偽造在留カードの所持・行使で逮捕された方へ|偽造公文書行使罪・入管法と在留への影響
2026/07/16
はじめに
就労や賃貸契約、口座開設などの場面で在留カードの提示を求められた際に、偽造されたカードを所持・行使したとして摘発される事案が続いています。事情を知らずに交付されたカードを使ってしまう例もあれば、就労制限を回避する目的で用いられる例もあります。本記事は、偽造在留カードの所持・行使の類型で刑事事件になった場合を念頭に、手続と在留への影響を一般的に整理します。
想定される刑事手続の流れ
在留カードは公的な証明文書であり、これを偽造し、または偽造されたものと知りながら行使すれば、偽造公文書行使罪(刑法155条・158条)が問題となります。加えて、偽造在留カードの所持等は入管法73条の3により、5年以下の拘禁刑又は500万円以下の罰金の対象とされています。逮捕後は取調べ、送致、勾留の判断を経て、起訴・不起訴が決まります。偽造であることの認識、すなわち故意の有無が、責任の重さを大きく左右します。
外国人事件特有のリスク(退去強制・在留資格)
この類型は、外国人の在留管理の根幹に関わるものであり、有罪となれば在留への影響は避けがたいものとなります。1年を超える拘禁刑の実刑に処せられれば入管法24条4号リに該当し得るほか、偽変造文書の行使に関わる事案は、在留資格の取消し(入管法22条の4)や更新拒否の理由ともなり得ます。もっとも、偽造であることを知らずに用いてしまった事案では、故意の不存在を丁寧に立証することで、責任の範囲を適切に画することが可能です。
不起訴処分の重要性
在留を守るうえで最も重要なのは、起訴前の段階で不起訴処分を得ることです。カード取得の経緯、偽造であることの認識の程度、使用の目的や回数、生活の実態を丁寧に示し、検察官に処分の再考を求めます。知らずに交付されたカードを用いたにすぎない事案では、故意の不存在を正面から主張することが、刑事と入管の双方における防御の基礎となります。
初動対応で押さえておきたい3つのポイント
- 黙秘権の行使:偽造の認識や取得の経緯は評価の分かれ目です。方針が定まる前の供述は慎重に判断すべきです。
- 早期の弁護人選任:カードの入手経路や使用状況を早期に整理し、故意の有無を丁寧に検討することが求められます。
- 経験ある通訳の確保:取得の経緯や認識の内容を正確に伝えるには、質の高い通訳が欠かせません。
当事務所のご案内と解決事例
当事務所は、在留管理に直結する事案について、刑事弁護と入管手続を一体で捉える弁護を重ねてまいりました。故意の有無が争点となる事案では、認識の内容を丁寧に立証します。
難関とされた在留特別許可の獲得
公的書類がほとんど存在しない困難な状況でも、有利な証拠を収集し、入管当局の過去の許可事例を分析して在留特別許可を得た事例がございます。書類をめぐる事案での立証力を示すものです。
故意・過失を争う姿勢(係争中の論点)
松村弁護士は、退去強制事由の判断にも故意・過失の観点を及ぼすべきかを問う訴訟を現在係争中です。認識の不存在を刑事段階から積み上げることが、入管手続での主張の基礎となります(結果を予断するものではありません)。
特殊詐欺での不起訴処分
従属的な立場や切迫した状況を丁寧に示し、依頼者について不起訴処分を得た事例がございます。
当事務所の最大の特徴として、松村大介弁護士が接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当いたします(事務員・若手弁護士による代行を行いません)。また、当事務所には外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐しており、捜査機関が指定する通訳とは別に、依頼者ご本人のために動く立場の通訳を、刑事手続の全般にわたってご利用いただけます。刑事手続の終了後の在留資格の更新・変更等については、提携の行政書士とも連携し、ワンストップでご対応いたします。
おわりに
偽造在留カードの事案は、認識の有無によって結論が大きく変わります。心当たりのない経緯でカードを用いてしまった方こそ、早い段階で弁護人にご相談ください。本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。また、過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。
【執筆者】
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。
舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
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