舟渡国際法律事務所

外国人を雇うとき在留カードのどこを確認すべきか|確認を怠った雇用主が受ける評価

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外国人を雇うとき在留カードのどこを確認すべきか|確認を怠った雇用主が受ける評価

外国人を雇うとき在留カードのどこを確認すべきか|確認を怠った雇用主が受ける評価

2026/08/30

飲食店や建設業、介護施設の経営者の方から、外国人の方を採用したいが在留カードのどこを見ればよいのか分からない、というご相談を受けることがあります。応募者から在留カードのコピーを渡され、写真と名前が一致していることは確かめたものの、在留資格の欄や裏面までは見ていなかった、という例は少なくありません。

在留カードの確認は、外国人の方を安心して迎え入れるための最初の手続です。ここでは、どの欄をどのような順序で確認すればよいのか、確認を怠った場合に雇用主がどのように評価されるのか、そして入社後の管理をどう組み立てればよいのかを、制度に即して整理します。

外国人を雇うときに在留カードのどこを確認すればよいですか

結論として、確認すべきは在留資格・在留期間の満了日・就労制限の有無・裏面の資格外活動許可欄の四点です。表面の氏名と写真だけを見て終わりにしてはいけません。

  • 在留資格の欄。技術・人文知識・国際業務、技能、特定技能、技能実習などの就労資格か、留学・家族滞在などの原則として就労できない資格か、永住者・日本人の配偶者等・定住者などの活動制限のない資格かを見分けます。
  • 在留期間の満了日。採用予定日の時点で有効かどうかを確認します。
  • 就労制限の有無の欄。就労不可と記載されていれば、裏面の資格外活動許可がない限り働かせることはできません。
  • 裏面の資格外活動許可欄。許可の有無と、許可された活動の範囲が記載されています。

在留カードの確認は法律上の義務なのですか

入管法には、雇用主に在留カードの確認そのものを直接命じる条文は置かれていません。しかし、確認をしなかったことが免責の理由になるわけではないという点が重要です。

不法就労助長罪を定める入管法73条の2には、外国人が不法就労活動を行うことを知らなかったことを理由として処罰を免れることはできない、ただし過失がなかったときはこの限りでないという趣旨の規定が置かれています。つまり、知らなかったと述べるだけでは足りず、知らなかったことに過失がなかったといえるかどうかが問われます。在留カードの確認は、この過失の有無を判断する際の中心的な事情になります。

また、外国人雇用状況の届出をハローワークに提出するには、在留資格と在留期間を記載しなければなりません。届出の前提としても、確認は事実上避けられません。

資格外活動許可があれば何時間まで働かせてよいですか

留学の在留資格をお持ちの方について包括的な資格外活動許可が出ている場合、就労は原則として1週について28時間以内に限られます。学則で定める長期休業期間中は1日8時間以内という取扱いになります。

ここで注意が必要なのは、この時間の上限は、勤務先ごとではなく本人が行う就労の合計で判断されるという点です。自社では週20時間しか働かせていなくても、他店でも働いていれば合計で上限を超えることがあります。採用面接の段階で他の勤務先の有無と勤務時間を確認し、書面に残しておくことをお勧めします。

また、資格外活動許可があっても、風俗営業等に関する業務に従事させることは認められていません。裏面の許可の記載内容を読み、範囲を超えないよう業務を設計してください。

在留カードの確認を怠った場合、雇用主はどう評価されますか

結論として、確認を怠っていた事実は、不法就労助長について過失がなかったとはいえないと評価される方向に働きます。

不法就労助長罪は入管法73条の2に定められており、法定刑は5年以下の拘禁刑若しくは500万円以下の罰金、又はその併科です。法人の代表者や従業員が業務に関してこの行為をした場合、行為者本人だけでなく法人にも罰金刑が科される両罰規定が置かれています。

さらに、雇用主ご自身が外国人の方である場合には、退去強制事由である入管法24条3号の4に注意が必要です。この事由は不法就労助長に当たる行為があったこと自体で該当し、刑事処罰を受けたことを要件としません。刑事事件が不起訴となった場合でも、退去強制手続が別に進むことがあります。

内定から入社までの間に確認しておくべきことは何ですか

採用の各段階で確認事項を分けて設計すると、抜けが生じにくくなります。

  • 面接時。在留カードの原本を提示していただき、表裏の両面を確認します。原本を見ずにコピーやスマートフォンの画像だけで判断しないでください。
  • 内定時。予定している業務内容が在留資格に対応した活動といえるかを確認します。技術・人文知識・国際業務の在留資格をお持ちの方に、単純作業を中心とする業務のみを担当させる形になっていないかは、特に問題になりやすい点です。
  • 入社前。在留期間の満了日が近い場合は、更新申請の予定と進捗を伺い、必要に応じて雇用契約書や在職証明書などの資料を用意します。
  • 入社時。ハローワークへの外国人雇用状況の届出の準備を行います。

在留カードのコピーはどのように保管すればよいですか

在留カードの写しは、在留資格の確認を行ったことを後から示すための資料になりますので、表裏の両面を保存し、確認した日付と確認した担当者名を記録として残してください。

一方で、在留カードには氏名、生年月日、住居地、顔写真などの個人情報が含まれます。取得の目的を在留資格の確認と雇用状況の届出に限定し、アクセスできる担当者を絞り、退職後は社内規程に従って適切に廃棄するという運用を併せて整えることが大切です。目的を超えて社内で共有したり、取引先に提供したりすることは避けてください。

在留期限の管理はどのように行えばよいですか

在留期間の満了日を人事の管理表に登録し、満了の3か月前を目安に本人に更新申請の予定を確認する運用が現実的です。在留期間更新の申請は、原則として在留期間の満了日の3か月前から受け付けられています。

申請が満了日までに受理されていれば、審査中は一定の期間、従前の在留資格で在留を継続できる取扱いがあります。もっとも、この取扱いに頼りきるのではなく、早めに申請していただくことが結果として双方の安心につながります。

あわせて、外国人の方ご本人には、転職や勤務先の名称変更など契約機関に関する事情が変わったときは14日以内に届け出る義務があること(入管法19条の16)をお伝えください。この届出を怠った状態が続くと、在留資格の更新審査で不利に働くことがあります。

確認の結果、就労できない在留資格だと分かったらどうすればよいですか

結論として、その状態のまま働いていただくことはできません。まず就労を開始しない、既に開始している場合は速やかに中止することが出発点になります。

その上で、採用したい業務の内容に対応する在留資格への変更が可能かどうかを検討します。学歴や実務経験、業務内容の専門性、会社の事業規模や決算状況などによって見通しは異なりますので、書類を揃える前に方針を確認しておくと無駄が少なくなります。

既に働いていただいてしまった期間がある場合は、事実関係を隠さずに整理することが重要です。期間、時間数、支払った賃金、確認を行った経緯を時系列で記録し、弁護士にご相談ください。事実を正確に把握しておくことは、外国人の方ご本人の在留資格の問題を考える上でも欠かせません。

当事務所のご案内

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)は、中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護と入管手続を主たる注力分野としています。担当する松村大介弁護士(第一東京弁護士会所属・登録番号59077・2019年登録)が、警察署での最初の接見から検察官との交渉、公判、その後の入管手続に至るまで全工程を直接担当します。事務員や若手弁護士が代わりに対応することはありません。

外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐しており、捜査機関が手配する通訳とは別に、依頼者ご本人のために動く立場の通訳を利用していただけます。取調べで何を話したのか、入管で何を聞かれているのかを正確に把握できる体制です。刑事手続が終わった後の在留資格の更新・変更等については、提携する行政書士とワンストップで対応します。

  • 難関とされた在留特別許可を1回の手続で獲得した事例。観光目的で来日した相談者が日本人女性との間に子を授かったものの、在留資格を失い不法滞在で逮捕・起訴された事案です。婚姻と認知の手続が未了で当局から一旦不受理とされたところ、松村弁護士が憲法的な観点から当局と交渉して婚姻・認知を成立させ、入管法違反の刑事裁判を意識した被告人質問・証人尋問を行いました。国籍国発行の公的書類がほとんど存在しない困難な状況下でも有利な証拠を集め、入管当局の過去の許可事例を分析することで、1回の手続で在留特別許可を得ました。
  • 強制退去の危機にあった女性を救済した事例。冤罪により不法就労助長罪に問われ、強制退去の危機に瀕した女性の事案です。「退去強制事由には故意・過失を要しない」とされてきた従来の実務に対し、責任主義の射程を問う訴訟を提起して上訴審まで争いました。その後、入管から在留特別許可が認められました。

初回のご相談は無料です。費用は事案に応じてお見積りします。まずは現在の状況を整理するところから、一緒に始めさせてください。

おわりに

在留カードの確認は、雇用主にとっては手続の一つにすぎないかもしれませんが、外国人の方にとっては日本での生活の基盤に直結します。確認の手順を定め、記録を残し、在留期限を管理するという地道な運用を積み重ねることが、結果として会社と働く方の双方を守ります。判断に迷う場面が出てきたときは、採用を進めてしまう前の段階でご相談いただくのが最も負担の少ない道です。

なお、本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。また、ここで紹介した過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではありません。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。

覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

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ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

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