舟渡国際法律事務所

在留特別許可が認められなかった場合の取消訴訟|理由付記書面の読み方、出訴期間、争われる論点

お問い合わせはこちら

在留特別許可が認められなかった場合の取消訴訟|理由付記書面の読み方、出訴期間、争われる論点

在留特別許可が認められなかった場合の取消訴訟|理由付記書面の読み方、出訴期間、争われる論点

2026/08/31

長い間待ち続けた在留特別許可の結果が、不許可という形で届いた。書面には理由らしきことが書かれているが、自分たちの生活のどこが足りなかったのかが分からない。日本で生まれた子どもがいる、婚姻生活も続いている、それでも認められないのか。そうした思いを抱えている方は少なくありません。

在留特別許可が認められなかったとき、そこで手続がすべて終わるわけではありません。この記事では、不許可の判断を裁判所で争う取消訴訟について、何を対象にどのような点を主張するのか、時間的な制約はどうなっているのかを説明します。

在留特別許可が認められなかったとき、どのような書面が届きますか

入管法50条10項により、在留特別許可をしないこととしたときは、その理由を付した書面が交付されることになっています。まず、この書面を必ず保管してください。

この書面には、どの事情がどのように評価されたのかの手がかりが記されています。たとえば在留期間の長さ、家族関係の実態、退去強制事由となった行為の内容、過去の在留状況などです。どの事情が消極的に評価されたのかを読み解くことが、その後の対応の出発点になります。受け取った日付と、書面が入っていた封筒も併せて保管してください。

不許可になったら、もう日本に残る道はないのですか

そうとは限りません。行政庁の判断は、裁判所によって審査される余地があります。

在留特別許可は法務大臣等の裁量に委ねられた判断とされていますが、裁量であるからといって、どのような判断でも許されるわけではありません。裁量権の範囲を超えたり、これを濫用したりした場合には、裁判所が処分を取り消すことができます。

令和5年の入管法改正により、在留特別許可については申請の手続が法律上整備され、考慮すべき事情も入管法50条5項に列挙されました。判断の枠組みが条文に書き込まれたことで、その枠組みに沿った検討がされたかどうかを裁判で問いやすくなった面があります。もっとも、裁判で必ず結論が覆るわけではなく、見通しを断定することはできません。

何を対象に取消訴訟を起こすのですか

事案によって異なります。実務上は、在留特別許可をしない旨の判断そのもの、審査請求に対する裁決、そしてこれに続く退去強制令書の発付処分が問題となり、複数の処分を併せて争うことも少なくありません。

どの処分を訴訟の対象とするかは、手続がどの段階まで進んでいるか、いつどの書面が交付されたかによって変わります。ここを誤ると、本来争えたはずの論点が審理されないまま終わってしまうおそれがあります。書面一式を持参して、早い段階で相談することをお勧めします。

取消訴訟にはいつまでに訴えを起こす必要がありますか

行政処分を裁判で争うには出訴期間の制限があり、処分があったことを知った日から法律の定める期間内に訴えを起こさなければなりません。この期間を過ぎると、内容にどれほど言い分があっても、裁判所は中身を審理してくれません。

この点は、在留手続の中で最も見落とされやすいところです。書面が届いてから、家族で話し合い、通訳を探し、資料をそろえているうちに、期間が過ぎてしまうことがあります。不許可の書面を受け取ったら、その日から日数を数え始めてください。

裁判ではどのような点が争われますか

中心となるのは、行政庁が考慮すべき事情を適切に考慮し、考慮すべきでない事情に左右されていないか、そして評価の重み付けが著しく不合理でないか、という点です。具体的には次のような事情が主張されます。

  • 在留の期間と、その間の生活の安定性・社会との結びつき
  • 日本人や永住者である配偶者との婚姻関係が、形式だけでなく実質を伴って継続していること
  • 日本で出生し、または幼少期から日本で成育した子の就学状況と、本国での生活適応の困難
  • 退去強制事由となった行為の性質と、その後の期間の経過、再発防止の状況
  • 自ら出頭して申告したという経緯(在留特別許可のガイドラインでは積極的要素とされています)
  • 本国に帰国した場合に生じる具体的な不利益

在留特別許可のガイドラインは令和6年3月に改定され、同年6月10日から施行されています。どの事情が積極要素とされ、どの事情が消極要素とされるのかが公表されているため、これに照らして行政庁の判断を検証していくことになります。

訴訟を起こせば送還は止まりますか

止まりません。訴えを起こしただけでは処分の執行は停止しないのが原則です。訴訟の途中で送還されてしまえば、日本での生活を取り戻すことは事実上できません。

そこで、取消訴訟と併せて、行政事件訴訟法25条に基づく執行停止の申立てを検討することになります。執行停止が認められるには、重大な損害を避けるための緊急の必要があることなどの要件を満たす必要があり、認められるかどうかは事案の具体的事情によります。

勝訴したらどうなりますか

裁判所が処分を取り消した場合、その処分は初めからなかったことになり、行政庁は判決の趣旨に従って改めて判断をやり直すことになります。

注意していただきたいのは、判決によって直ちに在留資格が与えられるわけではないという点です。もっとも、判決で示された判断枠組みや評価の誤りを踏まえて改めて検討がされることになるため、その意義は小さくありません。

裁判を有利に進めるために準備すべき資料は何ですか

不許可の理由書で消極的に評価された点を補い、積極的な事情を客観的に裏付ける資料が中心になります。

  • 戸籍関係書類、婚姻証明、同居の実態を示す写真や通信の記録
  • 子の在学証明、通知表、担任や学校関係者の陳述書
  • 勤務先の在職証明、給与明細、納税証明、社会保険の加入記録
  • 地域や職場の方による身元保証・支援に関する陳述書
  • 診断書や通院記録など健康上の事情に関する資料
  • 本国の状況について、公的機関や報道による客観的な資料

これらは一朝一夕にはそろいません。不許可を受けた時点から、家族が並行して収集を始めることが、限られた出訴期間を有効に使うことにつながります。

当事務所のご案内

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)は、中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護と入管手続を主たる注力分野としています。担当する松村大介弁護士(第一東京弁護士会所属・登録番号59077・2019年登録)が、警察署での最初の接見から検察官との交渉、公判、その後の入管手続に至るまで全工程を直接担当します。事務員や若手弁護士が代わりに対応することはありません。

外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐しており、捜査機関が手配する通訳とは別に、依頼者ご本人のために動く立場の通訳を利用していただけます。取調べで何を話したのか、入管で何を聞かれているのかを正確に把握できる体制です。刑事手続が終わった後の在留資格の更新・変更等については、提携する行政書士とワンストップで対応します。

  • 難関とされた在留特別許可を1回の手続で獲得した事例。観光目的で来日した相談者が日本人女性との間に子を授かったものの、在留資格を失い不法滞在で逮捕・起訴された事案です。婚姻と認知の手続が未了で当局から一旦不受理とされたところ、松村弁護士が憲法的な観点から当局と交渉して婚姻・認知を成立させ、入管法違反の刑事裁判を意識した被告人質問・証人尋問を行いました。国籍国発行の公的書類がほとんど存在しない困難な状況下でも有利な証拠を集め、入管当局の過去の許可事例を分析することで、1回の手続で在留特別許可を得ました。
  • 強制退去の危機にあった女性を救済した事例。冤罪により不法就労助長罪に問われ、強制退去の危機に瀕した女性の事案です。「退去強制事由には故意・過失を要しない」とされてきた従来の実務に対し、責任主義の射程を問う訴訟を提起して上訴審まで争いました。その後、入管から在留特別許可が認められました。

初回のご相談は無料です。費用は事案に応じてお見積りします。まずは現在の状況を整理するところから、一緒に始めさせてください。

おわりに

在留特別許可の不許可は、当事者にとっては生活の基盤そのものを否定されたように感じられる出来事です。しかし、行政庁の判断が裁判所の審査を受ける制度がある以上、そこで終わりとは限りません。重要なのは、理由付記書面を丁寧に読み解き、出訴期間を守り、消極的に評価された点を裏付け資料で補っていくことです。

舟渡国際法律事務所では、中国語の通訳を交えて経緯を伺い、不許可理由の分析、争うべき処分の見極め、取消訴訟と執行停止の申立て、資料収集の進め方まで、段階に応じたご案内をしています。なお、本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。また、ここで紹介した過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではありません。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。

覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

お問い合わせ

舟渡国際法律事務所

ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

微信ID:matsumura1119

この記事の他の言語版

简体中文

----------------------------------------------------------------------
舟渡国際法律事務所
住所 : 東京都豊島区高田3丁目4-10布施ビル本館3階
電話番号 :050-7587-4639


東京にて中国人の方をサポート

東京を中心に民事事件に対応

東京にて行政事件に関する対応

----------------------------------------------------------------------

当店でご利用いただける電子決済のご案内

下記よりお選びいただけます。