舟渡国際法律事務所

経営・管理の在留資格と出資金の実体|名義だけの経営と在留資格取消しのリスク

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経営・管理の在留資格と出資金の実体|名義だけの経営と在留資格取消しのリスク

経営・管理の在留資格と出資金の実体|名義だけの経営と在留資格取消しのリスク

2026/08/29

会社をつくれば在留資格が取れると言われて、知人から借りたお金を口座に入れて申請した。事務所は借りたが実際にはほとんど使っていない。事業が動かないまま更新の時期が近づいてきた。経営・管理の在留資格をめぐるご相談では、こうした事情が共通して現れます。

本記事では、経営・管理の在留資格において入管が実際に何を見ているのか、出資金の出どころや事業の実体が問題になるのはどのような場面か、そして在留資格の取消し(入管法22条の4)に至る経路と、その手前で取り得る選択肢を説明します。

経営・管理の在留資格は出資金を用意すれば認められますか

結論から申し上げると、金額をそろえるだけでは足りません。求められているのは、日本で継続的に事業を営む実体があることです。

事業規模については、出資の額や常勤職員の雇用状況などが上陸許可基準を定める省令で規定されており、この基準は近年見直されています。申請を検討する際は、必ずその時点で有効な最新の基準を確認してください。金額の要件を満たしていても、事業計画に具体性がない、取引の見込みが説明できない、申請人が事業を運営する能力や関与を説明できない、という場合には許可されないことがあります。

出資金が自分のお金でない場合はどのように見られますか

資金の出どころは、審査で重点的に確認される事項の一つです。

入管は、口座に入金された経緯、送金元、その資金をどのように形成したのかについて説明を求めます。申請の直前に多額の入金があり、許可後に同額が引き出されているといった動きは、事業のための資金ではなく、審査のために一時的に用意された資金ではないかという疑いにつながります。親族からの贈与や借入であること自体は問題ではありませんが、その関係と経緯を書面で説明できることが必要です。

説明のつかない資金の流れは、単に不許可となるだけでなく、虚偽の申請と評価される危険があります。

名義だけの経営者だと在留資格はどうなりますか

実際には別の人が事業を仕切っており、自分は名前を貸しているだけ、という状態は、経営・管理の在留資格が予定する活動を行っていないことになります。

この場合、二つの問題が同時に生じます。第一に、在留資格に応じた活動を行っていないとして、在留期間の更新が認められない、あるいは在留資格の取消しの対象となる可能性があります。第二に、実質的な経営者が違法な事業を行っていた場合、名義上の代表者として刑事の捜査対象になり得ます。特に、外国人を資格の範囲外で働かせていた場合には、不法就労助長罪(入管法73条の2)の問題が生じ、この行為は入管法24条3号の4により、刑事処罰の有無にかかわらず退去強制事由に当たるものとされています。

事業を休止している場合、在留資格は取り消されますか

可能性があります。入管法22条の4は、在留資格に応じた活動を継続して3か月以上行っていない場合を取消事由の一つとして定めています。ただし、正当な理由がある場合は除かれます。

実務では、次のような事情が説明の材料になります。

  • 事業の準備段階であり、許認可の取得や物件の契約を進めている
  • 本人の病気や家族の事情により一時的に活動を中断している
  • 取引先の倒産や災害など、本人の責めに帰さない事情がある

重要なのは、これらを口頭で述べるのではなく、契約書、通帳の入出金、診断書、やり取りの記録といった形で示すことです。取消しの手続では意見を述べる機会が設けられますので、その場に向けて資料を整えることになります。

更新のときに入管は何を見ていますか

結論として、書類上の体裁ではなく、事業が動いているかどうかを見ています。

  • 決算書と確定申告の内容、売上と利益の推移
  • 法人税・消費税・源泉所得税の納付状況
  • 住民税を含む個人の納税状況
  • 社会保険への加入状況
  • 事務所の実体(賃貸借契約、写真、独立性)
  • 従業員の雇用と給与の支払い

赤字であること自体が直ちに不許可を意味するわけではありませんが、赤字が続く場合には、事業の継続性について説明する資料が必要になります。納税や社会保険の未納は、事業の実体そのものより先に問題視されやすい部分ですので、更新の直前ではなく日頃から整えておくことが重要です。

虚偽の書類を提出してしまった場合にはどのような責任がありますか

在留資格の取消し(入管法22条の4)の対象となるほか、状況によっては刑事の問題にも発展します。

入管法22条の4は、偽りその他不正の手段によって上陸許可や在留資格を得た場合や、申請に虚偽の内容が含まれていた場合を取消事由として定めています。実体のない事務所の賃貸借契約書、作成されただけの事業計画、実際には勤務していない従業員の名簿などが、これに当たり得ます。取消しとなった場合、出国のための期間が指定されることもあれば、退去強制の手続に進むこともあります。

また、行政書士や知人に手続をすべて任せていた場合であっても、申請人本人が内容を確認していないという説明が当然に通るわけではありません。申請書に自分が何を書いたのかを把握しておくことが、結果として自分を守ります。

事業がうまくいかないとき、どのような選択肢がありますか

早い段階であれば、選べる道は残っています。

  • 事業を縮小しつつ継続し、実体を説明できる資料を積み上げる
  • 就労系の他の在留資格へ変更する(学歴・職歴と職務内容の適合性を検討する)
  • 日本人配偶者や家族との身分関係に基づく在留資格を検討する
  • いったん整理して出国し、改めて準備のうえ申請し直す

最も避けたいのは、活動していない状態のまま時間が経過し、取消しや退去強制の手続が始まってから動き出すことです。取消しの判断がされる前と後とでは、取り得る手段の幅が大きく違います。

当事務所のご案内

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)は、中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護と入管手続を主たる注力分野としています。担当する松村大介弁護士(第一東京弁護士会所属・登録番号59077・2019年登録)が、警察署での最初の接見から検察官との交渉、公判、その後の入管手続に至るまで全工程を直接担当します。事務員や若手弁護士が代わりに対応することはありません。

外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐しており、捜査機関が手配する通訳とは別に、依頼者ご本人のために動く立場の通訳を利用していただけます。取調べで何を話したのか、入管で何を聞かれているのかを正確に把握できる体制です。刑事手続が終わった後の在留資格の更新・変更等については、提携する行政書士とワンストップで対応します。

  • 難関とされた在留特別許可を1回の手続で獲得した事例。観光目的で来日した相談者が日本人女性との間に子を授かったものの、在留資格を失い不法滞在で逮捕・起訴された事案です。婚姻と認知の手続が未了で当局から一旦不受理とされたところ、松村弁護士が憲法的な観点から当局と交渉して婚姻・認知を成立させ、入管法違反の刑事裁判を意識した被告人質問・証人尋問を行いました。国籍国発行の公的書類がほとんど存在しない困難な状況下でも有利な証拠を集め、入管当局の過去の許可事例を分析することで、1回の手続で在留特別許可を得ました。
  • 強制退去の危機にあった女性を救済した事例。冤罪により不法就労助長罪に問われ、強制退去の危機に瀕した女性の事案です。「退去強制事由には故意・過失を要しない」とされてきた従来の実務に対し、責任主義の射程を問う訴訟を提起して上訴審まで争いました。その後、入管から在留特別許可が認められました。

初回のご相談は無料です。費用は事案に応じてお見積りします。まずは現在の状況を整理するところから、一緒に始めさせてください。

おわりに

経営・管理の在留資格は、書類を整えて許可を得たところが出発点であり、その後に事業の実体を積み上げていけるかどうかが問われ続ける資格です。出資金の出どころ、事務所の使用状況、納税と社会保険、従業員の雇用。これらは更新のたびに確認されますので、日々の記録を残しておくことがそのまま防御になります。事業が思うように進んでいない段階でも、早めにご相談いただければ、更新や資格変更を含めた組み立て直しが可能な場合があります。

なお、本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。また、ここで紹介した過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではありません。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。

覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

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ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

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