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大麻の「使用」で摘発されたら|法改正で新設された使用罪と、罰金でも退去強制となる入管法24条4号チ

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大麻の「使用」で摘発されたら|法改正で新設された使用罪と、罰金でも退去強制となる入管法24条4号チ

大麻の「使用」で摘発されたら|法改正で新設された使用罪と、罰金でも退去強制となる入管法24条4号チ

2026/08/14

本記事の要点

  • 令和6年12月12日施行の法改正により、大麻取締法は「大麻草の栽培の規制に関する法律」へと改められ、大麻は麻薬及び向精神薬取締法上の麻薬に位置づけられました。
  • その結果、従来は処罰されていなかった大麻の使用(施用)が処罰の対象となりました。麻薬及び向精神薬取締法27条5項に違反した場合、同法66条の2により7年以下の拘禁刑です。
  • 入管法24条4号チは、麻薬及び向精神薬取締法、大麻草の栽培の規制に関する法律、あへん法、覚醒剤取締法等に違反して有罪の判決を受けた者を退去強制事由と定めています。
  • この号には、刑の軽重による限定も、執行猶予を除外する但書もありません。罰金でも、執行猶予付きの拘禁刑でも、有罪であれば該当します。
  • したがって、薬物事犯における弁護活動は、起訴前の不起訴処分の獲得以外に、在留を完全に守る出口がありません。

薬物事犯について、外国人の方のご相談で最も多い誤解は、「量が少なく初犯だから、執行猶予で済むだろう」というものです。刑事処分の見通しとしては、必ずしも誤りではありません。しかし、在留資格の観点からは、この見通しは何の安心材料にもなりません。

本記事では、令和6年の法改正で新設された大麻の使用罪の内容と、入管法24条4号チという条文がなぜ薬物事犯において決定的なのかを、条文の構造に即して説明いたします。

1 大麻に関する法改正で何が変わったか

令和6年12月12日に施行された法改正により、従来の大麻取締法は「大麻草の栽培の規制に関する法律」へと改称され、大麻草の栽培に関する規制を主たる内容とする法律に整理されました。これと同時に、大麻は麻薬及び向精神薬取締法上の麻薬として位置づけられました。

この改正の実務上の最大の意味は、大麻の使用が処罰の対象となった点にあります。従来の大麻取締法には使用罪の規定がなく、所持・譲渡・譲受け・栽培等が処罰の対象でした。改正後は、麻薬及び向精神薬取締法27条5項が何人も禁止される麻薬の施用を受けてはならないと定め、これに違反した場合には同法66条の2第1項により7年以下の拘禁刑に処せられます。営利の目的がある場合は、同条2項により1年以上10年以下の拘禁刑となり、情状により罰金が併科されます。

尿検査によって使用が確認された場合、従来であれば所持を立証できなければ立件が困難でしたが、現在は使用それ自体が処罰の対象です。摘発の入口が広がったと理解する必要があります。

2 入管法24条4号チ ― 薬物事犯だけが持つ特別な構造

ここからが本題です。入管法24条4号チは、昭和26年11月1日以後に、麻薬及び向精神薬取締法、大麻草の栽培の規制に関する法律、あへん法、覚醒剤取締法、いわゆる麻薬特例法、又は刑法第二編第14章の規定に違反して有罪の判決を受けた者を、退去強制事由と定めています。

この条文を、同じ24条4号リと読み比べてください。4号リは、無期又は1年を超える拘禁刑に処せられた者と刑の重さで線を引いた上、刑の全部の執行猶予を受けた者を除くという但書を置いています。ところが4号チには、刑の重さによる限定がなく、執行猶予を除外する但書もありません。要件は「有罪の判決を受けた」ことだけです。

したがって、罰金刑であっても、執行猶予付きの拘禁刑であっても、薬物関係の法令違反で有罪判決を受ければ、それだけで退去強制事由に該当します。永住者であるか、日本人の配偶者であるか、留学生であるかを問いません。24条4号は、本邦に在留する外国人一般を対象とする号だからです。

「執行猶予が付いたから日本に残れる」という説明は、少なくとも薬物事犯においては、条文上成り立ちません。この点を正確に伝えていない説明が世上少なくないため、あえて強調いたします。

3 退去強制の先にあるもの ― 上陸拒否の期間

薬物事犯のもう一つの重い帰結は、再入国の可否です。入管法5条1項は上陸拒否事由を定めており、薬物関係の法令違反により刑に処せられたことがある者については、期間の定めのない上陸拒否事由として整理されています。退去強制歴による上陸拒否が5年ないし10年という期間で区切られているのと対照的に、薬物の前科は年数による回復が予定されていません。

つまり、薬物事犯で有罪となった場合の帰結は、日本を出るという一回限りの不利益にとどまらず、その後の来日の可能性そのものに及びます。ご家族が日本にいらっしゃる方にとって、この違いは決定的です。

4 不起訴処分だけが完全な出口である

以上の構造から導かれる結論は一つです。薬物事犯において在留を完全に守る道は、起訴前の段階で不起訴処分を獲得すること以外にありません。有罪判決を受けた時点で4号チに該当してしまう以上、公判で執行猶予を得ることは、在留の観点からは目標になり得ないのです。

起訴前の弁護活動としては、所持や使用の事実そのものを争うべき事案では、押収手続の適法性、鑑定の信用性、共同所持における占有の帰属といった点を具体的に検討します。事実を争わない事案でも、初犯であること、依存の程度、治療プログラムへの参加、家族による監督体制といった事情を整理し、起訴猶予を求める意見書を検察官に提出することが考えられます。

また、仮に退去強制手続に進んだ場合には、在留特別許可を求める余地が残ります。入管法50条は、退去強制対象者について、家族関係、在留の経緯、人道上の配慮といった事情を考慮して在留を特別に許可する制度を定めています。出入国在留管理庁が公表している過去の許可事例を分析し、同種の事情について許可の実績があることを示して、平等原則の観点から主張を組み立てることになります。

5 初動で押さえておきたい3点

  • 所持品検査や任意同行の場面での対応が、後の押収手続の適法性の議論を左右します。何を求められ、何に同意したのかを正確に記憶しておいてください。
  • 取調べでは黙秘権が保障されています。入手経路について尋ねられた際の説明は、共犯関係や営利目的の認定に直結します。方針を決める前に弁護人と話してください。
  • 通訳の質を確認する。薬物事犯では、「もらった」「預かった」「買った」の区別が量刑と罪名の双方に影響します。訳出の精度が結論を左右する類型です。

6 当事務所のご案内

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)は、中国籍の依頼者を中心とする外国人の刑事弁護と入管手続を主たる注力分野としております。松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が、初動の接見から公判の結審まで全工程を直接担当いたします。

薬物事犯については、覚醒剤取締法違反(営利目的所持)で起訴された依頼者について、徹底的な証拠分析と被告人質問・反対尋問を通じて無罪判決を獲得した事例がございます。営利目的の薬物事犯は法定刑が極めて重く、執行猶予の獲得も容易ではない類型ですが、捜査手続の適法性、所持の故意、営利目的の不存在といった点を丁寧に主張立証することで、結論が変わる場合がございます。

退去強制手続への対応も一貫して行っております。不法就労助長罪に問われ強制退去の危機に瀕した女性の事案では、退去強制事由の判断には故意・過失を要しないとする従来の実務に対し、責任主義の射程を問う訴訟を提起して上訴審まで争い、その後、入管から在留特別許可が認められました。この論点は現在も松村大介弁護士が係争中の争点です。

当事務所には外国人事件に精通した中国語の専属通訳が常駐しており、接見・打合せ・公判の各段階でご利用いただけます。

7 おわりに

薬物事犯は、刑事手続の見通しと在留の見通しが最も大きく食い違う類型です。刑事弁護人が執行猶予を獲得して事件が終わったと考えた時点で、入管手続が始まります。だからこそ、最初の接見の段階から、刑事と入管の双方を見据えた方針を立てる必要があります。ご家族から連絡を受けられた方は、早い段階でご相談ください。

本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。

過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年8月時点の情報です。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

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ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

微信ID:matsumura1119

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