家族が日本で逮捕されたとき|日本にいる家族・中国にいる家族が最初の72時間にできること
2026/08/31
夫が仕事に出たまま帰ってこない。警察から短い電話があり、逮捕されたとだけ告げられた。中国にいる両親から何度も連絡が来るが、こちらも何が起きているのか分からない。日本語での説明は早口で聞き取れず、どこに行けば会えるのかも分からない。逮捕直後のご家族は、ほとんどがこうした状態に置かれます。
刑事手続は、逮捕から数日のうちに次々と節目を迎えます。この記事では、日本にいるご家族と中国にいるご家族が、それぞれの立場で何ができるのかを、時間の流れに沿って整理します。
家族が逮捕されたと聞きました。まず何をすればよいですか
最初にすべきことは、本人がどこの警察署にいるのか、どのような容疑なのか、この二つを確認することです。この二点が分からないと、弁護士に依頼することも、面会に行くこともできません。
警察から連絡があった場合には、電話を切る前に、警察署の名称、担当部署、電話番号、そして容疑となっている事実の名称を必ず書き留めてください。動揺していると聞き逃しがちですが、後から確認するには時間がかかります。
そして、逮捕直後の数日は、その後の見通しを大きく左右する時期です。この時期に本人がどのような説明をしたかが記録に残り、後から覆すことは容易ではありません。できる限り早く弁護士に相談してください。
どこの警察署にいるのか分からないときはどうしますか
心当たりのある警察署に問い合わせる方法のほか、弁護士会の窓口を通じて確認できる場合があります。また、中国籍の方については、領事機関に対する通報や領事による面会の仕組みがあり、大使館・領事館に相談することで所在が分かることもあります。
いずれの方法でも、確認には氏名の正確な表記(漢字とアルファベットの両方)、生年月日、国籍が必要になります。在留カードや旅券の写しが手元にあれば、それを見ながら伝えてください。
家族は本人に会えますか
逮捕から勾留が決まるまでの間は、家族による面会は原則として認められていません。勾留が決まった後は面会できるようになりますが、事件によっては裁判所が接見禁止の決定をすることがあり、その場合、家族は本人に会えず、手紙のやり取りもできません。
接見禁止が付いている場合でも、弁護人は本人と面会できます。共犯者がいる事件や否認している事件では接見禁止が付くことが多く、この場合、弁護人を通じて本人の状況を知り、本人にご家族の意向を伝えることが唯一の連絡手段になります。弁護人の選任が急がれる理由の一つがここにあります。
弁護士はいつから頼めますか
逮捕された直後から依頼できます。制度としては次のものがあります。
- 当番弁護士。逮捕された本人やご家族の求めにより、弁護士が一度、無料で接見に来る制度です。初回の接見で本人の状況を確認できます。
- 国選弁護人。勾留が決まった後に、資力の要件を満たす場合に選任されます。
- 私選弁護人。ご家族が弁護士を選んで依頼するもので、逮捕直後から動くことができます。
外国籍の方の事件では、通訳を確保できるか、入管手続への影響まで見通せるかが、弁護活動の質を大きく左右します。通訳を介した意思疎通ができないまま取調べが進むことは、本人にとって非常に不利です。
中国にいる家族が日本の弁護士に依頼できますか
できます。依頼にあたって来日する必要はありません。電話や通信アプリを通じて事情を伺い、必要書類のやり取りも遠隔で行えます。
中国にいるご家族にお願いしたいのは、次のような点です。
- 本人の氏名(漢字・アルファベット)、生年月日、旅券番号を正確に伝える
- 日本にいる親族・知人の連絡先を整理する
- 本国での家族構成、就労状況、送金の実績など、生活状況を示す資料を集める
- 身元引受人となる意思がある場合、その旨を文書にする準備をする
これらは、後の身柄の解放や量刑の主張、さらには在留の手続においても資料として用いられます。
差入れや費用の送金はどうすればよいですか
留置施設では、現金や衣類、書籍などの差入れができます。ただし、施設ごとに受付時間や品目の制限が異なるため、事前に電話で確認してください。現金の差入れは、日用品の購入に使われます。
接見禁止が付いている場合、物の差入れは認められても、手紙のやり取りは認められないことがあります。何が可能かは事件によって異なるため、弁護人に確認するのが確実です。
手続はどのくらいの期間で進みますか
逮捕された後、警察は48時間以内に検察官に送致し、検察官は24時間以内に、かつ逮捕の時から72時間以内に、勾留を請求するかどうかを判断します。勾留が決まると原則として10日間、やむを得ない事由があるとされればさらに10日を超えない範囲で延長されます。
つまり、逮捕から起訴・不起訴が決まるまで、おおむね3週間前後という限られた時間で進んでいきます。この期間に、被害者の方がいる事件であれば示談の交渉を進め、身元引受の体制を整え、不起訴を求める意見を提出していくことになります。時間の使い方がそのまま結果に影響します。
家族の対応が結果に影響することはありますか
あります。ご家族にしかできないことが少なくありません。
- 身元引受書を作成し、釈放後の生活環境を具体的に示す
- 勤務先との関係を維持し、在職証明などを取得する
- 被害弁償の資金を準備し、示談交渉を可能にする
- 本人の生活状況・家族関係を示す資料を整える
- 通訳を介した連絡体制を整え、弁護人と情報を共有する
加えて、外国籍の方の場合は刑事事件の結果が在留資格に影響する点を忘れてはなりません。刑事手続と退去強制手続は別個に進みます。1年を超える拘禁刑の実刑は退去強制事由となり得ますが、全部執行猶予が付いた場合は除かれます(入管法24条4号リの但書)。他方、薬物に関する事件では、罰金や執行猶予であっても退去強制事由に当たるとされています(同号チ)。刑事事件の見通しと在留への影響は、必ず一体として検討する必要があります。
当事務所のご案内
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)は、中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護と入管手続を主たる注力分野としています。担当する松村大介弁護士(第一東京弁護士会所属・登録番号59077・2019年登録)が、警察署での最初の接見から検察官との交渉、公判、その後の入管手続に至るまで全工程を直接担当します。事務員や若手弁護士が代わりに対応することはありません。
外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐しており、捜査機関が手配する通訳とは別に、依頼者ご本人のために動く立場の通訳を利用していただけます。取調べで何を話したのか、入管で何を聞かれているのかを正確に把握できる体制です。刑事手続が終わった後の在留資格の更新・変更等については、提携する行政書士とワンストップで対応します。
- 難関とされた在留特別許可を1回の手続で獲得した事例。観光目的で来日した相談者が日本人女性との間に子を授かったものの、在留資格を失い不法滞在で逮捕・起訴された事案です。婚姻と認知の手続が未了で当局から一旦不受理とされたところ、松村弁護士が憲法的な観点から当局と交渉して婚姻・認知を成立させ、入管法違反の刑事裁判を意識した被告人質問・証人尋問を行いました。国籍国発行の公的書類がほとんど存在しない困難な状況下でも有利な証拠を集め、入管当局の過去の許可事例を分析することで、1回の手続で在留特別許可を得ました。
- 強制退去の危機にあった女性を救済した事例。冤罪により不法就労助長罪に問われ、強制退去の危機に瀕した女性の事案です。「退去強制事由には故意・過失を要しない」とされてきた従来の実務に対し、責任主義の射程を問う訴訟を提起して上訴審まで争いました。その後、入管から在留特別許可が認められました。
初回のご相談は無料です。費用は事案に応じてお見積りします。まずは現在の状況を整理するところから、一緒に始めさせてください。
おわりに
ご家族が逮捕された直後は、情報がないまま時間だけが過ぎていくように感じられます。しかし実際には、警察署の特定、弁護人の選任、身元引受の準備、被害者対応といった、家族にしかできない作業が並行して必要になる時期です。最初の数日の動き方が、その後の身柄の扱いにも、在留の見通しにも影響します。
舟渡国際法律事務所では、中国語の通訳を交えて、日本にいるご家族からも中国にいるご家族からもご相談を承り、初回の接見、身柄解放に向けた活動、示談交渉、そして刑事事件の結果が在留資格に及ぼす影響の検討まで、一体としてご案内しています。なお、本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。また、ここで紹介した過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではありません。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。
覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。
お問い合わせ
舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119
この記事の他の言語版
----------------------------------------------------------------------
舟渡国際法律事務所
住所 : 東京都豊島区高田3丁目4-10布施ビル本館3階
電話番号 :050-7587-4639
東京にて中国人の方をサポート
東京を中心に民事事件に対応
東京にて行政事件に関する対応
----------------------------------------------------------------------