資格外活動許可で働ける範囲と週28時間の正しい数え方|留学生・家族滞在の方へ
2026/08/30
アルバイトを始めるときに学校から資格外活動許可を取るように言われた、在留カードの裏に許可の記載があるが何時間まで働けるのか分からない、掛け持ちをしても大丈夫なのか知りたい。留学や家族滞在の在留資格で日本に滞在している方から、こうしたご相談を数多くいただきます。
週28時間という数字は広く知られていますが、どの期間を1週として数えるのか、複数の勤務先がある場合はどうなるのか、長期休業中はどうか、働けない業種があるのか、といった点まで正確に理解されている方は多くありません。ここを誤解したまま働き続けると、在留期間の更新が認められないという形で、後から重い結果が返ってきます。本記事では、資格外活動許可の意味と週28時間の数え方を、制度に即して整理します。
資格外活動許可とは何ですか
結論から申し上げると、資格外活動許可とは、現在持っている在留資格では本来認められていない、収入を伴う事業を運営する活動や報酬を受ける活動を、例外的に行うことを認める許可です。入管法19条がこの仕組みを定めており、地方出入国在留管理局に申請します。
留学の在留資格は日本の教育機関で教育を受ける活動を、家族滞在は扶養を受けて日常的な活動を行うことを予定しており、いずれも就労は本来の活動に含まれていません。だからこそ、アルバイトをするには事前に許可が必要になります。
許可には、勤務先を特定せず一定の範囲で包括的に認める包括許可と、活動内容や勤務先を特定して認める個別許可があります。留学生や家族滞在の方が受けるのは通常、包括許可です。許可を受けると、在留カードの裏面に記載されるか、資格外活動許可書が交付されます。
週28時間はどのように数えるのですか
包括許可で認められる範囲は、1週について28時間以内です。ここで重要なのは、どの曜日から起算しても、そこから7日間の合計が28時間を超えてはならないという数え方をする点です。
つまり、給与計算の締め日や、会社が定める週の区切りは関係ありません。月曜起算で数えれば28時間以内でも、水曜起算で数えると29時間になる、という週が一つでもあれば超過と評価されます。
また、次の点にもご注意ください。
- 休憩時間は労働時間に含まれませんが、待機を命じられている時間は含まれることがあります
- 実際に働いた時間で数えます。シフト表上は28時間でも、残業をすれば超過します
- 給与が発生していれば、在宅での作業や業務委託という形式でも、報酬を受ける活動として数えられます
長期休業中は1日8時間まで働けますか
留学の在留資格で、教育機関の学則で定める長期休業期間にある場合は、1日について8時間以内、かつ1週について40時間以内まで認められます。夏休みや冬休み、春休みがこれに当たります。
ここで注意が必要なのは、この扱いが学則で定められた休業期間に限られるという点です。授業がない期間であっても学則上の長期休業に当たらない時期は、通常どおり週28時間以内です。また、家族滞在の在留資格には、この長期休業の特例はありません。
休業期間の始期と終期は学校ごとに異なりますので、学生便覧や学事暦を確認し、記録として保存しておくことをおすすめします。
働けない業種はありますか
あります。資格外活動許可は、風俗営業や店舗型・無店舗型の性風俗特殊営業、接待飲食等営業などに従事する活動には及びません。この点はきわめて厳格に運用されています。
誤解が多いのは、店内で客と接する仕事でなくても認められないという点です。キャバクラやガールズバー、パチンコ店などにおいて、皿洗い、清掃、調理補助、事務といった裏方の業務であっても、これらの営業所における活動であること自体が問題とされます。
アルバイトを探すときは、その店舗が風俗営業等の許可を受けているかどうかを確認してください。深夜営業の飲食店であっても、接待を伴わない通常の飲食店であれば対象外です。迷った場合は、働き始める前に確認することが大切です。
掛け持ちのアルバイトはどう扱われますか
掛け持ち自体は禁止されていませんが、週28時間はすべての勤務先の合計で数えます。1か所につき28時間ではありません。
実務でよくある誤解が、この点です。2か所で各20時間ずつ働けば合計40時間となり、明確な超過になります。それぞれの勤務先は他方の勤務時間を把握していませんので、時間管理は自分で行うほかありません。
次のような管理をおすすめします。
- すべての勤務先のシフトを一つのカレンダーにまとめる
- 毎週、どの曜日から数えても28時間以内かを確認する
- 給与明細をすべて保管し、実労働時間が分かる資料を残す
在留期間の更新の際、課税証明書や納税証明書から収入額が判明し、そこから労働時間が推計されることがあります。記録がないと、後から説明することができません。
家族滞在や特定活動でも同じ制限ですか
家族滞在の在留資格の方も、資格外活動許可を受ければ週28時間以内で働くことができます。ただし、前述のとおり長期休業の特例はありません。
特定活動の在留資格の場合は、指定される活動の内容によって扱いが異なります。就労が認められている類型もあれば、資格外活動許可を要する類型もあり、また出国準備のための特定活動のように就労が想定されていない類型もあります。ご自身のパスポートに貼付された指定書の記載を確認してください。
また、卒業後に留学から他の在留資格へ変更した場合、留学時代に受けた資格外活動許可はその効力を失います。新しい在留資格のもとで改めて許可を受ける必要があります。
許可の範囲を超えて働くとどうなりますか
刑事の問題と在留の問題が同時に生じます。
まず刑事面では、資格外活動罪(入管法73条)が問題になります。本来の在留資格の活動を行わず、資格外活動を専ら行っていたと評価される場合は、より重い入管法70条1項4号の罪となり、法定刑は3年以下の拘禁刑若しくは300万円以下の罰金、又はその併科です。
次に在留面です。専ら資格外活動を行っていたと認められれば24条4号イの退去強制事由に、資格外活動罪で拘禁刑を受ければ24条4号ヘの退去強制事由に、それぞれ該当し得ます。刑事処分に至らない場合でも、在留期間の更新や在留資格の変更の審査では超過の事実が正面から評価され、不許可の理由となることがあります。
さらに、留学生が学業を行わずアルバイトに専念していた場合は、在留資格の取消し(入管法22条の4)の問題も生じます。すでに超過してしまっている方は、放置せず、更新申請の前に弁護士にご相談ください。
当事務所のご案内
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)は、中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護と入管手続を主たる注力分野としています。担当する松村大介弁護士(第一東京弁護士会所属・登録番号59077・2019年登録)が、警察署での最初の接見から検察官との交渉、公判、その後の入管手続に至るまで全工程を直接担当します。事務員や若手弁護士が代わりに対応することはありません。
外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐しており、捜査機関が手配する通訳とは別に、依頼者ご本人のために動く立場の通訳を利用していただけます。取調べで何を話したのか、入管で何を聞かれているのかを正確に把握できる体制です。刑事手続が終わった後の在留資格の更新・変更等については、提携する行政書士とワンストップで対応します。
- 難関とされた在留特別許可を1回の手続で獲得した事例。観光目的で来日した相談者が日本人女性との間に子を授かったものの、在留資格を失い不法滞在で逮捕・起訴された事案です。婚姻と認知の手続が未了で当局から一旦不受理とされたところ、松村弁護士が憲法的な観点から当局と交渉して婚姻・認知を成立させ、入管法違反の刑事裁判を意識した被告人質問・証人尋問を行いました。国籍国発行の公的書類がほとんど存在しない困難な状況下でも有利な証拠を集め、入管当局の過去の許可事例を分析することで、1回の手続で在留特別許可を得ました。
- 強制退去の危機にあった女性を救済した事例。冤罪により不法就労助長罪に問われ、強制退去の危機に瀕した女性の事案です。「退去強制事由には故意・過失を要しない」とされてきた従来の実務に対し、責任主義の射程を問う訴訟を提起して上訴審まで争いました。その後、入管から在留特別許可が認められました。
初回のご相談は無料です。費用は事案に応じてお見積りします。まずは現在の状況を整理するところから、一緒に始めさせてください。
おわりに
資格外活動許可は、単に週28時間という数字を覚えれば足りるものではなく、どの曜日から数えても超えないこと、すべての勤務先の合計で数えること、業種による制限があること、長期休業の特例は留学のみであることなど、いくつもの前提を伴う制度です。そして違反した場合の結果は、刑事処分にとどまらず、在留期間の更新や在留資格の取消しという形で生活の基盤に及びます。働き方に不安がある方、すでに超過してしまった心当たりのある方は、更新申請の前の段階でご相談ください。
なお、本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。また、ここで紹介した過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではありません。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。
覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。
お問い合わせ
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ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
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