舟渡国際法律事務所

交通事件で不起訴になったのに入管手続が終わらない理由|刑事処分と退去強制は別の手続です

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交通事件で不起訴になったのに入管手続が終わらない理由|刑事処分と退去強制は別の手続です

交通事件で不起訴になったのに入管手続が終わらない理由|刑事処分と退去強制は別の手続です

2026/08/28

検察官から不起訴の連絡を受けて安心していたのに、その後も入管から呼出しが続いている。あるいは、在留期間の更新を申請したところ、事件について詳しく説明するよう求められた。刑事事件が終われば入管の問題も終わると考えていた方にとって、この展開は理解しにくいものです。しかし、これは手続の性質から生じる当然の帰結でもあります。

本記事では、交通事件で不起訴になった後も入管の手続が続く理由、不起訴の種類による違い、更新審査での扱い、そして不起訴後に何を準備すべきかを整理します。

不起訴になったのに、なぜ入管の手続が終わらないのですか

刑事処分と退去強制手続は、目的も判断する機関も異なる別個の手続だからです。刑事手続は、国家がその人を処罰するかどうかを決める手続であり、検察官が起訴しないと判断すればそこで終わります。これに対し入管の手続は、その人を日本に在留させることが相当かどうかを判断するものであり、起訴されなかったという事実は、判断の一要素にはなっても、手続を終わらせる理由にはなりません。入管は独自に事実を調査し、独自の基準で判断します。

不起訴にはどのような種類がありますか

大きく分けて、犯罪の嫌疑が認められないもの、嫌疑が十分でないもの、嫌疑はあるが諸般の事情を考慮して起訴を見送るもの(起訴猶予)があります。前二者は事実の存在自体が認められなかったことを意味しますが、起訴猶予は事実はあったことを前提に、処罰までは求めないという判断です。入管の審査では、この区別が重要な意味を持ちます。同じ不起訴という言葉でも、示せる内容がまったく違いますので、まず自分の事件がどの類型であったかを確認してください。

退去強制の手続は刑事手続とどう違いますか

退去強制手続では、入国警備官による違反調査、入国審査官による審査、特別審理官による口頭審理、法務大臣の裁決という段階を経ます。刑事手続と異なり、有罪と認定されたかどうかではなく、入管法が定める退去強制事由に該当する事実があるかどうかが判断の対象です。しかも、退去強制事由の中には刑事処罰を受けたことを要件としないものがあります。たとえば不法就労助長については、入管法24条3号の4が、その行為があったこと自体で該当し得るものとして定めています。

入管は不起訴になった事実をどう評価しますか

不起訴の事実は、当然ながら有利な事情として考慮され得ます。特に、嫌疑がない、あるいは嫌疑が十分でないという理由による不起訴であれば、そもそも非難されるべき行為がなかったことを示す材料になります。他方、起訴猶予の場合には、行為があったことを前提とした判断ですので、入管が事故や違反の内容を独自に評価することになります。したがって、不起訴の通知だけを提出するのでは足りず、その理由の類型と、事故の実態を示す資料を併せて示すことが重要です。

在留期間の更新や変更の審査では不起訴はどう扱われますか

更新や変更の審査では、在留状況が良好かどうか、素行が善良かどうかといった点が考慮されます。不起訴になったことは有利に働きますが、事故の態様が重大であった場合や、無免許運転など違反が繰り返されていた場合には、刑事処分の軽重にかかわらず消極的に評価される可能性があります。逆に、被害者との示談が成立していること、任意保険による賠償が完了していること、運転をしない生活に切り替えたことなど、その後の対応を具体的に示すことが評価につながります。

交通事件で拘禁刑の判決を受けた場合はどうなりますか

判決の内容によって扱いが変わります。入管法24条4号リには但書があり、全部の執行猶予が言い渡された場合は除外されます(一部の執行猶予の場合も、実際に服する部分が1年以下であれば除外されます)。他方、危険運転致死傷(自動車運転死傷処罰法2条・6条1項)は、24条4号の2が定める類型に含まれています。この類型は4号リとは要件の立て方が異なるため、判決の内容ごとに個別の確認が必要です。判決書と確定証明書を手元に置き、正確な内容に基づいて判断してください。

不起訴になった後、入管に対して何を準備すればよいですか

まず、不起訴となった事実を示す書面と、可能であればその理由の類型に関する情報です。次に、事故の実態を示す客観的な資料として、実況見分の結果や交通事故証明書、示談書や保険による支払の資料です。さらに、勤務先や学校からの説明、家族の状況、再発防止のために取った措置を示す資料も有用です。入管に対しては、事件が終わったという結論ではなく、何が起き、その後どう対応したのかを説明する必要があります。

どの段階で弁護士に相談すべきですか

できるだけ早い段階、具体的には刑事事件の捜査を受けている段階が望ましいといえます。取調べで述べた内容や、示談の有無、判決の内容は、いずれも入管手続でそのまま資料になります。刑事事件だけを見て処理してしまうと、後になって在留の場面で必要な資料が残っていない、という事態が生じます。刑事の結論と在留の結論は別々に出るという前提で、最初から二つの手続を見据えた準備をすることが重要です。

当事務所のご案内

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)は、中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護と入管手続を主たる注力分野としています。担当する松村大介弁護士(第一東京弁護士会所属・登録番号59077・2019年登録)が、警察署での最初の接見から検察官との交渉、公判、その後の入管手続に至るまで全工程を直接担当します。事務員や若手弁護士が代わりに対応することはありません。

外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐しており、捜査機関が手配する通訳とは別に、依頼者ご本人のために動く立場の通訳を利用していただけます。取調べで何を話したのか、入管で何を聞かれているのかを正確に把握できる体制です。刑事手続が終わった後の在留資格の更新・変更等については、提携する行政書士とワンストップで対応します。

  • 難関とされた在留特別許可を1回の手続で獲得した事例。観光目的で来日した相談者が日本人女性との間に子を授かったものの、在留資格を失い不法滞在で逮捕・起訴された事案です。婚姻と認知の手続が未了で当局から一旦不受理とされたところ、松村弁護士が憲法的な観点から当局と交渉して婚姻・認知を成立させ、入管法違反の刑事裁判を意識した被告人質問・証人尋問を行いました。国籍国発行の公的書類がほとんど存在しない困難な状況下でも有利な証拠を集め、入管当局の過去の許可事例を分析することで、1回の手続で在留特別許可を得ました。
  • 強制退去の危機にあった女性を救済した事例。冤罪により不法就労助長罪に問われ、強制退去の危機に瀕した女性の事案です。「退去強制事由には故意・過失を要しない」とされてきた従来の実務に対し、責任主義の射程を問う訴訟を提起して上訴審まで争いました。その後、入管から在留特別許可が認められました。

初回のご相談は無料です。費用は事案に応じてお見積りします。まずは現在の状況を整理するところから、一緒に始めさせてください。

おわりに

不起訴という結論は、刑事手続における一つの区切りですが、在留の問題における終着点ではありません。入管は独自に事実を調べ、独自の基準で判断しますから、不起訴の通知を受け取った時点で改めて、自分の在留資格の期限、届出の状況、提出できる資料を整理する必要があります。手続が続いていること自体に不安を感じたまま放置するのが、最も避けたい対応です。

当事務所では中国語での対応が可能で、外国人の刑事弁護と、その後の在留期間の更新や退去強制手続を一体として扱ってまいりました。過去には、交通事件が不起訴となった後の更新審査において、事故の実態と示談の状況を整理して説明し、在留の継続につながった例もあります。なお、本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。また、ここで紹介した過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではありません。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。

覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

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ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

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