舟渡国際法律事務所

高齢の親を日本に呼びたい場合の在留資格|短期滞在・特定活動(老親扶養)の現実的な考え方

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高齢の親を日本に呼びたい場合の在留資格|短期滞在・特定活動(老親扶養)の現実的な考え方

高齢の親を日本に呼びたい場合の在留資格|短期滞在・特定活動(老親扶養)の現実的な考え方

2026/08/31

日本で長く働き、家庭を築いてこられた方から、本国で一人暮らしになった高齢の親を日本に呼びたい、というご相談をよくいただきます。親が体調を崩した、配偶者を亡くして本国に世話をする人がいなくなった、自分が仕事で本国に帰る時間を取れない、という切実な事情が背景にあることがほとんどです。

ところが日本の在留制度には、外国人が自分の親を扶養するための在留資格が正面から用意されているわけではありません。だからといって道が閉ざされているわけでもなく、短期滞在の繰り返し、人道的な配慮による特定活動、高度専門職に付随する制度など、事情に応じて検討できる選択肢はあります。本記事では、どの制度がどこまで使えるのかを整理します。

高齢の親を日本に呼び寄せるための在留資格はありますか

親を扶養するための在留資格という枠組みは、原則として用意されていません。日本の在留資格は、行おうとする活動または身分・地位に着目して類型化されており、親を養うという目的そのものに対応する類型が存在しないためです。したがって実務では、短期滞在で行き来する方法人道的な配慮を理由とする特定活動を求める方法高度専門職に付随する制度を利用する方法のいずれかを、事情に応じて検討することになります。いずれも簡単に認められるものではないという前提で、早めに準備を始めることが大切です。

家族滞在の在留資格で親を呼ぶことはできますか

できません。家族滞在は、就労資格などをもって在留する方に扶養される配偶者または子を対象とする在留資格であり、親は対象に含まれていません。同じように、日本人の配偶者等も、日本人の配偶者・子・特別養子を対象とするものであって、日本人の親を対象とする類型ではありません。この点を誤解したまま準備を進めてしまう方が多いため、最初に確認しておく必要があります。

短期滞在で親を呼ぶ場合はどのくらい滞在できますか

短期滞在は、親族訪問や観光などのために一時的に日本に滞在するための在留資格で、決定される在留期間は90日を超えない範囲とされています。中国籍の方の場合は、事前に日本の在外公館で査証の発給を受ける必要があり、日本にいる家族が身元保証人となって招へいの理由書などを準備するのが通例です。日本にいる間の医療費をどうするかという問題があるため、渡航前に旅行保険への加入を検討しておくことをお勧めします。滞在の延長は、病気の治療など特別な事情がある場合に限って認められる余地があるにとどまり、実質的な移住の手段として使えるものではありません。

老親扶養を理由とする特定活動が認められるのはどのような場合ですか

本国に親を世話できる親族が誰も残っていないなど、人道的な配慮の必要性が高いと判断された場合に、個別の判断として特定活動の在留資格が認められることがあります。これは明文の要件が公表されている制度ではなく、法務大臣の裁量による個別判断です。実際に考慮されているとみられる事情としては、次のようなものが挙げられます。

  • 親が高齢であり、単身で生活することが難しい健康状態にあること
  • 本国に扶養や介護を担える他の子や親族がいないこと
  • 日本にいる子に、親を経済的に扶養するだけの安定した収入と住環境があること
  • 日本にいる子自身の在留状況が安定していること(永住者や長期の在留資格など)

これらの事情を、公的書類と具体的な説明によって裏付けられるかどうかが実際の分かれ目になります。認められる例が限られている領域ですので、見通しについては率直な検討が必要です。

高度専門職の在留資格をもつ場合に親を呼べる制度はありますか

あります。高度専門職の在留資格をもつ方については、一定の要件のもとで、その親の入国と在留が認められる仕組みが設けられています。ただし対象は限定的で、幼い子の養育や、妊娠中の配偶者の介助といった具体的な目的があることが前提とされ、世帯の収入についての要件も設けられています。また、呼び寄せられる親は、申請する方本人または配偶者のいずれか一方の親に限られるのが原則です。親の老後の世話そのものを目的とする制度ではない点に注意が必要です。

親が日本に来た後に在留資格を変更することはできますか

短期滞在から他の在留資格への変更は、やむを得ない特別の事情があると認められる場合に限られるのが原則です。日本に来てから事情を作り上げれば変更が認められる、という考え方は通用しません。むしろ、来日前の段階で、どの制度を目指すのか、そのためにどの資料をそろえるのかを設計しておくことが重要になります。親が来日した後に健康状態が急変したというような場合には、診断書などの客観的な資料をそろえたうえで、速やかに相談されることをお勧めします。

短期滞在で来日した親が期限を過ぎてしまったらどうなりますか

在留期限を過ぎて日本にとどまれば不法残留となります。不法残留は、3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金、またはその併科という法定刑が定められた犯罪であり(入管法70条1項5号)、同時に退去強制の事由にも当たります(入管法24条4号ロ)。刑事の処分と退去強制の手続は別々に進む点に注意が必要です。なお、一定の要件をすべて満たす場合には、収容されずに自ら出国する出国命令の制度(入管法24条の3)を利用できることがあり、その場合の上陸拒否期間は退去強制の場合より短くなります。高齢の親が対象になっているときは、健康状態への配慮も含め、早い段階で弁護士にご相談ください。

呼び寄せを検討するときに準備しておくべきことは何ですか

親の年齢と健康状態、本国に残る親族の状況、日本にいる方の収入と住居、そして日本での医療や介護をどう支えるかという計画です。これらは、どの制度を目指す場合でも共通して問われる事柄です。特に、本国に他の親族がいないことや、親が一人では生活できない状態にあることは、口頭の説明ではなく、戸籍関係の書類や医師の診断書などの客観的な資料によって示す必要があります。準備には時間がかかりますので、親の状況が悪化してから動き出すのではなく、余裕をもって着手されることをお勧めします。

当事務所のご案内

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)は、中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護と入管手続を主たる注力分野としています。担当する松村大介弁護士(第一東京弁護士会所属・登録番号59077・2019年登録)が、警察署での最初の接見から検察官との交渉、公判、その後の入管手続に至るまで全工程を直接担当します。事務員や若手弁護士が代わりに対応することはありません。

外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐しており、捜査機関が手配する通訳とは別に、依頼者ご本人のために動く立場の通訳を利用していただけます。取調べで何を話したのか、入管で何を聞かれているのかを正確に把握できる体制です。刑事手続が終わった後の在留資格の更新・変更等については、提携する行政書士とワンストップで対応します。

  • 難関とされた在留特別許可を1回の手続で獲得した事例。観光目的で来日した相談者が日本人女性との間に子を授かったものの、在留資格を失い不法滞在で逮捕・起訴された事案です。婚姻と認知の手続が未了で当局から一旦不受理とされたところ、松村弁護士が憲法的な観点から当局と交渉して婚姻・認知を成立させ、入管法違反の刑事裁判を意識した被告人質問・証人尋問を行いました。国籍国発行の公的書類がほとんど存在しない困難な状況下でも有利な証拠を集め、入管当局の過去の許可事例を分析することで、1回の手続で在留特別許可を得ました。
  • 強制退去の危機にあった女性を救済した事例。冤罪により不法就労助長罪に問われ、強制退去の危機に瀕した女性の事案です。「退去強制事由には故意・過失を要しない」とされてきた従来の実務に対し、責任主義の射程を問う訴訟を提起して上訴審まで争いました。その後、入管から在留特別許可が認められました。

初回のご相談は無料です。費用は事案に応じてお見積りします。まずは現在の状況を整理するところから、一緒に始めさせてください。

おわりに

高齢の親の呼び寄せは、制度上、正面からの入口が用意されていない分だけ、事情の説明と資料の作り込みが結果を左右する分野です。短期滞在での往来を続けながら、必要な時期に備えて資料を整えていくという現実的な組み立ても十分に考えられます。当事務所では、中国籍の方の在留資格に関するご相談を数多くお受けしており、家族の事情を踏まえた在留資格の変更や、退去強制手続に進んだ後の在留特別許可を得た事例もございます。中国語通訳が常駐しておりますので、ご本国のご家族を交えてのご相談も可能です。

なお、本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。また、ここで紹介した過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではありません。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。

覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

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ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

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