肉製品や果物の持込みと家畜伝染病予防法・植物防疫法|空港で止められたときの手続と在留への影響
2026/08/29
帰省のたびに家族から持たされる自家製ソーセージ、肉入りの月餅、真空パックの干し肉。空港の手荷物検査でこれらが見つかり、別室で事情を聞かれ、書類に署名を求められた。多くの方にとっては土産物という感覚ですが、日本の法律上、肉製品の持込みは原則として禁止されており、事案によっては刑事事件として扱われます。
本記事では、家畜伝染病予防法と植物防疫法のもとで何が持ち込めて何が持ち込めないのか、空港で止められた場合にどのような手続が進むのか、そして処分を受けた場合に在留資格へどのような影響があるのかを整理します。
中国のソーセージや月餅を日本に持ち込むことはできますか
結論として、肉や肉製品は、輸出国政府の発行した検査証明書が添付されていない限り、日本に持ち込むことができません。牛、豚、鶏、羊などの肉が対象で、加工の有無は問いません。ソーセージ、ハム、ジャーキー、肉入りの月餅や粽、肉そぼろ、レトルトの肉入りスープなども対象に含まれます。
真空パックであること、加熱済みであること、市販品で包装されていること、少量であることは、いずれも持込みを認める理由になりません。家畜の伝染病が国内に持ち込まれることを防ぐという趣旨から、形態にかかわらず一律に規制されています。
果物や野菜、種子はどこまで持ち込めますか
植物については植物防疫法が適用され、次のように扱われます。
- 多くの生果実、一部の野菜、苗、種子は、輸入が禁止されているか、輸出国の検査証明書と到着時の検査が必要です
- 持ち込む場合は、手荷物であっても空港の植物検疫カウンターで検査を受ける必要があります
- 乾燥品や加工品であっても、対象になるものがあります
持ち込めるかどうかは品目と産地の組合せで決まるため、出発前に動物検疫所または植物防疫所の案内で確認するのが確実です。
申告せずに持ち込むとどうなりますか
空港では、X線検査、検疫探知犬、税関検査などによって発見されます。発見された場合、まず物品は放棄または廃棄の対象となり、その場で必要な書類を作成します。多くの事案は、物品の放棄と指導で終わります。
もっとも、検疫を受けずに持ち込む行為自体が処罰の対象とされており、拘禁刑を含む罰則が定められています。特に、家畜の伝染病の発生状況を受けて規制と摘発が強化された経緯があり、以前と同じ感覚でいると危険です。
刑事事件として扱われるのはどのような場合ですか
実務上、刑事事件に発展しやすいのは次のような事情がある場合です。
- 持込みの量が個人消費の範囲を明らかに超えている
- 反復して持ち込んでおり、過去にも指導を受けている
- 販売や譲渡の目的がうかがわれる
- 検査を免れる目的で、包装を偽装したり、他の食品に紛れ込ませたりしている
- 質問に対して虚偽の説明をしている
逆に、初めてで、量が少なく、その場で素直に放棄した事案であれば、行政上の指導で終わることが一般的です。
罰金や略式命令を受けた場合、在留資格に影響しますか
この点は正確に理解しておく必要があります。罰金刑を受けたことだけで、直ちに退去強制の対象になるわけではありません。入管法24条4号リが退去強制事由として定めるのは1年を超える実刑の場合であり、同号には但書があって刑の全部の執行を猶予されたときは除かれます。
ただし、在留期間の更新や在留資格の変更、永住許可の審査では、素行が良好であるかが考慮されます。処罰の事実自体は記録として残りますので、更新申請の際には、経緯と再発防止の姿勢を説明する準備をしておくことが望まれます。
会社の同僚や親族に頼まれて運んだ場合はどうなりますか
荷物の中身を知らなかったという主張は、事案によって成否が分かれます。判断の材料になるのは、依頼の経緯、報酬の有無、荷物の重さや形状、過去に同じ依頼を受けた回数、荷物を自分で確認できる状況にあったかどうかです。
報酬を受け取っていた場合や、複数回にわたって同じ人物から依頼を受けていた場合には、内容を認識していたと推認されやすくなります。安易に、知っていたが大丈夫だと思った、といった説明をすると、故意を認めたものと受け取られかねません。
空港で検査官や警察の質問を受けたときに気をつけることは何ですか
まず、その場で作成される書類が何であるかを確認してください。物品の放棄に関する書類なのか、供述を記録する書類なのかで、意味が大きく異なります。内容を理解しないまま署名すると、後で訂正するのは容易ではありません。
言語の問題がある場合は、通訳を求めることができます。日本語の説明を十分に理解できないまま手続が進むことは避けるべきです。事実と異なる記載がある書面には署名しない、という姿勢を保ってください。
家族が空港で止められたときにできることは何ですか
連絡を受けた側としては、まず、どの機関に、どのような立場で留め置かれているのかを確認します。手荷物検査に伴う任意の事情聴取なのか、身柄を拘束されているのかで、対応の緊急度が変わります。
身柄拘束を伴う事案では、弁護人が早期に接見して、本人に手続の意味と権利を母語で伝えることが重要です。当事務所では中国語対応の体制を整えており、刑事手続と入管手続の双方を見据えた対応を行っています。
当事務所のご案内
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初回のご相談は無料です。費用は事案に応じてお見積りします。まずは現在の状況を整理するところから、一緒に始めさせてください。
おわりに
肉製品や一部の植物の持込みは、土産物という感覚とは裏腹に、日本では厳格に規制されています。多くの事案は物品の放棄で終わりますが、量や反復性、目的によっては刑事事件となり、その後の在留審査でも素行の一事情として考慮され得ます。空港で書類への署名を求められた段階で、その書類の意味を正確に理解しておくことが大切です。
なお、本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。また、ここで紹介した過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではありません。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。
覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。
お問い合わせ
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ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
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