確定申告をしていないと在留期間の更新はどうなりますか|課税証明書が出ない場合の対応と期限後申告
2026/08/29
在留期間の更新申請の準備を始めたところ、区役所で課税証明書が発行できないと言われた。副業の収入を申告していなかったことに気づいた。あるいは、個人事業として働いているが、これまで一度も確定申告をしたことがない。更新の期限が迫るなかでこうした事実に直面すると、大きな不安を覚えるはずです。
本記事では、確定申告をしていないことが在留期間の更新にどう影響するのか、なぜ入管が課税や納税に関する書類を求めるのか、過去の分をまとめて申告できるのか、そして期限が迫っている場合にどのような順序で対応すべきかを整理します。
確定申告をしていないと在留期間の更新は認められませんか
結論として、確定申告をしていないという一事によって、直ちに更新が不許可になるわけではありません。会社員として給与から源泉徴収され、年末調整で完結している方は、そもそも確定申告の必要がない場合が多く、その場合は問題になりません。
問題となるのは、申告すべき義務があったのにしていない場合です。この場合、収入や納税の状況を証明する書類を提出できないため、生計を維持できる状況にあるのか、届け出た活動を実際に行っているのかという点で、審査上の疑問が生じます。不許可の理由になるのは無申告そのものというより、説明できない状態が続いていることです。
なぜ入管は課税証明書や納税証明書の提出を求めるのですか
これらの書類は、単に税金を払ったかどうかを見るためだけのものではありません。入管にとっては、次のことを確認する資料になります。
- 申請人が届け出たとおりの活動を実際に行っているか
- 収入の額が、生活を維持し、扶養家族を養うのに足りているか
- 公的な義務を適正に履行しているか
- 申請書に記載した勤務先や所得と、公的記録とが整合しているか
つまり、課税証明書は在留活動の実態を裏づける客観的な資料として機能しています。この書類が出せないと、他の資料でその穴を埋める必要が生じます。
会社員でも確定申告が必要になるのはどのような場合ですか
給与所得者であっても、次のような場合には申告が必要になります。
- 給与以外の所得の合計が20万円を超える場合
- 2か所以上から給与を受けており、年末調整をしていない給与がある場合
- 年の途中で退職し、年末調整を受けていない場合
- 一定額を超える給与収入がある場合
近年は、送金や物販の代行、動画配信、投資による所得など、本人が所得と意識していない収入が問題になる例が増えています。会社員だから申告は不要だと考え込まないことが大切です。
過去の分をまとめて申告できますか
できます。期限を過ぎた後でも申告することができ、これを期限後申告といいます。過去の複数年分をまとめて申告することも可能です。
期限後申告には無申告加算税が課され、納付が遅れた分には延滞税がかかります。もっとも、税務署の調査を受ける前に自主的に申告した場合には、加算税が軽減される取扱いがあります。放置している期間が長いほど負担が増えますので、気づいた時点で速やかに手続を進めることが有利に働きます。申告が済めば、その内容に基づいて住民税が決定され、課税証明書の発行も可能になります。
所得が少なすぎる、または収入がないと申告している場合はどう見られますか
この場合、更新審査では別の問題が生じます。就労資格であれば、届け出た活動を実際に行っていないのではないかという疑いにつながります。経営・管理の在留資格であれば、事業が継続しているのかという点が問われます。
家族滞在で扶養を受けている方の場合には、扶養者の所得が生活を維持するのに十分かが確認されます。税負担を抑えるために所得を低く申告してきた結果、在留審査で不利になるという事態は、実務上しばしば見られます。
海外の扶養親族を申告していた場合に問題になりますか
国外に居住する親族を扶養控除の対象としていた場合、その要件は近年厳格化されています。親族関係を示す書類と、実際に送金した事実を示す書類の保存が求められます。
実際には送金していないのに扶養控除を受けていた場合、修正申告と追加の納税が必要になるだけでなく、申告内容の正確性そのものが疑われます。在留審査では、書類の整合性が繰り返し確認されますので、事実に基づく申告を維持することが結局は近道です。
申告の遅れを更新申請でどのように説明すればよいですか
隠すのではなく、経緯と是正の状況を積極的に示すのが基本です。具体的には、次の資料が有効です。
- 期限後申告書の控えと、受付印または受信通知
- 納付済みであることを示す領収証書または納税証明書
- 分割納付を約束している場合はその計画に関する資料
- 今後の申告を税理士に依頼していることを示す資料
- 制度を誤解していた経緯や、雇用形態の変更など、事情を説明する理由書
申告漏れがあった事実よりも、それを是正し、再発を防ぐ体制を整えたことを示す方が、審査上は意味を持ちます。
更新期限が迫っている場合はどのような順序で進めればよいですか
在留期間の更新申請は、原則として在留期間の満了日の3か月前から行うことができます。また、期間内に申請していれば、審査中は、満了日から最長2か月間は従前の在留資格で在留を続けることができる取扱いがあります。
したがって、まずは期限内に申請を行うことを最優先にし、期限後申告や納付の手続を並行して進め、資料が整い次第、追加で提出するという進め方が現実的です。当事務所では中国語対応の体制を整え、税務上の是正と更新申請の準備を同時並行で進めています。
当事務所のご案内
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)は、中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護と入管手続を主たる注力分野としています。担当する松村大介弁護士(第一東京弁護士会所属・登録番号59077・2019年登録)が、警察署での最初の接見から検察官との交渉、公判、その後の入管手続に至るまで全工程を直接担当します。事務員や若手弁護士が代わりに対応することはありません。
外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐しており、捜査機関が手配する通訳とは別に、依頼者ご本人のために動く立場の通訳を利用していただけます。取調べで何を話したのか、入管で何を聞かれているのかを正確に把握できる体制です。刑事手続が終わった後の在留資格の更新・変更等については、提携する行政書士とワンストップで対応します。
- 難関とされた在留特別許可を1回の手続で獲得した事例。観光目的で来日した相談者が日本人女性との間に子を授かったものの、在留資格を失い不法滞在で逮捕・起訴された事案です。婚姻と認知の手続が未了で当局から一旦不受理とされたところ、松村弁護士が憲法的な観点から当局と交渉して婚姻・認知を成立させ、入管法違反の刑事裁判を意識した被告人質問・証人尋問を行いました。国籍国発行の公的書類がほとんど存在しない困難な状況下でも有利な証拠を集め、入管当局の過去の許可事例を分析することで、1回の手続で在留特別許可を得ました。
- 強制退去の危機にあった女性を救済した事例。冤罪により不法就労助長罪に問われ、強制退去の危機に瀕した女性の事案です。「退去強制事由には故意・過失を要しない」とされてきた従来の実務に対し、責任主義の射程を問う訴訟を提起して上訴審まで争いました。その後、入管から在留特別許可が認められました。
初回のご相談は無料です。費用は事案に応じてお見積りします。まずは現在の状況を整理するところから、一緒に始めさせてください。
おわりに
確定申告をしていないこと自体が更新を不許可にするわけではありませんが、収入や納税の状況を客観的に説明できない状態が続くと、在留活動の実態が確認できないという理由で審査は厳しくなります。期限後申告は今からでも可能ですので、気づいた時点で是正に着手し、更新申請では経緯と再発防止の体制を資料とともに示すことをお勧めします。
なお、本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。また、ここで紹介した過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではありません。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。
覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。
お問い合わせ
舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119
この記事の他の言語版
----------------------------------------------------------------------
舟渡国際法律事務所
住所 : 東京都豊島区高田3丁目4-10布施ビル本館3階
電話番号 :050-7587-4639
東京にて中国人の方をサポート
東京を中心に刑事事件の弁護
----------------------------------------------------------------------