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国境をまたぐカード犯罪で摘発されたら|日本での罪名と、外国の刑が効いてくる場面

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国境をまたぐカード犯罪で摘発されたら|日本での罪名と、外国の刑が効いてくる場面

国境をまたぐカード犯罪で摘発されたら|日本での罪名と、外国の刑が効いてくる場面

2026/08/16

クレジットカードの情報を盗み、偽造カードで決済を繰り返していた国際的なネットワークが、複数国の警察の共同捜査によって摘発されたと報じられました。国境をまたぐ犯罪では、日本で捜査を受ける方、国外で身柄を拘束される方、そして日本に生活の基盤を残したまま外国の手続に巻き込まれる方が同時に生じます。この記事では、日本国内で問われる罪と、外国での処罰が日本の在留にどう跳ね返るのかを整理いたします。

本記事の要点

  • 支払用カードの電磁的記録を不正に作る行為は、刑法163条の2により10年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金の対象です。
  • この罪は刑法第2編第18章の2に置かれており、入管法24条4号の2が掲げる「第16章から第19章まで」の範囲に含まれると解されます。
  • 別表第一の在留資格をお持ちの方は、この類型で拘禁刑に処せられれば、執行猶予が付いても退去強制事由に当たり得ます。
  • 外国で受けた処罰は、退去強制ではなく上陸拒否(入管法5条1項)の場面で効いてきます。

日本国内で問われる罪

人の財産上の事務処理を誤らせる目的で、クレジットカードその他の支払用カードを構成する電磁的記録を不正に作った者は、10年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金に処せられます(刑法163条の2第1項)。不正に作られた電磁的記録を事務処理の用に供した者、そのカードを譲り渡し、貸し渡し、輸入した者も同様です(同条2項・3項)。

実際の事件では、これに加えて詐欺罪(刑法246条)、電子計算機使用詐欺罪、不正アクセス禁止法違反、組織的犯罪処罰法違反などが積み重なることが少なくありません。日本国内で決済に使った、商品を受け取った、口座を提供したといった関与の形によって、罪名も量刑も変わります。

なお、日本の刑法は一定の重い犯罪について国外犯処罰の規定を置いており、行為地が国外であっても日本で処罰され得る場合があります。他方、日本国内で結果が生じていれば、行為の一部が国外で行われていても日本の捜査権が及びます。「自分は中国国内で指示を受けただけ」という認識が、そのまま不処罰の結論に結び付くわけではありません。

在留への影響――退去強制の側面

入管法24条4号の2は、別表第一の在留資格をもって在留する方について、刑法第2編第12章、第16章から第19章まで、第23章、第26章、第27章、第31章、第33章、第36章、第37章、第39章などの罪により拘禁刑に処せられた場合を退去強制事由としています。支払用カード電磁的記録に関する罪は第18章の2に置かれており、第18章と第19章の間に位置しますので、この範囲に含まれると解されます。

この号には執行猶予の除外規定がありません。したがって、技術・人文知識・国際業務や留学といった別表第一の在留資格をお持ちの方は、執行猶予付きの拘禁刑であっても退去強制事由に該当し得ます。詐欺罪(第37章)や窃盗罪(第36章)も同じ列挙に含まれますので、共犯として詐欺で立件された場合も構造は変わりません。

外国での処罰は上陸拒否の場面で効く

ここは見落とされやすい論点です。入管法24条各号が定める退去強制事由は、基本的に日本の刑事手続で刑に処せられたことを前提としています。他方、上陸拒否事由を定める同法5条1項4号は、「日本国又は日本国以外の国の法令に違反して、一年以上の拘禁刑又はこれに相当する刑に処せられたことのある者」と定めており、外国での処罰を正面から取り込んでいます。

しかも、この4号には、24条4号リのような執行猶予の除外規定が置かれていません。要件も「1年を超える」ではなく「1年以上」です。つまり、外国で受けた判決については、日本国内の判決より広い範囲が上陸拒否事由になり得る構造になっています。さらに同項5号は、麻薬・大麻・あへん・覚醒剤・向精神薬の取締りに関する日本国内外の法令に違反して刑に処せられたことのある者を、刑の重さを問わず上陸拒否の対象としています。

この構造の実務的な意味は、こうです。日本に在留資格を持ったまま外国で処罰を受けた方が、一時帰国の後に再入国しようとする場面で、思いがけず上陸を拒否される可能性がある、ということです。刑事事件が国境をまたぐ以上、日本の在留への影響も国境をまたいで検討しなければなりません。

初動で押さえたい3点

  • 関与の範囲を、時期・行為・報酬の3つの軸で正確に切り分けること。組織全体の規模と、ご本人の関与の程度は別の問題です。
  • 取調べでは、共犯者の供述に引きずられないこと。国際的な事件では、他国で得られた供述が日本の捜査に流入することがあります。
  • 外国での前科・係属中の事件がある場合は、弁護人に必ず伝えること。日本の在留の見通しが根本から変わります。

当事務所のご案内

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)の松村大介弁護士は、国境をまたぐ事件の経験を重ねてまいりました。海外のSNSを用いて行われた侮辱の被害について、日本の警察と国際刑事警察機構の捜査を経て刑事告訴が受理された事例は、その一つです。国際的な捜査の流れと、日本の手続との接続点を実務的に把握していることは、この類型の弁護活動で意味を持ちます。

また、取り込み詐欺の被害に遭った卸業の依頼者について、刑事告訴を端緒に相手方を特定し、被害額を大きく上回る7,500万円の解決金を獲得した事例もございます。財産犯における資金の流れの追跡は、被害者側でも加害者側でも、事案の輪郭を描き直す作業になります。

当事務所の特徴として、松村大介弁護士が接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当いたします(事務員や若手弁護士による代行を行いません)。また、外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐しており、捜査機関が指定する通訳とは別に、依頼者ご本人のために動く立場の通訳を、刑事手続の全般にわたってご利用いただけます。刑事手続が終わった後の在留資格の更新・変更についても、提携の行政書士と連携してワンストップでご対応いたします。

結語

国境をまたぐ事件では、どの国の手続で何が確定したのかを一覧にするところから始まります。日本の刑事処分だけを見ていると、上陸拒否という別の入口でつまずくことがございます。ご本人・ご家族から見て事情が複雑に思える場合ほど、早い段階で全体像を整理する意味は大きいと考えております。

本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。また、過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年8月時点の情報です。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

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ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

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