外国人雇用状況の届出を忘れたらどうなるか|ハローワークへの届出義務と是正の方法
2026/08/30
外国人の方を採用したものの、ハローワークへの届出が必要だと知らないまま数か月が経ってしまった。あるいは、雇用保険の手続はしていたが、離職時の届出まで意識が回っていなかった。中小規模の事業所では、こうしたご相談が少なくありません。
外国人雇用状況の届出は、外国人の方を雇い入れたとき、離職したときに、事業主が行う法律上の義務です。ここでは、何をいつまでに届け出るのか、届出を怠るとどうなるのか、遅れてしまった場合にどう是正すればよいのかを説明します。気づいた時点で速やかに届け出ることが、最も現実的な対応です。
外国人雇用状況の届出とはどのような制度ですか
結論として、外国人の方を雇い入れたとき、及びその方が離職したときに、事業主が氏名や在留資格などをハローワークに届け出る制度です。労働施策の総合的な推進等に関する法律に基づくもので、事業所の規模を問わず、すべての事業主に義務があります。
この届出は、外国人の方の雇用管理の改善と再就職支援に用いられるものです。アルバイトやパートタイムの方も対象であり、正社員に限られません。
ただし、特別永住者の方、及び在留資格が外交又は公用である方については、届出の対象から除かれています。永住者、日本人の配偶者等、定住者といった、活動に制限のない在留資格の方は届出の対象になります。
いつまでに何を届け出ればよいですか
結論として、雇用保険の被保険者となる方かどうかで、様式と期限が分かれます。
- 雇用保険の被保険者となる方。雇用保険被保険者資格取得届に、在留資格、在留期間、国籍・地域などを記載して届け出ます。提出期限は、雇い入れた日の属する月の翌月10日までです。離職時は、資格喪失届により、離職日の翌日から起算して10日以内に届け出ます。
- 雇用保険の被保険者とならない方。外国人雇用状況届出書により、雇い入れ又は離職の日の属する月の翌月末日までに届け出ます。
届け出る内容には、氏名、在留資格、在留期間、生年月日、性別、国籍・地域のほか、資格外活動許可の有無や在留カードの番号が含まれます。いずれも在留カードを確認しなければ書けない事項ですので、採用時の在留カード確認と届出は一続きの手続として設計してください。
届出は、ハローワークの窓口のほか、電子申請によることもできます。
届出を怠るとどうなりますか
結論として、届出を行わなかった場合や、事実と異なる内容を届け出た場合は、30万円以下の罰金の対象とされています。
もっとも、届出漏れが判明したときに直ちに処罰されるという運用ではなく、まずは速やかに届け出るよう求められるのが通常です。放置を続けることが最も避けるべき対応であり、気づいた時点で是正することが重要です。
加えて、届出を行っていないと、外国人の方が離職した際の再就職支援を受けられないなど、働く方にとっての不利益も生じます。制度の目的が雇用管理の改善と再就職支援にある以上、届出は会社の義務であると同時に、働く方を守る仕組みでもあります。
過去の分をまとめて届け出ることはできますか
結論として、期限を過ぎた分についても、遅れて届け出ることができます。すでに離職している方の分も含めて、判明した範囲で届け出てください。
実務的な進め方としては、次の手順が現実的です。
- 過去に雇い入れた外国人の方を一覧にし、雇入れ日と離職日を確認する。
- 各人について、届出済みか未届けかを整理する。
- 在留カードの写しなど、届出事項を確認できる資料を集める。
- 管轄のハローワークに事情を説明し、必要な様式と提出方法を確認する。
ここで事実と異なる日付や内容を記載することは避けてください。虚偽の届出も罰則の対象とされています。遅れた事実はそのまま記載し、経緯を説明する方が結果として穏当に処理されます。
届出を怠っていたことは不法就労助長の判断に影響しますか
結論として、届出漏れそのものが不法就労助長罪になるわけではありません。両者は別の制度です。
もっとも、届出を行うには在留資格と在留期間を確認する必要があるため、届出をしていなかったことは、在留資格の確認を行っていなかったことの現れと受け取られる可能性があります。
不法就労助長罪を定める入管法73条の2には、外国人が不法就労活動を行うことを知らなかったことを理由として処罰を免れることはできない、ただし過失がなかったときはこの限りでないという趣旨の規定が置かれています。在留カードの確認を行い、その内容に基づいて届出をしていたという事実は、確認を尽くしていたことを示す事情になります。届出を確実に行うことは、会社を守ることにもつながります。
届出をしていない外国人従業員の在留資格に影響はありますか
結論として、事業主の届出漏れが、直ちに外国人の方の在留資格に不利益をもたらすわけではありません。届出義務は事業主が負うものです。
他方で、外国人の方ご本人にも、入管に対する届出義務があります。中長期在留者の方は、勤務先の変更や勤務先の名称・所在地の変更など、契約機関に関する事情が変わったときは、14日以内に届け出る必要があります(入管法19条の16)。この届出は、ハローワークへの届出とは別の手続です。
本人の届出が長く行われていないと、在留期間更新や在留資格変更の審査で説明を求められることがあります。会社としては、採用時と退職時に、本人の届出義務についても案内しておくと親切です。
特別永住者や外交・公用の在留資格の方も届出が必要ですか
結論として、特別永住者の方、及び在留資格が外交又は公用である方は、届出の対象から除かれています。
一方で、永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者といった、就労に制限のない在留資格の方は、届出の対象です。活動に制限がないことと、届出の要否とは別の問題ですので、混同しないようご注意ください。
また、技能実習や特定技能の在留資格の方についても、届出の対象です。これらの制度には別途、受入れに関する報告や届出の枠組みがありますが、ハローワークへの雇用状況の届出はそれとは別に必要になります。
届出漏れを防ぐために何をすればよいですか
結論として、採用と退職の手続の流れの中に届出を組み込み、担当者が代わっても抜けない形にすることです。
- 採用手続のチェックリストに、在留カードの原本確認、写しの保存、雇用状況の届出を並べて記載する。
- 届出の期限を、雇用保険の被保険者となる方とならない方とで分けて明記する。
- 届出後は控えを保管し、いつ誰が届け出たかを記録する。
- 退職手続のチェックリストにも、離職時の届出を明記する。
- 在留期間の満了日を一覧で管理し、更新後は届出内容との整合を確認する。
- 複数の事業所がある場合は、届出を行う事業所を明確にしておく。
特別な費用や手間を要する取組みではありません。手続を仕組みにしてしまうことが、最も確実な再発防止策です。
当事務所のご案内
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)は、中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護と入管手続を主たる注力分野としています。担当する松村大介弁護士(第一東京弁護士会所属・登録番号59077・2019年登録)が、警察署での最初の接見から検察官との交渉、公判、その後の入管手続に至るまで全工程を直接担当します。事務員や若手弁護士が代わりに対応することはありません。
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初回のご相談は無料です。費用は事案に応じてお見積りします。まずは現在の状況を整理するところから、一緒に始めさせてください。
おわりに
外国人雇用状況の届出は、忘れられやすい手続ですが、在留カードの確認と一体で行えば負担の大きいものではありません。届出漏れに気づいたときは、放置せず、判明した範囲で速やかに届け出てください。過去の分をどこまで、どのように是正すべきか判断に迷う場合や、あわせて在留資格の確認に不安がある場合は、早い段階でご相談いただければ、必要な手順を整理してお示しできます。
なお、本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。また、ここで紹介した過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではありません。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。
覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。
お問い合わせ
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ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
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