舟渡国際法律事務所

保釈が認められた後の生活|制限住居・条件違反・そして在留手続との関係

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保釈が認められた後の生活|制限住居・条件違反・そして在留手続との関係

保釈が認められた後の生活|制限住居・条件違反・そして在留手続との関係

2026/08/15

起訴された後、保証金を納めて身柄が解放される。ご家族にとっては大きな安堵の瞬間です。ただ、保釈は「終わり」ではなく、判決までの期間をどう過ごすかという新しい局面の始まりでもあります。外国人の方の場合、ここに在留手続という別の時計が重なります。この記事では、保釈された後の生活で気をつけていただきたい点を、条文に沿って整理いたします。

本記事の要点

  • 保釈の請求は、被告人本人のほか、弁護人、法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族、兄弟姉妹が行うことができます(刑事訴訟法88条1項)。
  • 一定の重い罪や罪証隠滅のおそれがある場合などを除き、保釈は許さなければならないとされています(同法89条)。これに当たる場合でも、裁判所は健康上・経済上・社会生活上・防御の準備上の不利益を考慮して、職権で保釈を許すことができます(同法90条)。
  • 保釈が許される際には保証金額が定められ、住居の制限その他の条件を付すことができます(同法93条)。
  • 住居の制限その他の条件に違反したときは、保釈が取り消され、保証金の全部又は一部が没取されることがあります(同法96条1項6号・2項)。
  • 保釈中であっても、在留期間は進みます。刑事手続の進行と在留期間の満了時期を、同じ表の上で管理する必要があります。

「制限住居」は住所の登録ではありません

保釈の決定書には、住居を制限する条件が記載されるのが通例です。これは単なる住所の届出ではなく、そこに居住し続けることが保釈の条件になっているという意味です。裁判所の許可を受けずに、指定された期間を超えてその住居を離れてはならない旨の条件が付されることもあります(刑事訴訟法93条4項)。

実務上、問題が起きやすいのは次のような場面です。勤務先の都合で遠方に長期出張することになった。家族の事情で別の都道府県に一時的に移りたい。引っ越しを予定していた。いずれも、事前に弁護人を通じて裁判所の許可を得るべき事柄です。良かれと思って自己判断で動いた結果、保釈が取り消され、保証金が没取される事態は避けなければなりません。

なお、令和5年の法改正により、期間を指定された勾留の執行停止中に正当な理由なく出頭しない行為などが処罰の対象となる規定が設けられています(刑事訴訟法95条の2)。身柄の解放に伴う約束の重みは、以前より増しています。

在留期間という、もう一つの時計

外国人の被告人にとって、保釈後の期間は在留手続との併走になります。

まず、在留期間の満了日が公判の途中に到来することがあります。在留期間の更新は入管法21条に基づく申請ですが、その許否は法務大臣の裁量に委ねられており、公表されている審査のガイドラインは素行が善良であることを考慮事項としています。刑事事件が係属中であるという事情が、審査においてどのように評価されるかは、事案によって異なります。申請そのものを控えるという判断は、原則として適切ではありません。期限を徒過すれば不法残留となり、入管法24条4号ロの退去強制事由が別途生じてしまうからです。

次に、旅券の取扱いです。保釈の条件として旅券を弁護人が預かる運用が採られることがあります。この場合、在留に関する手続で旅券の提示が必要になる場面との調整が必要になります。

さらに、判決の内容によっては、刑事手続の終了後に入管法上の手続へ移行します。既に在留資格を失っている方の場合、保釈されていても、刑事手続が終わった段階で退去強制手続に入ることがあります。保釈は刑事手続における身柄の解放であって、在留の適法性を回復させるものではないという点は、正確に理解しておく必要があります。

判決までの時間を、どう使うか

保釈された期間は、防御の準備のための時間です。関係者からの陳述書の取得、就労先や身元引受人との打合せ、被害者との示談交渉、専門家の意見の取得。身柄を拘束されたままでは難しかった作業が可能になります。

在留の観点からは、この期間に、家族関係を裏づける資料、就労の実態を示す資料、納税と社会保険の状況を示す資料を整えておくことが有効です。判決後に退去強制手続へ進んだ場合、これらは在留特別許可の判断材料になります。入管法50条5項は、在留を希望する理由、家族関係、素行、入国の経緯、在留の期間、法的地位、退去強制の理由、人道的な配慮の必要性などを考慮事項として掲げています。準備は早いほど厚くなります。

初動で押さえておきたい3つのこと

  • 住居や生活の変更は、必ず事前に弁護人へ相談してください。事後の報告では間に合いません。
  • 在留期間の満了日を、公判の日程と同じカレンダーに書き入れてください。
  • 就労が制限される在留資格の場合、保釈中の就労の可否についても確認が必要です。

当事務所のご案内

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)では、松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が、刑事手続と入管手続を一体として設計いたします。

身柄の解放をめぐっては、特殊詐欺の受け子として複数回の再逮捕を受けた事案において、取調べへの対応と不当な取調べへの抗議を重ね、全ての事件について不起訴処分を得た事例があります。また、在留の分野では、在留資格を失った状態で不法滞在により逮捕・起訴された方について、婚姻・認知の手続を成立させたうえで、刑事裁判における被告人質問・証人尋問を入管手続を見据えて実施し、在留特別許可を獲得した事例があります。刑事の期日と入管の手続を同じ設計図の上に置く、という当事務所の方針を示す事案です。

接見の初動から公判の結審まで松村大介弁護士が全工程を直接担当し、外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐しています。刑事手続の終了後の在留資格の更新・変更については、提携の行政書士と連携して対応いたします。

結語

保釈は、防御の準備を取り戻すための制度です。その自由には条件が伴い、外国人の方の場合には在留という別の時計も同時に進んでいます。二つの時計を一つの表で管理すること。それが、判決の日を最も良い状態で迎えるための準備になります。

本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年8月時点の情報です

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。

覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

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ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

微信ID:matsumura1119

本記事の中国語版(简体字)はこちら

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