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外国人が仕事中にけがをしたとき|労災保険の申請手順と在留資格への影響

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外国人が仕事中にけがをしたとき|労災保険の申請手順と在留資格への影響

外国人が仕事中にけがをしたとき|労災保険の申請手順と在留資格への影響

2026/08/30

建設現場の足場から落ちて骨を折った、工場の機械に指を挟まれた、飲食店の厨房で大やけどを負った。日本で働く外国人の方から、こうしたご相談を受けることは決して珍しくありません。痛みと不安のなかで、治療費は誰が払うのか、働けない間の生活はどうなるのか、そして何より、けがをしたことで在留資格を失ってしまうのではないか、という心配が重くのしかかります。

この記事では、仕事中のけがに対する労災保険の基本的な考え方、会社が協力してくれない場合の申請の進め方、そして療養が在留資格に与える影響について、順を追って説明します。

外国人労働者でも労災保険を使えますか

使えます。労災保険は、事業に使用されて賃金を受け取る労働者であれば、国籍や在留資格の種類にかかわらず適用される制度です。正社員だけでなく、アルバイト、パート、日雇い、試用期間中の方も対象になります。

会社が労災保険の加入手続を怠っていた場合や、保険料を納めていなかった場合でも、労働者が給付を受ける権利がなくなるわけではありません。加入や保険料の納付は事業主側の義務であって、その不履行の不利益を労働者が負うという仕組みにはなっていないからです。会社から「うちは労災に入っていないから使えない」と言われても、それを理由にあきらめる必要はありません。

在留資格がない状態で働いていた場合でも労災は認められますか

労災保険の給付との関係では、認められる取扱いです。労災保険は、実際に労働者として働いていたという事実に着目する制度であり、在留資格を持っていたかどうか、資格外活動の許可を受けていたかどうかによって、けがに対する補償が否定されるものではありません。

ただし、これは入管法上の責任がなくなるという意味ではありません。資格外活動や不法残留の問題は、労災とはまったく別の手続として並行して進みます。この二つを混同せず、それぞれについて見通しを立てることが重要です。

労災を申請すると入管に通報されてしまいますか

労働基準監督署は労働災害の認定と保険給付を担当する機関であり、外国人の在留状況を摘発することを目的とする機関ではありません。もっとも、在留資格を持たずに働いていた事案では、その後の治療や在留の手続の過程で就労の事実が明らかになることは十分にあり得ます。

大切なのは、通報を恐れて申請そのものを断念してしまわないことです。重い後遺障害が残るような事故では、補償を受けられるかどうかがその後の人生を左右します。労災の申請と入管手続の見通しを同時に組み立てるという発想で、早い段階で弁護士にご相談ください。

会社が労災の手続に協力してくれない場合はどうすればよいですか

労働者本人、または本人が動けない場合はご家族が、労働基準監督署に直接請求することができます。請求書には事業主が災害の事実を証明する欄がありますが、会社が証明を拒んでいる場合には、その事情を記載して提出することが認められています。会社の協力は望ましいものの、必須の条件ではありません。

仕事中のけがを健康保険で治療したり、労働者死傷病報告を出さずに事故そのものを隠したりすることは、いわゆる労災隠しであり、法律上許されません。会社から「健康保険を使ってほしい」「転んだことにしてほしい」と求められた場合は、応じる前に必ず外部にご相談ください。

労災保険からはどのような給付を受けられますか

主な給付は次のとおりです。国外に帰国した後も、要件を満たす限り受給を続けられる給付があります。

  • 療養に関する給付。治療費は原則として自己負担なしで受けられます。
  • 休業に関する給付。働けない期間について、休業4日目から給付基礎日額の6割の給付と2割の特別支給金が支払われます。最初の3日間は会社が休業補償を行います。
  • 後遺障害が残った場合の給付。障害の程度に応じて年金または一時金が支給されます。
  • 亡くなられた場合の遺族に対する給付と葬祭に関する給付。
  • 療養が長期に及ぶ場合の傷病に関する年金、重度の障害が残った場合の介護に関する給付。

けがで働けない間、在留資格はどうなりますか

療養のために働けないというだけで、在留資格が直ちに失われるわけではありません。就労を目的とする在留資格については、その活動を継続して3か月以上行っていない場合に取消しの対象となり得ますが、正当な理由があると認められる場合は除かれます。業務上の負傷による療養は、この正当な理由に当たり得る典型的な事情です。

そのためにも、診断書、治療経過の記録、会社との間で雇用が継続していることが分かる書類は、必ず保管しておいてください。後の更新申請や取消手続で、療養の必要性を説明する資料になります。

治療を続けるために在留期間を延ばすことはできますか

事案によりますが、療養の必要性が客観的に認められる場合、在留期間の更新や在留資格の変更によって治療のための在留が認められることがあります。判断にあたっては、治療にどれだけの期間を要するのか、その間の生活費や治療費をどのように賄うのかが問われます。

主治医の診断書と治療計画、労災給付の決定通知、支弁能力を示す資料をそろえたうえで、在留期間が満了する前に地方出入国在留管理局に相談することが大切です。期間が切れてしまってからでは、選択できる手段が大きく狭まります。

会社に対して労災保険とは別に賠償を請求できますか

できる場合があります。会社には、労働者が安全に働けるよう配慮する義務があり、安全対策を怠ったことが事故の原因になっている場合には、この義務違反を理由とする損害賠償を請求できます。足場や機械の安全装置の不備、必要な保護具を与えなかったこと、危険な作業を十分な教育なしにさせたことなどが典型です。

労災保険では慰謝料が支払われないため、精神的損害の賠償はこの請求によって初めて実現します。ただし、労災保険から受けた給付と重なる部分は調整されますし、請求には時効の制限もあります。事故の状況を記録した写真、同僚の証言、安全教育の実施状況などは、時間が経つほど集めにくくなりますので、早めの着手をお勧めします。

当事務所のご案内

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)は、中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護と入管手続を主たる注力分野としています。担当する松村大介弁護士(第一東京弁護士会所属・登録番号59077・2019年登録)が、警察署での最初の接見から検察官との交渉、公判、その後の入管手続に至るまで全工程を直接担当します。事務員や若手弁護士が代わりに対応することはありません。

外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐しており、捜査機関が手配する通訳とは別に、依頼者ご本人のために動く立場の通訳を利用していただけます。取調べで何を話したのか、入管で何を聞かれているのかを正確に把握できる体制です。刑事手続が終わった後の在留資格の更新・変更等については、提携する行政書士とワンストップで対応します。

  • 難関とされた在留特別許可を1回の手続で獲得した事例。観光目的で来日した相談者が日本人女性との間に子を授かったものの、在留資格を失い不法滞在で逮捕・起訴された事案です。婚姻と認知の手続が未了で当局から一旦不受理とされたところ、松村弁護士が憲法的な観点から当局と交渉して婚姻・認知を成立させ、入管法違反の刑事裁判を意識した被告人質問・証人尋問を行いました。国籍国発行の公的書類がほとんど存在しない困難な状況下でも有利な証拠を集め、入管当局の過去の許可事例を分析することで、1回の手続で在留特別許可を得ました。
  • 強制退去の危機にあった女性を救済した事例。冤罪により不法就労助長罪に問われ、強制退去の危機に瀕した女性の事案です。「退去強制事由には故意・過失を要しない」とされてきた従来の実務に対し、責任主義の射程を問う訴訟を提起して上訴審まで争いました。その後、入管から在留特別許可が認められました。

初回のご相談は無料です。費用は事案に応じてお見積りします。まずは現在の状況を整理するところから、一緒に始めさせてください。

おわりに

仕事中のけがは、補償の問題と在留の問題が同時に押し寄せます。この二つは制度としては別物ですが、実際の対応では切り離せません。労災の申請を進めながら、療養中の在留資格をどう維持するか、回復後にどの資格で働くのかまで見通しておくことで、選べる道は大きく広がります。会社との関係が悪化していたり、在留資格に不安があったりする場合ほど、一人で判断せず、早い段階で専門家にご相談ください。

なお、本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。また、ここで紹介した過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではありません。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。

覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

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ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

微信ID:matsumura1119

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