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不法就労助長罪で会社と代表者が受ける処分の実際|刑事処分と事業への影響

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不法就労助長罪で会社と代表者が受ける処分の実際|刑事処分と事業への影響

不法就労助長罪で会社と代表者が受ける処分の実際|刑事処分と事業への影響

2026/08/30

従業員の在留資格を十分に確認しないまま働いてもらっていた、あるいは資格外活動許可の上限を超える時間のシフトを組んでいた。こうした事情が入管の調査や警察の捜査で明らかになると、会社と代表者は不法就労助長の問題に直面します。

ここでは、不法就労助長罪がどのような犯罪であり、会社と代表者それぞれにどのような処分が及ぶのか、刑事処分以外にどのような影響があるのか、そして捜査が始まった段階で何をすべきかを整理します。過度に不安をあおるためではなく、取りうる対応を早い段階で見極めていただくための説明です。

不法就労助長罪とはどのような犯罪ですか

不法就労助長罪は入管法73条の2に定められた犯罪で、事業活動に関して外国人に不法就労活動をさせる行為、外国人に不法就労活動をさせるためにこれを自己の支配下に置く行為、これらの行為に関しあっせんする行為が対象とされています。

法定刑は5年以下の拘禁刑若しくは500万円以下の罰金、又はその併科です。ここでいう不法就労活動には、在留資格がない方に働いていただく場合だけでなく、就労が認められない在留資格の方を働かせる場合、資格外活動許可の範囲を超えて働かせる場合が含まれます。

つまり、在留カードを持っている方であっても、資格の内容と実際の業務が食い違っていれば問題になり得るという点が重要です。

会社と代表者はそれぞれどのような処分を受けますか

結論として、実際に行為をした代表者や担当者が処罰の対象となるほか、法人にも罰金刑が科される仕組みになっています。

入管法には両罰規定が置かれており、法人の代表者や法人の従業者が、法人の業務に関して不法就労助長行為をしたときは、行為者を罰するほか、法人に対しても罰金刑が科されます。したがって、代表者個人の刑事責任と、法人としての罰金は別に検討されます。

採用や勤怠管理を担当していた現場の責任者が対象になることもあります。誰がどの範囲で判断していたのかという事実関係が、責任の所在を分ける大きな要素になりますので、社内の決裁の流れを整理しておくことが必要です。

知らなかったと主張すれば処罰を免れますか

結論として、知らなかったという主張だけでは足りません。入管法73条の2には、外国人が不法就労活動を行うことを知らなかったことを理由として処罰を免れることはできない、ただし過失がなかったときはこの限りでないという趣旨の規定が置かれています。

したがって、知らなかったことについて過失がなかったといえるかどうかが中心的な争点になります。具体的には、在留カードの原本を確認したか、裏面の資格外活動許可を見たか、他の勤務先の有無を尋ねたか、在留期限を管理していたか、といった事実が検討されます。

逆にいえば、確認の手順を定めて実施し、記録を残していた会社は、その事実を根拠に説明することができます。日々の運用が、いざというときの防御に直結します。

刑事処分のほかにどのような不利益がありますか

刑事処分だけで終わらない点に注意が必要です。事業への影響としては、次のようなものが考えられます。

  • 特定技能の受入れ機関や技能実習の実習実施者・監理団体については、一定の刑に処せられてから5年を経過しないことが欠格事由とされており、新たな受入れができなくなることがあります。
  • 許認可を要する業種では、役員が一定の刑に処せられたことが欠格事由とされている場合があります。要件は業法ごとに異なりますので、個別の確認が必要です。
  • 国や地方公共団体の入札参加資格について、指名停止等の措置が取られることがあります。
  • 取引先との契約に、法令違反があった場合の解除条項が置かれていることがあります。

これらは刑事処分の重さとは別の基準で判断されるため、刑事事件としては軽い処分で終わっても、事業への影響が長く残ることがあります

代表者が外国人の場合、在留資格にどう影響しますか

結論として、刑事処分とは別に、退去強制手続が進む可能性があります。ここは特に見落とされやすい点です。

入管法24条3号の4は、不法就労助長に当たる行為をしたことを退去強制事由としています。この事由は行為があったこと自体で該当し、刑事処罰を受けたことを要件としていません。そのため、刑事事件が不起訴で終わった場合や、罰金で終わった場合であっても、退去強制手続が別に進むことがあります。

経営・管理その他の在留資格の更新審査においても、素行に関する事情として考慮されます。刑事弁護と入管手続を切り離さず、同時に見通しを立てることが欠かせません。

捜査や調査が始まった段階で会社は何をすべきですか

結論として、事実関係の正確な把握と資料の保全を、他の何よりも先に行ってください。

  • 対象となる従業員の採用時期、提示された在留カードの内容、確認の経緯を時系列で整理する。
  • 雇用契約書、タイムカード、シフト表、給与明細、賃金台帳を保全する。
  • 採用や勤怠管理を担当した従業員から、記憶が鮮明なうちに経緯を聴き取る。
  • 従業員が個別に事情聴取を受ける可能性があることを想定し、弁護人の助言を受ける機会を確保する。

資料の廃棄や記録の作り直しは、それ自体が新たな問題を生みます。事実に反する説明をしないこと、分からないことは分からないと述べることが、結果として最も守りの固い対応になります。

不起訴や罰金で終わることはありますか

結論として、事案の内容によって処分は大きく異なり、結果を事前に保証することはできません。もっとも、判断に影響し得る事情は一定程度、整理することができます。

  • 就労させた人数と期間、組織的な関与の有無。
  • 賃金や労働条件が適正であったか、不当な利益を得ていなかったか。
  • 在留資格の確認をどの程度行っていたか、記録が残っているか。
  • 問題が判明した後の対応、社内体制の是正、再発防止策の実施状況。
  • 前科前歴の有無。

是正措置は、捜査が終わるのを待たずに着手できます。確認手順の整備、担当者への研修、勤怠管理の見直しなどは、事後の対応として評価され得る事情です。

再発を防ぐために整えるべき体制は何ですか

採用から退職までを通した確認の流れを、文書として定めることが出発点です。担当者が交代しても同じ確認ができる状態にしておくことが目的です。

  • 採用時に在留カードの原本を確認し、表裏の写しを保存する。読取アプリケーションと番号失効情報照会を併用する。
  • 予定している業務内容が、在留資格に対応した活動といえるかを事前に検討する。
  • 資格外活動許可がある方については、他の勤務先を含めた合計の労働時間を管理する。
  • 在留期間の満了日を一覧化し、更新申請の予定を早めに把握する。
  • ハローワークへの外国人雇用状況の届出を確実に行う。
  • 本人に対し、契約機関に関する届出(入管法19条の16に基づく14日以内の届出)を周知する。

外国人の方に働いていただくことは、多くの事業にとって不可欠になっています。体制を整えることは採用を狭めるためではなく、安心して続けられる雇用をつくるためのものです。

当事務所のご案内

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)は、中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護と入管手続を主たる注力分野としています。担当する松村大介弁護士(第一東京弁護士会所属・登録番号59077・2019年登録)が、警察署での最初の接見から検察官との交渉、公判、その後の入管手続に至るまで全工程を直接担当します。事務員や若手弁護士が代わりに対応することはありません。

外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐しており、捜査機関が手配する通訳とは別に、依頼者ご本人のために動く立場の通訳を利用していただけます。取調べで何を話したのか、入管で何を聞かれているのかを正確に把握できる体制です。刑事手続が終わった後の在留資格の更新・変更等については、提携する行政書士とワンストップで対応します。

  • 難関とされた在留特別許可を1回の手続で獲得した事例。観光目的で来日した相談者が日本人女性との間に子を授かったものの、在留資格を失い不法滞在で逮捕・起訴された事案です。婚姻と認知の手続が未了で当局から一旦不受理とされたところ、松村弁護士が憲法的な観点から当局と交渉して婚姻・認知を成立させ、入管法違反の刑事裁判を意識した被告人質問・証人尋問を行いました。国籍国発行の公的書類がほとんど存在しない困難な状況下でも有利な証拠を集め、入管当局の過去の許可事例を分析することで、1回の手続で在留特別許可を得ました。
  • 強制退去の危機にあった女性を救済した事例。冤罪により不法就労助長罪に問われ、強制退去の危機に瀕した女性の事案です。「退去強制事由には故意・過失を要しない」とされてきた従来の実務に対し、責任主義の射程を問う訴訟を提起して上訴審まで争いました。その後、入管から在留特別許可が認められました。

初回のご相談は無料です。費用は事案に応じてお見積りします。まずは現在の状況を整理するところから、一緒に始めさせてください。

おわりに

不法就労助長の問題は、悪意をもって法を破ったという事案ばかりではなく、確認の手順が定まっていなかった、担当者が代わって管理が途切れたといった経緯から生じることが少なくありません。捜査や調査が始まった段階でも、事実を正確に把握し、是正に着手することで説明できることは多くあります。刑事処分と在留資格の問題は同時に検討する必要がありますので、早い段階でご相談ください。

なお、本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。また、ここで紹介した過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではありません。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。

覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

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ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

微信ID:matsumura1119

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