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最低賃金を下回る給与で働かされていた場合|差額の請求方法と確認の手順

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最低賃金を下回る給与で働かされていた場合|差額の請求方法と確認の手順

最低賃金を下回る給与で働かされていた場合|差額の請求方法と確認の手順

2026/08/30

時給1,000円と聞いて働き始めたが、後で調べたら自分が働く都道府県の最低賃金はもっと高かった。あるいは、月給から寮費と食費を大きく引かれ、手元に残る金額を働いた時間で割ると、とても最低賃金には届かない。日本で働く外国人の方から、こうしたご相談が寄せられます。

最低賃金は、国籍にかかわらず、日本国内で働くすべての労働者に適用されます。ここでは、自分の給与が最低賃金を下回っているかをどう確かめるか、下回っていた場合に差額をどう請求するかを、順を追って説明します。

最低賃金より低い給与でも、合意して契約したなら有効ですか

結論として、有効ではありません。最低賃金法は、最低賃金額に達しない賃金を定める労働契約について、その部分を無効とし、最低賃金と同じ額を定めたものとみなすと規定しています。

つまり、本人が納得して署名していたとしても、最低賃金額との差額を請求することができます。この点は、日本語が読めないまま契約書に署名した場合でも変わりません。

また、地域別最低賃金は、都道府県ごとに定められ、毎年10月ごろに改定されるのが通例です。数年前に決めた時給をそのまま据え置いていると、いつの間にか最低賃金を下回っていることがあります。働き始めたときは適法だったとしても、現在も適法とは限りません

自分の給与が最低賃金を下回っているかどうかは、どう確かめますか

結論として、時間あたりの金額に換算し、勤務地の都道府県の地域別最低賃金と比べます。手順は次のとおりです。

  • 月給制の場合は、月の賃金額を、1か月の平均所定労働時間で割ります。
  • 日給制の場合は、日給を1日の所定労働時間で割ります。
  • 出来高払の場合は、その期間の賃金総額を、その期間の総労働時間で割ります。

ここで重要なのは、計算に含めない賃金があることです。次のものは、最低賃金と比べる際の対象から除かれます。

  • 通勤手当、家族手当、精皆勤手当。
  • 臨時に支払われる賃金、賞与など1か月を超える期間ごとに支払われる賃金。
  • 時間外労働、休日労働、深夜労働に対する割増賃金。

したがって、残業代を含めた総支給額で割ると、最低賃金を上回っているように見えても、実際には下回っていることがあります。給与明細の内訳を一つずつ確認してください。勤務地の最低賃金額は、厚生労働省や都道府県労働局のウェブサイトで確認できます。

技能実習生や特定技能でも最低賃金は適用されますか

結論として、適用されます。最低賃金法は、日本国内で働く労働者について、国籍や在留資格の種類にかかわらず適用されます。

技能実習生、特定技能、留学の資格外活動、家族滞在の資格外活動、いずれの立場でも同じです。実習だから、研修だから、試用期間だからという理由で最低賃金を下回ってよいことにはなりません

例外的に、都道府県労働局長の許可を受けた場合に限り、最低賃金額から一定の減額が認められる仕組みがあります。試用期間中の方や、認定職業訓練を受けている方などが対象ですが、これは許可を受けて初めて認められるものであり、会社が自分の判断で減額してよいという制度ではありません。会社から減額の説明を受けた場合は、許可を受けているかどうかを確認してください。

寮費や食費を天引きされている場合はどう計算しますか

結論として、天引き後の手取り額ではなく、支払われるべき賃金の額を基準に判断します。ただし、天引きそのものが適法かどうかは、別に検討が必要です。

賃金は全額を支払うのが原則であり、税金や社会保険料など法令に定めのあるものを除いて、賃金から控除するには、労働者の過半数を代表する者との書面による協定が必要とされています。会社が一方的に決めて天引きすることは認められていません

また、控除される額が実際にかかっている費用を大きく超えている場合には、その控除自体が問題となり得ます。技能実習や特定技能では、居住費や食費の徴収について実費相当額とする考え方が示されています。

ご相談の際は、控除されている項目と金額、寮の部屋の広さと同居人数、食事が実際に提供されていたか、控除に関する協定書や同意書に署名した記憶があるかを整理しておいてください。

差額はどうやって請求すればよいですか

結論として、最低賃金額と実際に支払われた額との差額を計算し、会社に請求します。請求できる期間は、賃金請求権の消滅時効により、当分の間、支払期日から3年とされています。

進め方としては、次の順序が現実的です。

  • 働いた日と時間を示す資料を集める。タイムカードの写真、シフト表、上司とのメッセージ、ご自身でつけた出退勤のメモなど。
  • 給与明細と振込記録を集め、実際に受け取った額を確定する。
  • 勤務地の最低賃金額を確認し、期間ごとに差額を計算する(最低賃金は毎年改定されるため、期間で分けて計算します)。
  • 書面で会社に請求する。内容証明郵便を用いると、請求した事実と日付が記録に残ります。
  • 解決しない場合は、労働基準監督署への申告、都道府県労働局のあっせん、労働審判、訴訟といった手続を検討する。

労働基準監督署や都道府県労働局には、多言語で相談できる窓口が設けられています。資料が完全に揃っていなくても、相談を始めることはできます

会社が最低賃金を下回る給与を支払っていた場合、どうなりますか

結論として、差額の支払義務が生じるほか、地域別最低賃金を下回る賃金を支払った場合には、50万円以下の罰金が定められています。特定最低賃金についても罰則が定められています。

雇用主の方に向けて申し上げると、最低賃金は毎年改定されますので、改定の時期に合わせて時給を見直す運用を社内の年間予定に組み込んでおくことが確実です。寮費や食費を控除する場合には、必要な労使協定を整え、控除額が実費相当であることを説明できるようにしておいてください。

相談したことで解雇されたり、帰国させられたりしませんか

結論として、労働基準監督署に申告したことを理由として解雇その他の不利益な取扱いをすることは、法律で禁じられています。会社が帰国を強制する権限を持っているわけでもありません。

技能実習の場合、実習先を離れることに不安を感じる方が多くいらっしゃいますが、労働条件に関する問題がある場合の相談窓口が用意されています。会社から、帰国させる、在留資格がなくなると告げられても、それが直ちに事実とは限りません。まず事実を確認してください。

もっとも、実際に退職に至る場合には、在留資格の手続が必要になります。次の点を確認してください。

  • 勤務先が変わったときは、14日以内に入管へ届け出る必要があります(入管法19条の16)。
  • 在留資格に応じた活動を行っていない状態が続くと、在留資格の取消しが検討されることがあります(入管法22条の4)。転職活動を続けていることや、労働に関する争いが継続していることは、説明すべき事情です。

在留資格を維持しながら次の職場に移るにはどうすればよいですか

結論として、退職の前に、次の勤務先の業務内容が現在の在留資格に対応しているかを確認しておくことが最も重要です。

  • 就労資格をお持ちの方は、次の職場の業務内容が在留資格に対応するかを、雇用契約を結ぶ前に確認します。就労資格証明書の交付を申請して、あらかじめ確認しておく方法もあります。
  • 技能実習の場合は転籍に関する制度上の枠組みがあり、特定技能の場合は転職先での在留資格変更の手続が必要になります。
  • 退職から次の就職までの空白期間が長引かないよう、早めに動くことが大切です。

賃金の請求と在留資格の維持は、どちらか一方だけを進めればよいものではありません。両方を同時に見ながら、順序を決めていくことが必要です。

当事務所のご案内

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)は、中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護と入管手続を主たる注力分野としています。担当する松村大介弁護士(第一東京弁護士会所属・登録番号59077・2019年登録)が、警察署での最初の接見から検察官との交渉、公判、その後の入管手続に至るまで全工程を直接担当します。事務員や若手弁護士が代わりに対応することはありません。

外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐しており、捜査機関が手配する通訳とは別に、依頼者ご本人のために動く立場の通訳を利用していただけます。取調べで何を話したのか、入管で何を聞かれているのかを正確に把握できる体制です。刑事手続が終わった後の在留資格の更新・変更等については、提携する行政書士とワンストップで対応します。

  • 難関とされた在留特別許可を1回の手続で獲得した事例。観光目的で来日した相談者が日本人女性との間に子を授かったものの、在留資格を失い不法滞在で逮捕・起訴された事案です。婚姻と認知の手続が未了で当局から一旦不受理とされたところ、松村弁護士が憲法的な観点から当局と交渉して婚姻・認知を成立させ、入管法違反の刑事裁判を意識した被告人質問・証人尋問を行いました。国籍国発行の公的書類がほとんど存在しない困難な状況下でも有利な証拠を集め、入管当局の過去の許可事例を分析することで、1回の手続で在留特別許可を得ました。
  • 強制退去の危機にあった女性を救済した事例。冤罪により不法就労助長罪に問われ、強制退去の危機に瀕した女性の事案です。「退去強制事由には故意・過失を要しない」とされてきた従来の実務に対し、責任主義の射程を問う訴訟を提起して上訴審まで争いました。その後、入管から在留特別許可が認められました。

初回のご相談は無料です。費用は事案に応じてお見積りします。まずは現在の状況を整理するところから、一緒に始めさせてください。

おわりに

最低賃金は、働く人の生活を支えるための最低限の基準であり、国籍や在留資格の種類によって変わるものではありません。自分の給与がその基準を満たしているかどうかは、給与明細と労働時間の記録があれば確かめられます。下回っていたことが分かった場合、差額を請求する権利があります。時効の期間があるため、迷っている時間が長いほど請求できる範囲は狭まります。在留資格への影響が不安な方も、その点を含めて一緒に検討できますので、まずはご相談ください。

なお、本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。また、ここで紹介した過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではありません。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。

覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

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ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

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