舟渡国際法律事務所

職場でハラスメントを受けた外国人労働者へ|相談先の選び方と在留資格を守る対応

お問い合わせはこちら

職場でハラスメントを受けた外国人労働者へ|相談先の選び方と在留資格を守る対応

職場でハラスメントを受けた外国人労働者へ|相談先の選び方と在留資格を守る対応

2026/08/30

日本語が下手だと毎日のように人前で笑われる、国籍を理由に危険な作業ばかり割り当てられる、上司から体を触られて拒んだら勤務時間を減らされた。そして、抗議しようとすると「文句を言うなら会社を辞めてもらう、そうしたらビザもなくなる」と言われる。こうしたご相談は、外国人労働者の方から繰り返し寄せられます。

この記事では、外国人であることに関わるハラスメントがどのように扱われるのか、どこに相談すればよいのか、そして在留資格を人質に取るような言い分にどう対応すべきかを説明します。

外国人であることを理由にした嫌がらせもハラスメントになりますか

なります。国籍や出身、日本語の習熟度を理由に侮辱する、仲間外れにする、他の従業員と異なる不利益な扱いをするといった行為は、職場における違法な嫌がらせとして評価され得ます。日本の法律は、事業主に対し、職場でのパワーハラスメントやセクシュアルハラスメントを防止するための措置を講じる義務を課しています。

また、労働条件について国籍を理由に差別的な取扱いをすることは、労働基準法によって明確に禁止されています。同じ仕事をしているのに外国人だからという理由だけで賃金が低い、休憩が与えられないといった状況は、それ自体が法律違反です。

会社に相談したら在留資格を取り消すと言われました。本当ですか

本当ではありません。在留資格の付与、更新、取消しの権限を持つのは国であり、会社ではありません。会社ができるのは、雇用契約を終了させることと、その事実を行政機関に届け出ることまでです。

もちろん、就労資格で在留している方にとって、職を失うことが在留に影響することは事実です。しかし、それは退職後の手続をどう進めるかという問題であって、会社が意のままに資格を消せるという話ではありません。この誤解を利用して不当な要求を通そうとする例が実際にありますので、そのような発言があった場合は日時と文言を記録に残してください。

どこに相談すればよいですか

状況に応じて次のような窓口があります。多くは通訳や多言語対応を用意しています。

  • 各都道府県労働局の総合労働相談コーナー。ハラスメント全般の相談ができ、会社への助言や指導、あっせんにつながることがあります。
  • 労働基準監督署。賃金の不払い、違法な長時間労働、危険な作業環境など、労働基準法に関わる問題を扱います。
  • 外国人在留支援センター。在留手続と労働問題の相談窓口が同じ場所に集まっています。
  • 法テラス。資力の要件を満たす場合、無料の法律相談や弁護士費用の立替えを利用できます。
  • 弁護士。会社に対する損害賠償の請求や、退職後の在留資格の設計まで含めて対応します。

証拠として何を残しておくべきですか

ハラスメントの事案では、被害の内容を裏づける記録があるかどうかで結論が大きく変わります。次のものを、できる範囲で残してください。

  • いつ、どこで、誰から、どのような言動を受けたかを書いた日付入りの記録。母語で書いたもので構いません。
  • メール、メッセージアプリのやり取り、業務用チャットの画面の記録。
  • その場のやり取りの録音。自分が会話の当事者である場合、相手の同意がなくても記録として用いることができます。
  • 体調を崩した場合は、医療機関の診断書と通院の記録。
  • シフト表、給与明細など、不利益な扱いの前後の変化が分かる資料。

技能実習や特定技能の場合、特別な相談先はありますか

あります。技能実習の方は、監理団体のほかに、制度を所管する機構の母国語相談窓口を利用でき、実習先での暴力や人権侵害があった場合には実習先の変更が検討されます。特定技能の方は、受入れ機関または登録支援機関に相談窓口を設ける仕組みがあり、機能していない場合には出入国在留管理庁の窓口に直接相談できます。

ただし、監理団体や受入れ機関が問題の発生源になっている場合、内部の窓口だけでは解決しないことがあります。内部の相談と並行して、外部の公的窓口や弁護士にも接触しておくことをお勧めします。

ハラスメントを理由に退職した場合、在留資格はどうなりますか

就労を目的とする在留資格の場合、退職しても資格が直ちに消えるわけではありませんが、契約機関に関する届出を14日以内に行う義務があります。これは入管法19条の16に定められた義務で、怠ると更新の審査で不利に働くことがあります。

そのうえで、同じ資格の範囲で転職先を探すことになります。資格に対応する活動を行わない状態が長期化すると在留資格の取消しの対象になり得ますが、正当な理由があれば除かれます。ハラスメントによって退職せざるを得なかった経緯や、その後の求職活動の状況は、この正当な理由を説明する材料になりますので、記録を残しておいてください。

会社に慰謝料や損害賠償を請求できますか

できる場合があります。加害者本人に対しては不法行為に基づく損害賠償を、会社に対しては使用者としての責任や、職場環境を整える義務に違反したことを理由とする賠償を求めることが考えられます。ハラスメントが原因で精神疾患を発症した場合には、治療費や休業による損失も請求の対象になります。

請求の方法としては、代理人を通じた交渉、労働局によるあっせん、労働審判、訴訟があります。どの手段が適切かは、証拠の量、相手方の対応、解決までにかけられる時間によって変わります。在留期間の残りが少ない場合は、手続の選択自体を在留の見通しと合わせて考える必要があります。

相談したことを理由に不利益な扱いを受けたらどうすればよいですか

ハラスメントを相談したことを理由に、解雇する、契約を更新しない、配置を不利益に変更するといった取扱いをすることは許されません。事業主には、相談を理由とする不利益取扱いを行ってはならない義務があります。

実際にそのような扱いを受けた場合は、相談の日時と内容、その後に起きた処遇の変化を時系列で整理し、速やかに労働局や弁護士に相談してください。報復的な取扱いがあったという事実は、元のハラスメントの悪質さを裏づける事情にもなります。泣き寝入りせずに記録を積み上げることが、結果として最も強い対抗手段になります。

当事務所のご案内

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)は、中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護と入管手続を主たる注力分野としています。担当する松村大介弁護士(第一東京弁護士会所属・登録番号59077・2019年登録)が、警察署での最初の接見から検察官との交渉、公判、その後の入管手続に至るまで全工程を直接担当します。事務員や若手弁護士が代わりに対応することはありません。

外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐しており、捜査機関が手配する通訳とは別に、依頼者ご本人のために動く立場の通訳を利用していただけます。取調べで何を話したのか、入管で何を聞かれているのかを正確に把握できる体制です。刑事手続が終わった後の在留資格の更新・変更等については、提携する行政書士とワンストップで対応します。

  • 難関とされた在留特別許可を1回の手続で獲得した事例。観光目的で来日した相談者が日本人女性との間に子を授かったものの、在留資格を失い不法滞在で逮捕・起訴された事案です。婚姻と認知の手続が未了で当局から一旦不受理とされたところ、松村弁護士が憲法的な観点から当局と交渉して婚姻・認知を成立させ、入管法違反の刑事裁判を意識した被告人質問・証人尋問を行いました。国籍国発行の公的書類がほとんど存在しない困難な状況下でも有利な証拠を集め、入管当局の過去の許可事例を分析することで、1回の手続で在留特別許可を得ました。
  • 強制退去の危機にあった女性を救済した事例。冤罪により不法就労助長罪に問われ、強制退去の危機に瀕した女性の事案です。「退去強制事由には故意・過失を要しない」とされてきた従来の実務に対し、責任主義の射程を問う訴訟を提起して上訴審まで争いました。その後、入管から在留特別許可が認められました。

初回のご相談は無料です。費用は事案に応じてお見積りします。まずは現在の状況を整理するところから、一緒に始めさせてください。

おわりに

職場でのハラスメントは、日本語や在留資格の不安と結びついたとき、抵抗することがひときわ難しくなります。しかし、在留資格を左右するのは会社ではなく国であり、その判断にあたっては、なぜ辞めざるを得なかったのかという経緯もきちんと説明することができます。今すぐ辞めるかどうかを決める前に、記録を手元に集め、公的窓口や弁護士に一度状況を話してみてください。

なお、本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。また、ここで紹介した過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではありません。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。

覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

お問い合わせ

舟渡国際法律事務所

ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

微信ID:matsumura1119

この記事の他の言語版

简体中文

----------------------------------------------------------------------
舟渡国際法律事務所
住所 : 東京都豊島区高田3丁目4-10布施ビル本館3階
電話番号 :050-7587-4639


東京にて中国人の方をサポート

東京を中心に刑事事件の弁護

東京にて行政事件に関する対応

----------------------------------------------------------------------

当店でご利用いただける電子決済のご案内

下記よりお選びいただけます。