勾留中のご家族と手紙をやり取りするには|信書検査の仕組みと、中国語で書くときの注意
2026/08/16
ご家族が留置施設に入られた後、多くの方が最初に直面するのが「どうやって連絡を取ればよいのか」という問題です。接見禁止が付いていると面会もできません。そのようなときに残されている手段が、手紙、すなわち信書のやり取りです。ただし、この信書には検査の仕組みがあり、外国語で書く場合には固有の注意点もあります。中国本土にいらっしゃるご家族からのご相談も多い分野ですので、実務に即して整理いたします。
本記事の要点
- 留置施設では、未決の被留置者が発受する信書について検査が行われます(刑事収容施設法222条1項)。
- 弁護人等から受ける信書や国・地方公共団体の機関から受ける信書は、それに該当することを確認するために必要な限度で検査されます(同条3項)。
- 外国語の手紙は翻訳を要するため、届くまでに日数を要することがあります。
- 接見禁止が付いていても、弁護人との接見は制限されません(刑事訴訟法39条1項)。
信書の検査という仕組み
刑事収容施設法222条1項は、留置業務管理者が、その指名する職員に、未決拘禁者が発受する信書について検査を行わせるものと定めています。つまり、送った手紙も届いた手紙も、原則として内容を読まれることが前提です。
ただし、同条3項は例外を置いています。弁護人等から受ける信書、国または地方公共団体の機関から受ける信書などについては、それらの信書に該当することを確認するために必要な限度で検査が行われるにとどまります。弁護人からの手紙が中身まで読まれないのは、この規定によるものです。
刑事施設(拘置所)についても同様の枠組みがあり、未決拘禁者の信書には検査が行われますが、弁護人等から受ける信書などは確認の限度にとどまります(同法135条)。
中国語で書いてよいのか
中国語で書いていただいて差し支えありません。ただし、検査のために翻訳が必要となりますので、日本語の手紙より届くまでに時間を要するのが通常です。施設によっては、翻訳体制の都合で数日から一週間以上かかることもあります。急ぎのご用件は、弁護人を経由していただくほうが確実です。
内容面では、次の点にご留意ください。事件の内容そのものについて、外部から詳細を尋ねたり、事実関係を指示したりする記載は、罪証隠滅のおそれと評価され、勾留や保釈の判断に影響することがあります。共犯者とされている方の名前を挙げて経緯を確認するような記載も、避けていただくのが賢明です。
他方で、ご家族の近況、健康状態、お子さまの学校の様子、仕事の見通しといった生活上の事柄は、ご本人の精神状態を支えるうえで大きな意味を持ちます。日本の手続に不慣れなご本人にとって、外の世界とつながっている実感は、取調べに向き合う力に直結します。
面会と接見の違い
ご家族の面会には、時間帯、人数、回数の制限があります。留置施設では、弁護人等以外の方との面会について、人数・場所・日・時間帯・時間・回数などに管理運営上必要な制限を設けることができ、回数は1日につき1回を下回らないものとされています(刑事収容施設法220条5項・6項)。
これに対し、弁護人との接見は、立会人なしで行うことができます(刑事訴訟法39条1項)。接見禁止の決定が付されている場合、ご家族の面会は認められませんが、弁護人の接見は制限されません。この違いが、接見禁止が付いた事案で弁護人を選任する意味の中核です。
ご家族にできる3つのこと
- 手紙は短くても頻度を保つこと。長文である必要はありません。日付と、変わらず待っているという事実が伝わることに意味があります。
- 差入れの可否を事前に確認すること。施設ごとに扱いが異なり、書籍や衣類の点数・素材に制限があります。
- 在留に関する書類を並行して整えること。在留カードの写し、更新の時期、勤務先の在籍証明などは、後の入管対応で必要になります。
当事務所のご案内
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)では、松村大介弁護士が接見の初動から公判の結審まで直接担当いたします。ご家族への状況共有も弁護士が直接行いますので、中国本土にいらっしゃるご家族にも、接見のたびに経過をお伝えすることが可能です。
解決事例としては、特殊詐欺の受け子で複数回にわたり再逮捕された事案において、取調べ対応を尽くし全件について不起訴処分を獲得した事例がございます。長期の身柄拘束が続く事案では、外部との連絡経路を確保し続けることが、ご本人の供述の安定に直結いたします。
また、在留資格を失った状態で刑事事件となった方について、婚姻・認知の手続を進めたうえで在留特別許可を獲得した事例もございます。身柄拘束中に何を準備しておくかが、その後の入管手続の結果を左右する場面は少なくありません。
外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐しておりますので、接見時の意思疎通、手紙の内容の確認、ご家族との連絡についても対応が可能です。
結語
連絡が取れない時間は、ご家族にとって最も不安な時間だと存じます。手紙は届くまでに時間がかかりますが、確実に届きます。そして弁護人は、接見禁止が付いていても会いに行くことができます。まずはこの2つの経路を確保するところから、始めていただければと存じます。
本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。また、過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。
本記事は2026年8月時点の情報です。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。
お問い合わせ
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