舟渡国際法律事務所

所得税・法人税の申告漏れと在留資格|加算税と刑事事件化の分かれ目、更新審査での見られ方

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所得税・法人税の申告漏れと在留資格|加算税と刑事事件化の分かれ目、更新審査での見られ方

所得税・法人税の申告漏れと在留資格|加算税と刑事事件化の分かれ目、更新審査での見られ方

2026/08/29

税務署から連絡があり、数年分の売上について説明を求められた。会社の決算で計上していなかった収入を指摘された。あるいは、日本語での書類の意味がよく分からないまま放置していたところ、多額の追徴を告げられた。外国籍の方からのこうしたご相談では、税金の問題にとどまらず、在留資格を失うのではないかという不安が伴います。

本記事では、所得税や法人税の申告漏れが行政上の措置で終わる場合と刑事事件に発展する場合の分かれ目、税務調査への向き合い方、そして在留期間の更新や永住許可の審査で申告や納税の状況がどのように見られるのかを整理します。

申告漏れが見つかると必ず刑事事件になりますか

結論として、申告漏れの多くは、加算税と延滞税という行政上の措置で処理され、刑事事件にはなりません。単純な計算誤りや、経費と認められる範囲についての見解の相違は、修正申告や更正処分によって是正されます。

刑事事件として立件されるのは、偽りその他不正の行為によって税を免れたと評価される場合です。具体的には、二重帳簿の作成、売上の除外、架空の経費の計上、他人名義の口座への入金など、意図的な仮装や隠蔽を伴う事案です。金額の大きさだけでなく、手口の悪質さが分岐点になります

税務調査の連絡が来たらまず何をすべきですか

まず、調査の対象となる税目と期間を確認してください。そのうえで、通帳、請求書、領収証、契約書、会計データを整理します。資料を探せないまま口頭で説明を続けると、記憶違いによる説明が後から不利に働くことがあります。

日本語での応対に不安がある場合は、税理士や弁護士に同席を求めることができます。調査の初期に、事実関係を正確に固めておくことが、後の加算税の重さと刑事事件化の有無の双方に影響します

修正申告と更正処分はどう違いますか

修正申告は、納税者が自ら申告内容を訂正するものです。更正処分は、税務署長が職権で税額を決定するものです。

  • 修正申告に応じた場合、争いは早期に終わりますが、原則としてその内容を後から不服申立てで争うことは難しくなります
  • 納得できない部分がある場合は、更正処分を受けたうえで、再調査の請求や審査請求という手続で争う道があります
  • いずれの場合も、納付が遅れれば延滞税が加算されます

争うか受け入れるかは、金額だけでなく、その後の在留審査で説明しやすいかどうかという観点からも検討する価値があります

重加算税を課されると在留審査で不利になりますか

重加算税は、仮装や隠蔽があったと認定された場合に課されるもので、通常の加算税より重い性質を持ちます。刑罰ではありませんが、納税義務を適正に履行していないと評価される事情として、在留審査で不利に働き得ます

特に永住許可の審査では、納税をはじめとする公的義務を適正に履行していることが求められます。重加算税を課された経緯がある場合には、その後に完納したこと、税理士に依頼して継続的に適正な申告を行っていること、再発防止のために帳簿管理を改めたことなどを、資料とともに説明する必要があります。

脱税で有罪になると退去強制されますか

この点は落ち着いて整理する必要があります。退去強制事由として問題になるのは主に入管法24条4号リであり、1年を超える実刑の場合が対象です。同号には但書があり、刑の全部の執行を猶予された場合は除かれます

脱税事件では執行猶予が付されることも少なくありませんので、直ちに退去強制につながるとは限りません。もっとも、在留期間の更新や在留資格の変更が認められるかは別問題であり、素行の観点から厳しく審査されます。刑事事件の弁護活動においては、量刑だけでなく、在留への影響を見据えた資料作りを同時に行う必要があります。

経営・管理の在留資格を持つ場合に特に注意すべき点は何ですか

経営・管理の在留資格では、事業が適正に、かつ継続して行われていることが審査の中心になります。申告漏れや無申告は、事業の実態や適正性そのものへの疑問につながりやすい事情です。

更新申請の際には、決算書、法人税の申告書の控え、納税証明書、給与支払に関する書類などの提出が求められるのが通例です。売上や利益の額そのものよりも、記録が整い、説明が一貫していることが重視されます。赤字であっても、事業の実体と継続の見込みを資料で示せるかが鍵になります。

会社の代表者が処罰されると従業員の在留資格にも影響しますか

直接に従業員の在留資格が失われるわけではありませんが、間接的な影響は生じ得ます。就労資格は、受入れ機関が適正であることを前提としているためです。

また、会社が事業を縮小し、あるいは解散した場合には、所属機関に関する届出の問題が生じます。契約機関に関する届出は、入管法19条の16により14日以内に行う必要があります。さらに、正当な理由なく活動を3か月以上行っていない場合などは、入管法22条の4の在留資格取消しの検討対象となり得ます。会社に問題が生じたときこそ、自分自身の届出義務を確認してください

申告漏れに気づいたとき、更新までにできることは何ですか

まず、自主的に修正申告または期限後申告を行い、納付を進めてください。調査の連絡を受ける前の自主的な申告は、加算税の面でも、在留審査での説明の面でも有利に働きます。

そのうえで、更新申請に向けては、納税証明書、納付計画、税理士との顧問契約に関する資料などを整えます。当事務所では中国語対応の体制を整え、税務上の対応と入管手続への影響を併せて検討しています。

当事務所のご案内

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)は、中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護と入管手続を主たる注力分野としています。担当する松村大介弁護士(第一東京弁護士会所属・登録番号59077・2019年登録)が、警察署での最初の接見から検察官との交渉、公判、その後の入管手続に至るまで全工程を直接担当します。事務員や若手弁護士が代わりに対応することはありません。

外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐しており、捜査機関が手配する通訳とは別に、依頼者ご本人のために動く立場の通訳を利用していただけます。取調べで何を話したのか、入管で何を聞かれているのかを正確に把握できる体制です。刑事手続が終わった後の在留資格の更新・変更等については、提携する行政書士とワンストップで対応します。

  • 難関とされた在留特別許可を1回の手続で獲得した事例。観光目的で来日した相談者が日本人女性との間に子を授かったものの、在留資格を失い不法滞在で逮捕・起訴された事案です。婚姻と認知の手続が未了で当局から一旦不受理とされたところ、松村弁護士が憲法的な観点から当局と交渉して婚姻・認知を成立させ、入管法違反の刑事裁判を意識した被告人質問・証人尋問を行いました。国籍国発行の公的書類がほとんど存在しない困難な状況下でも有利な証拠を集め、入管当局の過去の許可事例を分析することで、1回の手続で在留特別許可を得ました。
  • 強制退去の危機にあった女性を救済した事例。冤罪により不法就労助長罪に問われ、強制退去の危機に瀕した女性の事案です。「退去強制事由には故意・過失を要しない」とされてきた従来の実務に対し、責任主義の射程を問う訴訟を提起して上訴審まで争いました。その後、入管から在留特別許可が認められました。

初回のご相談は無料です。費用は事案に応じてお見積りします。まずは現在の状況を整理するところから、一緒に始めさせてください。

おわりに

所得税や法人税の申告漏れは、その多くが加算税と延滞税による是正で終わりますが、仮装や隠蔽を伴う場合には刑事事件に発展します。そして刑事処分の有無にかかわらず、納税の履行状況は在留期間の更新や永住許可の審査で確認される事項です。指摘を受けた段階で、税務上の処理と在留への影響を切り離さずに検討することをお勧めします。

なお、本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。また、ここで紹介した過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではありません。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。

覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

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ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

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