舟渡国際法律事務所

永住許可申請と犯罪歴・交通違反歴|前科や違反があるときの素行要件の考え方

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永住許可申請と犯罪歴・交通違反歴|前科や違反があるときの素行要件の考え方

永住許可申請と犯罪歴・交通違反歴|前科や違反があるときの素行要件の考え方

2026/08/31

永住許可を申請しようとする段階になって、数年前に受けた罰金の処分や、何度か切られた交通違反の切符が気になり始めた、というご相談は非常に多くいただきます。処分を受けたときは在留期間の更新が問題なく通ったので大丈夫だと思っていた、という方もいらっしゃいます。

永住許可の審査は、在留期間の更新とは基準が異なります。入管法22条が定める素行が善良であることという要件は、更新の審査よりも厳密に見られるのが実際です。本記事では、犯罪歴や交通違反歴が永住許可の審査でどのように評価されるのか、そして処分歴がある場合に何を準備すべきかを整理します。

前科があると永住許可は絶対に認められませんか

絶対に認められないというものではありません。素行が善良であることという要件は、法律を守り、日常生活においても社会の一員として非難されることのない生活を送っていることを求めるものであり、一度の処分歴が永久に評価を固定するという構造ではありません。実際には、処分の内容と重さ処分からの経過期間その後の生活状況という3つの角度から総合的に判断されます。ただし、処分の内容によっては、永住どころか在留の継続自体が問題になる類型があるため、まず自分の処分がどの類型に当たるのかを確認する必要があります。

罰金刑も素行要件で問題になりますか

問題になります。前科という言葉は実刑や執行猶予付きの判決だけを指すものではなく、罰金刑を受けた場合も含まれます。略式手続で罰金を納付して終わった事案でも、有罪の裁判を受けたことに変わりはありません。もっとも、罰金刑を受けたからといって直ちに退去強制になるわけではありません。1年を超える実刑を理由とする退去強制の事由には但書があり、全部の執行猶予が付いた場合は除かれるとされていますし、罰金刑はそもそもこの類型には当たりません。退去強制の話と永住審査の話は別だとご理解ください。

薬物に関する処分だけは扱いが違うと聞きましたが本当ですか

本当です。薬物に関する法令違反については、入管法24条4号チにより、有罪の判決を受けたこと自体で退去強制の事由に当たるとされています。罰金であっても、執行猶予が付いていても、刑が免除されたとしても該当します。さらに、この類型に該当した場合の上陸拒否は期間の定めがないものとされており、将来の再入国も極めて困難になります。なお、大麻取締法は令和6年12月12日に大麻草の栽培の規制に関する法律へ改称され、大麻は麻薬及び向精神薬取締法上の麻薬として扱われることとなり、使用罪も新設されました。薬物事件で捜査を受けている段階の方は、永住の可否以前の問題として、直ちに弁護士にご相談ください。

交通違反は何回くらいまでなら影響しませんか

何回までなら大丈夫という公表された基準はありません。実務上は、違反の内容と回数、期間の中での分布が見られます。速度超過や駐車違反といった比較的軽微な違反が長い在留期間の中で数回あるにとどまる場合と、短期間に繰り返している場合とでは、評価が異なります。申請にあたっては、自動車安全運転センターが発行する運転記録証明書の提出を求められることがありますので、自分の違反歴を正確に把握しておくことが第一歩です。記憶に頼らず、証明書を取り寄せて確認されることをお勧めします。

飲酒運転や無免許運転はどのように評価されますか

これらは軽微な違反とは別に扱われるとお考えください。飲酒運転、無免許運転、著しい速度超過、ひき逃げといった行為は、それ自体が刑事事件として立件される類型であり、素行の評価に与える影響は大きくなります。また、自動車運転死傷処罰法が定める危険運転致死傷に当たる行為については、入管法24条4号の2の類型に含まれています。この類型は、別表第一の在留資格、すなわち就労資格や留学などをもって在留する方について定められているものですが、在留そのものに直結する問題となる点で影響は重大です。交通事件は軽く考えられがちですが、在留への影響という観点では、罪名によって結論が大きく変わる領域です。

執行猶予付きの判決や不起訴処分の場合はどうなりますか

それぞれ意味が異なります。整理すると次のとおりです。

  • 執行猶予付きの判決を受けた場合は、有罪の判決である以上、素行の評価に影響します。もっとも、猶予期間を無事に経過すれば刑の言渡しは効力を失うとされており、その後の経過期間と生活状況によって評価は変わり得ます。
  • 不起訴処分となった場合は、有罪の裁判を受けていませんので前科にはあたりません。ただし捜査を受けた事実は記録として残ります。日常生活において違法行為を繰り返している場合には、前科がなくても素行の評価に影響し得ます。
  • 起訴猶予による不起訴と、嫌疑不十分による不起訴では意味合いが異なりますので、自分がどの理由で不起訴となったのかを把握しておくことが大切です。

処分を受けてからどのくらい経てば申請を検討できますか

一律の年数は公表されていません。ただし、処分の直後に申請するよりも、一定の期間、納税や社会保険の納付を含めて安定した生活を続けた実績を示せる段階で申請する方が、説明の説得力は増します。特に、素行要件が緩和され得るとされる日本人の配偶者等や永住者の配偶者等、定住者の在留資格をもつ方であっても、その者の永住が日本国の利益に合すると認められることという要件はなお審査されますので、処分歴が完全に無視されるわけではありません。時間の経過そのものではなく、その間に何を積み上げたかが問われているとお考えください。

犯罪歴がある場合に永住申請で準備すべき資料は何ですか

事実を正確に示す資料と、その後の生活を示す資料の両方です。処分の内容が分かる資料、運転記録証明書、直近数年分の課税証明書と納税証明書、年金や健康保険の納付状況が分かる資料、勤務先の在職を示す資料などが基本になります。そのうえで、処分に至った経緯、反省の内容、再発を防ぐためにとった具体的な対策、その後の生活状況を、時系列に沿った説明書として提出することが有効です。処分歴を申告しないという選択は避けてください。事実と異なる申告は、それ自体が信用を損ない、後の手続にも影響します。

当事務所のご案内

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)は、中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護と入管手続を主たる注力分野としています。担当する松村大介弁護士(第一東京弁護士会所属・登録番号59077・2019年登録)が、警察署での最初の接見から検察官との交渉、公判、その後の入管手続に至るまで全工程を直接担当します。事務員や若手弁護士が代わりに対応することはありません。

外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐しており、捜査機関が手配する通訳とは別に、依頼者ご本人のために動く立場の通訳を利用していただけます。取調べで何を話したのか、入管で何を聞かれているのかを正確に把握できる体制です。刑事手続が終わった後の在留資格の更新・変更等については、提携する行政書士とワンストップで対応します。

  • 難関とされた在留特別許可を1回の手続で獲得した事例。観光目的で来日した相談者が日本人女性との間に子を授かったものの、在留資格を失い不法滞在で逮捕・起訴された事案です。婚姻と認知の手続が未了で当局から一旦不受理とされたところ、松村弁護士が憲法的な観点から当局と交渉して婚姻・認知を成立させ、入管法違反の刑事裁判を意識した被告人質問・証人尋問を行いました。国籍国発行の公的書類がほとんど存在しない困難な状況下でも有利な証拠を集め、入管当局の過去の許可事例を分析することで、1回の手続で在留特別許可を得ました。
  • 強制退去の危機にあった女性を救済した事例。冤罪により不法就労助長罪に問われ、強制退去の危機に瀕した女性の事案です。「退去強制事由には故意・過失を要しない」とされてきた従来の実務に対し、責任主義の射程を問う訴訟を提起して上訴審まで争いました。その後、入管から在留特別許可が認められました。

初回のご相談は無料です。費用は事案に応じてお見積りします。まずは現在の状況を整理するところから、一緒に始めさせてください。

おわりに

犯罪歴や交通違反歴があるからといって、永住許可の道が閉ざされるわけではありません。重要なのは、処分の類型を正確に把握したうえで、退去強制に直結する類型なのか、素行の評価にとどまる類型なのかを切り分け、それに応じた準備をすることです。特に薬物に関する処分は他の類型と扱いが異なりますので、早い段階での確認が欠かせません。当事務所では、中国籍の方の刑事事件と在留手続を一体として取り扱っており、刑事処分を受けた後に在留資格を維持できた事例や、退去強制手続に進んだ後に在留特別許可を得た事例もございます。中国語通訳が常駐しております。

なお、本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。また、ここで紹介した過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではありません。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。

覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

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ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

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