舟渡国際法律事務所

難民認定申請と補完的保護対象者の認定|対象となる人、手続の流れ、申請で重視されること

お問い合わせはこちら

難民認定申請と補完的保護対象者の認定|対象となる人、手続の流れ、申請で重視されること

難民認定申請と補完的保護対象者の認定|対象となる人、手続の流れ、申請で重視されること

2026/08/31

本国に戻れば身の危険がある。しかし在留資格の期限は迫っており、どこに何を申請すればよいのか分からない。周囲からは「難民申請をすれば当面は日本にいられる」と聞いたが、本当にそうなのか。制度の入り口で迷ったまま時間だけが過ぎている、という相談を受けることがあります。

令和5年の入管法改正により、従来の難民認定制度に加えて補完的保護対象者の認定制度が設けられ、令和6年6月10日から施行されています。この記事では、二つの制度の違い、認定されるとどうなるのか、申請にあたって何が重視されるのかを説明します。

難民認定申請とはどのような手続ですか

難民認定申請は、日本にいる外国人が、自分が難民に当たることの認定を国に求める手続です。申請は地方出入国在留管理局で受け付けられ、その後、申請書と提出資料に基づく審査と、担当の職員による面接(インタビュー)が行われます。

この面接が手続の中心です。通訳を介して、出身国での経緯、迫害を受けるおそれの内容、日本に来るまでの経過などを詳しく聴取されます。供述の内容は記録され、後の判断の基礎になります。準備なしに臨むことは避けるべき場面です。

難民として認定されるのはどのような人ですか

難民条約は、人種、宗教、国籍、特定の社会的集団の構成員であること、または政治的意見を理由として迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有するために、本国の保護を受けられない、または受けることを望まない者を難民としています。

ここで重要なのは次の点です。

  • 本国の一般的な情勢が厳しいというだけでは足りず、申請者本人が迫害の対象となるおそれを説明する必要があること
  • 恐怖が主観的なものにとどまらず、客観的な事情に裏付けられていると評価できること
  • 迫害の主体は政府機関に限らず、政府が保護を与えられない場合の私人による加害も問題となり得ること

経済的な理由や、生活の向上を目的とする移住は、この定義には当たりません。

補完的保護対象者の認定とは何ですか

補完的保護対象者の認定は、難民条約が定める五つの理由には当たらないものの、本国に戻れば迫害を受けるおそれがあると認められる方を保護するための制度です。令和5年の改正で新設され、令和6年6月10日から運用されています。

たとえば、紛争によって無差別の暴力が広がっている地域の出身であるといった事情は、条約上の五つの理由に直接結びつかないことがあります。従来はこうした方が制度の間で取り残されがちでしたが、補完的保護の枠組みによって保護の対象となり得ることになりました。

申請の窓口は難民認定申請と共通しており、難民に当たらないと判断された場合に補完的保護の該当性も検討される仕組みです。申請者が最初にどちらかを選ばなければならないわけではありません。

認定されるとどのような在留資格が与えられますか

難民として認定された方には、日本での定住を前提とした在留資格が与えられ、就労の制限なく働くことができます。補完的保護対象者として認定された方についても、難民に準じた在留上の取扱いがされることとされています。

認定は、単に送還されないという消極的な意味にとどまりません。在留資格を得ることで、住民登録、健康保険への加入、子の就学、金融機関の口座開設といった生活の基盤が整い、家族の呼寄せについても検討の対象となり得ます。

申請中は日本にいられますか、働けますか

従来、難民認定の申請中は送還が停止されるという扱いがされてきましたが、令和5年の改正により、この送還の停止には例外が設けられました。申請さえしていれば送還されない、という理解は現在では正確ではありません

就労については、申請の時期や在留状況によって取扱いが異なり、就労が認められる場合と認められない場合があります。申請中に無許可で働けば、資格外活動の問題が生じ、その後の在留にも影響します。何ができて何ができないのかを、申請の時点で確認しておく必要があります。

不認定になった場合はどうすればよいですか

不認定の通知を受けた場合、これに対して審査請求をすることができます。審査請求の手続では、外部の有識者である難民審査参与員の意見を聴いたうえで判断がされる仕組みが設けられています。

審査請求でも認められなかった場合には、裁判所に取消訴訟を提起して争う道があります。ここでも出訴期間の制限があり、通知を受け取った日から一定の期間内に訴えを起こす必要があります。通知書は必ず保管し、受領日を控えておいてください。

申請でもっとも重視されるのは何ですか

供述の信用性です。難民認定の場面では、迫害を受けるおそれを直接証明する書類が手元にないことが多く、本人の説明そのものが最大の資料になります。そのため、次の点が重視されます。

  • 初回の申請書、面接、その後の書面を通じて、説明の核心部分が一貫していること
  • 出来事の時期・場所・関与した人物などが具体的に語られていること
  • 本国の情勢に関する客観的な資料と、供述の内容が整合していること
  • 提出できる資料(身分関係書類、所属団体の資料、医療記録、報道など)が説明を裏付けていること

逆に、後から重要な事実を付け加えたり、時期によって説明が食い違ったりすると、信用性が低く評価される要因になります。最初の申請の段階で、事実関係を整理して臨むことが決定的に重要です。

中国籍の方が申請する場合に注意すべき点は何ですか

まず、証拠の収集方法に注意が必要です。本国の家族や知人に資料の送付を依頼することが、かえって現地の関係者に危険を及ぼす場合があります。誰に何を頼むかは慎重に判断すべきです。

また、日本国内での活動状況が説明の一部になることがあります。参加している集会や団体の活動、発信の内容などについて、記録が残っているかを確認しておくとよいでしょう。

そして、面接の通訳の問題があります。方言や専門的な言い回し、宗教・政治に関する用語は、訳し方によって意味が変わってしまうことがあります。言い間違いや訳の食い違いをその場で訂正しないまま記録が残ると、後日、供述の変遷として扱われるおそれがあります。納得できない記録にはその場で訂正を求めてください。

当事務所のご案内

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)は、中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護と入管手続を主たる注力分野としています。担当する松村大介弁護士(第一東京弁護士会所属・登録番号59077・2019年登録)が、警察署での最初の接見から検察官との交渉、公判、その後の入管手続に至るまで全工程を直接担当します。事務員や若手弁護士が代わりに対応することはありません。

外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐しており、捜査機関が手配する通訳とは別に、依頼者ご本人のために動く立場の通訳を利用していただけます。取調べで何を話したのか、入管で何を聞かれているのかを正確に把握できる体制です。刑事手続が終わった後の在留資格の更新・変更等については、提携する行政書士とワンストップで対応します。

  • 難関とされた在留特別許可を1回の手続で獲得した事例。観光目的で来日した相談者が日本人女性との間に子を授かったものの、在留資格を失い不法滞在で逮捕・起訴された事案です。婚姻と認知の手続が未了で当局から一旦不受理とされたところ、松村弁護士が憲法的な観点から当局と交渉して婚姻・認知を成立させ、入管法違反の刑事裁判を意識した被告人質問・証人尋問を行いました。国籍国発行の公的書類がほとんど存在しない困難な状況下でも有利な証拠を集め、入管当局の過去の許可事例を分析することで、1回の手続で在留特別許可を得ました。
  • 強制退去の危機にあった女性を救済した事例。冤罪により不法就労助長罪に問われ、強制退去の危機に瀕した女性の事案です。「退去強制事由には故意・過失を要しない」とされてきた従来の実務に対し、責任主義の射程を問う訴訟を提起して上訴審まで争いました。その後、入管から在留特別許可が認められました。

初回のご相談は無料です。費用は事案に応じてお見積りします。まずは現在の状況を整理するところから、一緒に始めさせてください。

おわりに

難民認定と補完的保護は、いずれも本国での危険から人を保護するための制度ですが、認定の枠組みも、求められる説明の内容も異なります。そして共通しているのは、最初の申請と面接で語った内容が、その後の手続すべての土台になるという点です。準備のないまま面接に臨むことは避け、事実関係を時系列で整理してから手続に入ることをお勧めします。

舟渡国際法律事務所では、中国語の通訳を交えて出身国での経緯を丁寧に伺い、申請書の作成、面接に向けた事実関係の整理、出身国情報や裏付け資料の収集、不認定後の審査請求や訴訟の検討まで、段階に応じたご案内をしています。なお、本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。また、ここで紹介した過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではありません。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。

覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

お問い合わせ

舟渡国際法律事務所

ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

微信ID:matsumura1119

この記事の他の言語版

简体中文

----------------------------------------------------------------------
舟渡国際法律事務所
住所 : 東京都豊島区高田3丁目4-10布施ビル本館3階
電話番号 :050-7587-4639


東京にて中国人の方をサポート

東京を中心に民事事件に対応

東京にて行政事件に関する対応

----------------------------------------------------------------------

当店でご利用いただける電子決済のご案内

下記よりお選びいただけます。