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白タク行為で逮捕されたら|道路運送法違反が在留資格に及ぼす影響と、資格外活動の落とし穴

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白タク行為で逮捕されたら|道路運送法違反が在留資格に及ぼす影響と、資格外活動の落とし穴

白タク行為で逮捕されたら|道路運送法違反が在留資格に及ぼす影響と、資格外活動の落とし穴

2026/08/17

観光需要の回復にともない、駅前や空港で外国人観光客に声をかけ、有償で目的地まで送迎する、いわゆる「白タク」の摘発が各地で相次いでいます。報道によれば、就労資格をもって適法に日本で働いていた方が、副業として送迎を引き受けたところ、警戒中の警察官に現行犯逮捕されたという事案も伝えられています。「知人の紹介で数回運んだだけ」「タクシー料金より少し高いだけで、悪いことをしたつもりはない」。ご本人にしてみれば、そうした感覚が正直なところかと存じます。もっとも、この類型は、刑事責任そのものよりも、在留資格の側で重い結果を招きやすいという特徴があります。

本記事の要点

  • 無許可で有償の旅客運送を行うと、道路運送法4条1項に違反し、同法96条1号により3年以下の拘禁刑若しくは300万円以下の罰金、又はその併科の対象となります。
  • 罰金や不起訴で刑事手続が終わっても、入管手続では「在留資格に対応しない収入活動」として資格外活動が別途問題になります。
  • 資格外活動が主たる活動と評価されると、入管法24条4号ハの退去強制事由や、同法22条の4の在留資格取消しの検討対象となり得ます。
  • 「高度専門職」「技術・人文知識・国際業務」等の就労資格は、許可された活動の範囲が限られており、運送事業はその範囲外です。
  • 刑事事件の見通しと在留への影響は別々に進むため、起訴前の段階から不起訴処分を目標に組み立てることが要になります。

白タク行為はどの法律に触れるのか

一般旅客自動車運送事業を経営するには、国土交通大臣の許可が必要です(道路運送法4条1項)。許可なくこれを経営した場合、3年以下の拘禁刑若しくは300万円以下の罰金、又はその併科という重い法定刑が定められています(同法96条1号)。運転者本人が事業の主体でないと考えていても、自ら客を募り、対価を受け取って運送していれば、実質的に事業を経営したものと評価される余地があります。

摘発の端緒は、駅前・空港での警戒、配車アプリや微信グループの解析、乗客からの申告など様々です。近年は継続的・反復的に行われた事案では、単発の摘発にとどまらず、過去の運行記録や送金履歴まで遡って捜査が及ぶ傾向がみられます。

逮捕から勾留までの72時間で何が決まるか

現行犯逮捕された場合、警察は48時間以内に事件を検察官へ送致し、検察官は24時間以内に勾留を請求するかを判断します。この最初の72時間で身柄の帰趨が決まり、勾留が認められると、原則10日、延長を含めて最大20日の身体拘束が続きます。

この間に何を供述したかは、後の処分と入管手続の双方に影響します。とりわけ「何回くらい運んだか」「いくら受け取ったか」「誰から客の紹介を受けたか」といった点は、事業性の評価に直結します。記憶が曖昧なまま概数で答えた供述が、後に反復継続性の証拠として用いられることは珍しくありません。

在留資格の側で何が起きるのか

刑事の結論が罰金や不起訴であっても、在留資格の問題は残ります。就労資格は、許可された活動の範囲でのみ収入をともなう事業を運営し、又は報酬を受ける活動が認められるものであり(入管法19条1項)、その範囲を超える活動は資格外活動にあたります。

特に注意を要するのは、次の三点です。第一に、資格外活動を専ら行っていると明らかに認められる場合、入管法24条4号ハの退去強制事由に該当し得ます。第二に、本来の在留資格に係る活動を継続して3か月以上行っていないと判断されれば、在留資格取消しの検討対象となります(同法22条の4第1項6号)。第三に、退去強制に至らない場合でも、在留期間更新の審査では素行が考慮され、更新のガイドラインとの関係で不利に働きます。

「高度専門職」のように活動範囲が比較的広い資格であっても、無許可の旅客運送は、その資格が予定する活動とは性質を異にします。資格の名称から「何をしても構わない」と受け取ってしまうことのないよう、ご注意いただきたいところです。

不起訴処分を最優先の目標とすべき理由

外国人の刑事事件では、執行猶予付きの判決を得ても、在留の問題が解決するとは限りません。入管法24条各号は号ごとに構造が異なり、4号リは「無期又は1年を超える拘禁刑に処せられた者」を対象としますが、この号に該当しないからといって安心できるわけではなく、4号ハの資格外活動や、更新審査での素行評価という別の経路が残るためです。

したがって、弁護活動は起訴前の段階から不起訴処分の獲得を最優先の目標として組み立てる必要があります。具体的には、運送の回数・対価・態様を客観資料に基づいて正確に確定し、事業性を基礎づける事実の存否を丁寧に検討したうえで、検察官に対し意見書を提出することになります。営利の程度が限定的であること、勤務先での本来業務が継続していること、再発防止の体制が整っていることを、資料をもって示していくことになります。

初動で押さえておきたい三点

第一に、黙秘権の行使です。回数や金額を曖昧なまま述べることは避け、記録を確認できるまでは答えを留保するという選択も、正当な権利の行使です。

第二に、早期の弁護人選任です。当番弁護士制度を利用することもできますが、入管手続まで見据えた一貫した方針が必要な事案では、私選弁護人の選任をご検討ください。

第三に、通訳の質です。捜査機関が手配する通訳人は、必ずしも入管法や運送事業法制の用語に通じているとは限りません。「営業」「事業」「報酬」といった語の訳出のわずかな差が、供述調書の意味を大きく変えてしまうことがあります。

当事務所のご案内

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)は、松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が、中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護と入管手続を主たる注力分野としております。

在留に関わる事案では、たとえば、観光目的で来日した相談者が在留資格を失い、不法滞在で逮捕・起訴された事案において、婚姻・認知の手続が未了であったところを当局と交渉して整え、国籍国発行の公的書類がほとんど存在しない困難な状況下で有利な資料を収集し、入管当局の過去の許可事例を分析したうえで、一度の申請で在留特別許可を獲得した事例がございます。また、不法就労助長罪に問われて強制退去の危機に瀕した女性の事案では、「退去強制事由には故意・過失を要しない」とされてきた従来の実務に対し、責任主義の射程を問う訴訟を提起して上訴審まで争い、その後、入管から在留特別許可が認められた事例もございます。国際刑事事件・裁判員裁判対象事件への対応実績も重ねてまいりました。

当事務所の最大の特徴として、松村大介弁護士が接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当いたします(事務員・若手弁護士による代行を行いません)。また、外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐しており、捜査機関が指定する通訳とは別に、依頼者ご本人のために動く立場の通訳を、刑事手続全般にわたってご利用いただけます。刑事手続の終了後の在留資格の更新・変更については、提携の行政書士とともにワンストップで対応いたします。

なお、過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

おわりに

白タク事案は、金額の多寡だけを見れば軽微に映ることもありますが、在留資格の観点からは、収入活動の性質そのものが問われる類型です。摘発を受けた段階で、刑事と入管の双方を同時に見通せる体制を整えられるかどうかが、その後の生活の連続性を大きく左右いたします。

本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年8月時点の情報です。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。

覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

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ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

微信ID:matsumura1119

本記事の中国語版(简体字)はこちら

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