舟渡国際法律事務所

未成年の子どもが日本に残されるとき|親が身柄拘束された場合の実務

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未成年の子どもが日本に残されるとき|親が身柄拘束された場合の実務

未成年の子どもが日本に残されるとき|親が身柄拘束された場合の実務

2026/08/23

本記事の要点

  • 親が身柄を拘束されたとき、日本に残された未成年の子の生活と監護の確保が最優先の課題になります。
  • 子が家族滞在などの在留資格を有する場合、扶養者である親の状況の変化は、子の在留資格の維持にも影響し得ます。
  • 在留特別許可の判断で、日本で生育している子の利益は考慮要素として法律上明記されています。
  • 刑事事件の見通しと子の生活設計は切り離せず、起訴前から両方を同時に組み立てる必要があります。

ある日突然、日本で生活していたご家族が身柄を拘束され、学校に通う子どもだけが自宅に残される。中国本土のご家族からのご相談の中でも、最も切迫し、時間との勝負になるのがこの場面です。刑事手続は弁護人が動かせますが、子どもの食事、通学、医療、在留資格の問題は、誰かが意識して手当てしなければ放置されます。

この記事では、親が拘束された直後に何を確認すべきか、中国本土のご家族が遠隔で何を準備できるのかを整理します。運用は事案により異なりますので、実際の対応は弁護人とご相談ください。

最初の72時間で確認すべきこと

逮捕から48時間以内に事件は検察官へ送致され、検察官は逮捕時から72時間以内に勾留請求の可否を決めます。勾留が決まれば原則10日、延長でさらに10日続きます。最初の3日間で釈放を追わなければ、子どもは数週間、親のいない生活を強いられます。

この段階で確認すべきは次の点です。子どもは今どこにいるのか。学校や保育施設に事情が伝わっているのか。自宅の鍵、健康保険証、在留カード、旅券はどこにあるのか。当面の現金を誰が持っているのか。持病や服薬はあるか。弁護人は接見でこれらを聞き取り、必要に応じて関係機関へつなぎます。監護できる大人がいないと判明した場合、児童相談所による一時保護が用いられることがあります。保護は子どもの安全のための措置であり親権を失うことを意味しませんが、その後の手続や面会の在り方は事案により異なります。

中国本土のご家族が遠隔でできること

祖父母などが中国から来日して子どもの世話をする場合、短期滞在の査証申請が必要です。事情を説明する書面、受入れ資料、家族関係を示す公文書が求められるのが通常です。ただし発給は在外公館の判断ですので、来日できる前提で計画を立てるのは危険です。並行して、日本国内で子どもの生活を支えられる方を探してください。

  • 戸口簿、出生証明、結婚証と、その日本語訳の準備
  • 生活費を送金する経路と、日本側で受け取れる名義の確認
  • 学校や施設に家族の意向を伝えるための委任状
  • 子どもの中国国籍に関する旅券の有効期限と、更新が必要かどうかの確認

旅券の有効期限は見落とされがちですが、在留資格の手続にも将来の帰国にも直結します。早めに領事館で更新可否を確認してください。

外国人事件に特有の在留資格上のリスク

子の家族滞在は、扶養者である親の在留資格と活動を前提とします。親が長期に拘束され勤務先を離れ、あるいは在留資格を失えば、子の側でも活動の実体が失われたとして在留資格の取消し(入管法22条の4)が問題となり得ます。親の在留期間の満了日が拘束中に到来すれば、更新申請ができず不法残留となり、入管法24条4号ロの退去強制事由に該当し得ます。双方の期限を弁護人と共有してください。

刑事処分との関係では、入管法24条4号リが無期又は1年を超える拘禁刑に処せられた者を退去強制事由としますが、同号の但書により刑の全部の執行を猶予された場合は除かれます。薬物関係の有罪には入管法24条4号チが適用され、罰金や執行猶予、刑の免除でも該当します。

もっとも、退去強制事由に該当した後の在留特別許可の判断では、入管法50条5項が考慮要素を法律上明記しており、本邦で生育している子どもの生活状況も含まれます。子が日本で生まれ育ち、日本語で教育を受け、生活基盤が日本にあるという事情は、丁寧に立証すべき重要な要素です。なお、該当性判断に故意・過失を要しないとされてきた運用について、当事務所は責任主義の射程を問う訴訟を提起し上訴審まで争ってきました。

不起訴処分の重要性

子どもの生活を守る観点からも、起訴前に不起訴処分を得る意味は決定的です。不起訴であれば有罪判決が存在せず、退去強制事由の入口に立ちません。身柄が早期に解放されれば、子どもと再び同居して監護できる状態も回復できます。逆に執行猶予付き判決を得ても、薬物事案などでは退去強制の対象となり得ます。

起訴前の活動は、検察官との面談で処分の見通しと懸念点を把握すること、被害者がいる事案では被害弁償と示談を尽くすこと、子どもの監護状況と家族の支援体制を示す意見書を提出することが柱です。子どもの学校の状況や監護の空白が生じている事実は、処分を検討する検察官にとっても無視できない事情です。

初動対応の3つのポイント

第一に黙秘権の行使です。子どもが心配で早く帰りたいと考え、取調べで迎合的な供述をしてしまう方が少なくありません。その供述は後に在留資格の判断でも用いられます。第二に早期の弁護人選任です。子どもの安全確認は弁護人が接見を通じて最初に行う作業であり、遅れるほど空白が延びます。第三に通訳の質です。捜査機関が手配する通訳は捜査の側で働く立場であり、依頼者本人のために動く通訳とは異なります。家庭の事情のように罪の成否から一見離れた事柄ほど、正確に伝わらないまま調書に残ることがあります。

当事務所のご案内と解決事例

舟渡国際法律事務所は、外国人の刑事弁護と入管手続を一貫して扱っています。参考となる実績をご紹介します。

  • 観光目的で来日した方が日本人女性との間に子を授かったものの在留資格を失い、不法滞在で起訴された事案では、婚姻と認知を成立させ、国籍国の公的書類がほとんど得られない状況の中で有利な資料を集め、1回の申請で在留特別許可を獲得しました。
  • 特殊詐欺の出し子に関与したとされた20代女性の事案では、指示役からの欺罔や脅迫的な状況、犯意の不存在を具体的に主張し、不起訴処分を獲得しました。

当事務所では、弁護士松村大介が初動の接見から公判の結審まで全工程を直接担当し、事務員や若手弁護士に代行させることはありません。外国人事件に精通した中国語の専属通訳が常駐し、ご家族との連絡も中国語で行えます。刑事手続後の在留資格は、提携する行政書士と連携してワンストップで対応します。

結語

子どもが日本に残された事案では、刑事弁護と生活の手当てを同時に進める必要があります。一方だけを追いかけると、気づいたときには取り返しのつかない期限が過ぎています。まず子どもの居場所と安全、次に在留期限、そして刑事処分の見通し。この順で整理し、早めにご相談ください。

本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。

過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

執筆者

弁護士 松村大介(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)。舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田)。注力分野は外国人刑事弁護、入管手続(退去強制・在留特別許可)、行政訴訟。最終更新:2026年8月。

舟渡国际法律事务所
网站:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119

本記事の中国語版(简体字)はこちら

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