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関税法111条の犯則事件と通告処分|税関の調査から罰金相当額の納付、告発・起訴までの流れ

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関税法111条の犯則事件と通告処分|税関の調査から罰金相当額の納付、告発・起訴までの流れ

関税法111条の犯則事件と通告処分|税関の調査から罰金相当額の納付、告発・起訴までの流れ

2026/08/29

税関から、犯則事件についてお尋ねしたいことがあるという書面が届いた。空港で貨物を止められた後、しばらくしてから呼出しの連絡があった。関税法違反の事件は、警察ではなく税関が調査を行い、そのまま刑事事件に進む場合と、通告処分という独自の手続で終わる場合とがあります。この違いを知らないまま対応すると、本来避けられた前科を負うことにもなりかねません。

本記事では、税関の犯則調査がどのような手続なのか、関税法111条が処罰の対象とする行為は何か、通告処分とはどのような制度か、そして外国籍の方にとって在留資格にどのような影響があり得るのかを整理します。

税関から呼出しを受けた犯則事件とはどのような手続ですか

結論として、犯則事件の調査は、税関職員が行う刑事手続に準じた調査です。税関職員には、質問、検査、領置のほか、裁判官の許可を得たうえでの捜索や差押えを行う権限が認められています。警察が関与しないからといって、単なる行政上の聞き取りだと考えるのは誤りです。

調査で作成された質問てん末書などの書類は、その後に事件が検察官に送られた場合、そのまま証拠として用いられます。最初の聞き取りの段階から、刑事事件と同じ緊張感で臨む必要があります

関税法111条の無許可輸出入罪はどのような行為を処罰するものですか

関税法111条は、税関長の許可を受けないで貨物を輸出し、または輸入する行為を処罰する規定です。典型的には、申告をせずに貨物を持ち出す、あるいは持ち込む行為が問題になります。

実務上、次のような場面で問題となることが多く見られます。

  • 商用の目的で仕入れた物品を、個人の手荷物として申告せずに持ち込む
  • ブランド品や電子機器を、まとめて申告なしに持ち込む
  • 知人に依頼されて貨物を運搬し、内容を申告しない
  • 実際の数量や品目と異なる内容で申告する

なお、税を免れる行為や、輸入してはならない貨物を輸入する行為は、それぞれ別の条文で、より重い類型として規定されています。自分の事案がどの条文の問題なのかを最初に確認することが、方針を決める出発点になります

通告処分とは何ですか、前科は付きますか

通告処分は、税関長が犯則事件の調査結果に基づき、罰金に相当する金額などを納付するよう通告する制度です。通告の内容を履行すれば、同一の事件について公訴を提起されず、刑事裁判にはなりません。したがって前科にもなりません

この点が、関税法違反事件の大きな特徴です。反則金の納付という形で早期に事件を終わらせることができれば、その後の在留審査で説明すべき事情は大きく軽くなります。したがって、調査の初期段階から、通告処分で終えられる見込みのある事案かどうかを検討することが重要になります。

通告処分に応じない場合や、通告されない場合はどうなりますか

通告の内容を履行しない場合には、税関長が検察官に告発し、通常の刑事手続に移ります。また、情状が重いと判断された事案では、そもそも通告処分によらず、直ちに告発されることがあります。

告発された場合、事件は検察官に送られ、捜査を経て起訴または不起訴が判断されます。この段階でも、被害の回復や納付、反省状況、再発防止の体制を示すことで、不起訴となる余地は残されています

税関の質問調査に呼ばれたときに黙秘できますか

犯則調査は刑事手続に準じた性質を持つため、自己に不利益な供述を強いられない立場は尊重されるべきものです。もっとも、実際の場面では、事情を説明したほうが有利に働く場合と、説明が裏目に出る場合の双方があります。

とりわけ注意が必要なのは、販売目的であったか、輸入の反復があったか、他に共同する者がいたか、という点です。この3点についての説明は、通告処分で終わるか告発に進むかの分岐に直結します。記憶が曖昧なまま推測で答えることは避け、事前に弁護士と方針を確認してから臨むのが望ましいといえます。

止められた貨物は返してもらえますか

領置または差押えを受けた貨物は、事件の処理が終わるまで返還されないのが通常です。事件の内容によっては、没収の対象となり、または貨物に相当する価額の追徴が行われることもあります。

取引先への納品が滞る、代金を支払済みであるといった事情は、それ自体が返還の理由にはなりませんが、事業の実態や継続性を示す資料として、通告処分の可否や量刑の判断に影響することがあります。

関税法違反で有罪になると在留資格にどう影響しますか

まず、通告処分を履行して終わった場合には、刑事裁判にならないため、有罪判決を前提とする退去強制事由の問題は生じません

刑事裁判となった場合でも、退去強制事由として問題になるのは主に入管法24条4号リであり、これは1年を超える実刑の場合を対象とし、同号の但書により刑の全部の執行を猶予されたときは除かれます。したがって、罰金や執行猶予付きの判決であれば、直ちに退去強制の対象になるわけではありません。ただし、在留期間の更新や在留資格の変更、永住許可の審査では素行が考慮されます。経営・管理の在留資格を有する方の場合には、事業の適正性という観点からも説明を求められることがあります。

弁護士に依頼するとどの段階で何ができますか

関税法違反の事案では、税関の調査段階での対応がその後を決めます。取引の実態、輸入の目的、数量の経緯を整理し、営利性や反復性が高くないことを示す資料を早期に提出できれば、通告処分で終わる可能性を高めることができます。

告発後の段階でも、納付の状況、再発防止の体制、事業に与える影響を具体的に示して、不起訴を求める意見を提出することができます。外国籍の方の場合には、在留期間の満了時期や届出義務との関係も併せて管理する必要があります。当事務所では中国語対応の体制を整え、税関対応と入管手続を一体として検討しています。

当事務所のご案内

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)は、中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護と入管手続を主たる注力分野としています。担当する松村大介弁護士(第一東京弁護士会所属・登録番号59077・2019年登録)が、警察署での最初の接見から検察官との交渉、公判、その後の入管手続に至るまで全工程を直接担当します。事務員や若手弁護士が代わりに対応することはありません。

外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐しており、捜査機関が手配する通訳とは別に、依頼者ご本人のために動く立場の通訳を利用していただけます。取調べで何を話したのか、入管で何を聞かれているのかを正確に把握できる体制です。刑事手続が終わった後の在留資格の更新・変更等については、提携する行政書士とワンストップで対応します。

  • 難関とされた在留特別許可を1回の手続で獲得した事例。観光目的で来日した相談者が日本人女性との間に子を授かったものの、在留資格を失い不法滞在で逮捕・起訴された事案です。婚姻と認知の手続が未了で当局から一旦不受理とされたところ、松村弁護士が憲法的な観点から当局と交渉して婚姻・認知を成立させ、入管法違反の刑事裁判を意識した被告人質問・証人尋問を行いました。国籍国発行の公的書類がほとんど存在しない困難な状況下でも有利な証拠を集め、入管当局の過去の許可事例を分析することで、1回の手続で在留特別許可を得ました。
  • 強制退去の危機にあった女性を救済した事例。冤罪により不法就労助長罪に問われ、強制退去の危機に瀕した女性の事案です。「退去強制事由には故意・過失を要しない」とされてきた従来の実務に対し、責任主義の射程を問う訴訟を提起して上訴審まで争いました。その後、入管から在留特別許可が認められました。

初回のご相談は無料です。費用は事案に応じてお見積りします。まずは現在の状況を整理するところから、一緒に始めさせてください。

おわりに

関税法違反の事件には、通告処分という、刑事裁判に至らずに終わらせる仕組みが用意されています。調査の初期段階でどのような説明を行い、どのような資料を示すかによって、通告処分で終わるか、告発を経て刑事裁判に進むかが分かれます。税関から連絡を受けた時点で、事案の位置づけを正確に把握しておくことが何よりも大切です。

なお、本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。また、ここで紹介した過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではありません。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。

覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

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ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

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