるいは往来の利便から、という動機はさまざまです。

もっとも、日本の入管法との関係では、国籍の変更は「新しい身分を得た」という以上に、「届け出るべき事実が発生した」という意味を持ちます。報道でも、中国出身の人物が第三国の国籍を取得したうえで日本国内で虚偽の届出を行ったとされる事案が伝えられており、入管法違反として立件に至った例があるとされています。

本記事の要点

  • 日本の入管法上、「外国人」とは日本の国籍を有しない者をいい(入管法2条2号)、複数の国籍を有していても、日本での在留は入国時に用いた旅券を基礎に処理されます。
  • 中国国籍法9条により、自らの意思で外国の国籍を取得した中国公民は、中国国籍を自動的に失うとされています。この点は、日本側の手続の前提として確認が必要です。
  • 在留カードの記載事項に変更が生じた場合、14日以内の届出が必要です(入管法19条の10)。
  • 虚偽の届出は、在留資格取消し(同法22条の4)のほか、刑法上の犯罪として立件され得ます。
  • 過去に退去強制を受けた方の上陸拒否期間は、国籍を変えても消えません。個人識別情報により同一人と特定されるためです。

複数の国籍をもつ方の在留は、どの国籍で扱われるのか

日本の入管法は、日本国籍を有しない者を一律に「外国人」として扱います。複数の国籍を有する方であっても、日本での在留手続は、上陸の際に用いた旅券とそれに基づく在留資格を基礎として進みます。二つの旅券を場面ごとに使い分けることは、手続上、混乱と疑義の原因となります。

ここで注意していただきたいのが、中国国籍法の建て付けです。中国は重国籍を認めておらず、同法9条は、外国に定住する中国公民が自らの意思で外国の国籍を取得したときは中国国籍を自動的に失う旨を定めています。したがって、第三国の国籍を取得した時点で、中国旅券の効力をめぐる問題が生じ得ます。日本側の在留手続に先立ち、この点の整理が必要になる場面は少なくありません。

届出義務を怠るとどうなるか

中長期在留者は、在留カードの記載事項に変更が生じたときは、14日以内に地方出入国在留管理局に届け出なければなりません(入管法19条の10)。国籍・地域欄は、まさにこの記載事項にあたります。

届出を怠った場合、罰則の対象となるほか、その後の在留期間更新や在留資格変更の審査において、手続の履行状況が消極に評価されます。さらに深刻なのは、虚偽の内容で届け出た場合です。偽りその他不正の手段により在留資格を取得したと認められれば、在留資格の取消し事由となります(同法22条の4第1項1号・2号)。

住民票との関係でも問題が生じます。実際には居住していない場所に転入したとして届け出た場合、住民基本台帳法違反にとどまらず、電磁的公正証書原本不実記録・同供用(刑法157条1項、158条1項)として立件されることがあります。この罪の法定刑は5年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金であり、実刑が言い渡されれば入管法24条4号リの退去強制事由が正面から問題となります。

国籍を変えても、上陸拒否期間は引き継がれる

ご相談の中で最も誤解の多い点が、ここです。「以前の国籍で退去強制を受けたが、別の国の旅券なら入国できるのではないか」というお尋ねをいただくことがあります。

結論から申し上げますと、そのようには扱われません。入管法5条1項9号は、退去強制を受けた者について、その退去した日から一定期間(原則5年、一定の場合は10年)の上陸を拒否する旨を定めています。この効果は、旅券や国籍にではなく、個人に帰属します。上陸審査においては、指紋その他の個人識別情報の提供が求められており(同法6条3項)、氏名や国籍が変わっていても、同一人として特定される仕組みが整えられています。

さらに、退去強制事由に該当した経歴を隠して上陸を試みた場合、上陸の申請における虚偽として、より重い評価を受けることになります。過去の経緯がある方こそ、正面から手続を踏み、必要であれば上陸特別許可を求める道筋を検討されるべきです。

初動で押さえておきたい三点

第一に、国籍取得の事実と時期を、客観資料で確定しておくことです。宣誓の日、証書の発行日、旧国籍喪失の効果が生じた日は、それぞれ意味が異なります。

第二に、届出の遅れに気づいた場合の対応です。遅れたこと自体を隠すのではなく、経緯を説明したうえで速やかに届け出ることが、その後の審査における評価を左右します。

第三に、捜査が始まった場合の供述です。国籍・住所・渡航歴に関する質問は、それ自体が犯罪の成否に直結します。記憶に頼らず、資料を確認できるまでは答えを留保するという選択も、正当な権利の行使です。

当事務所のご案内

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)は、松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が、中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護と入管手続に注力しております。国際訴訟における管轄・準拠法の問題、外国判決の承認、現地弁護士との協同といった、国境をまたぐ事案への対応経験も重ねてまいりました。

在留に関わる事案では、観光目的で来日した相談者が在留資格を失い、不法滞在で逮捕・起訴された事案において、国籍国発行の公的書類がほとんど存在しないという困難な状況下で有利な資料を収集し、入管当局の過去の許可事例を分析したうえで、一度の申請で在留特別許可を獲得した事例がございます。国際的な事案としては、海外SNSを用いた侮辱被害について、日本の警察と国際刑事警察機構(インターポール)の捜査を通じて刑事告訴が受理された事例も担当いたしました。裁判員裁判対象事件や、国内外で広く報道された事件への対応実績もございます。

松村大介弁護士が接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当し、外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐しております。在留資格の更新・変更については、提携の行政書士とともに対応いたします。

なお、過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

おわりに

国籍の変更は、身分に関する重大な事実の変動です。日本の在留制度は、その変動を正確に届け出ていただくことを前提に組み立てられており、届出の一つの遅れが、後々まで影響を残すことがあります。手続に迷われた段階でご相談いただければ、選択肢はまだ十分に残されております。

本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年8月時点の情報です。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。

覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

舟渡国際法律事務所

ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

微信ID:matsumura1119

本記事の中国語版(简体字)はこちら

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住所 : 東京都豊島区高田3丁目4-10布施ビル本館3階
電話番号 :050-7587-4639


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