中国で離婚した場合の日本での届出と在留手続|離婚証・判決書の扱いと在留資格
2026/08/31
帰国した際に中国で離婚の手続を済ませてきた、あるいは中国の裁判所で離婚の判決や調停の書面を得た、という方から、日本でも何か手続が必要かというご相談をいただきます。日本の役所には何も出していない、入管にも伝えていない、というまま何か月も過ぎてしまっているケースが少なくありません。
中国で離婚が成立していても、日本の戸籍や住民の記録、そして在留資格の扱いは自動的には変わりません。この記事では、市区町村への届出、中国の書類の翻訳と証明、中国の判決が日本で効力を持つかという問題、入管への届出と離婚後の在留資格、そしてお子さんに関する取扱いを整理します。
中国で離婚しました。日本でも届出が必要ですか
必要な手続があります。配偶者が日本人であった場合は、日本の戸籍に離婚の事実を反映させるための届出をしなければなりません。外国の方式で身分に関する行為が成立した場合には、原則として成立から3か月以内に、在外公館または本籍地などの市区町村に届け出ることとされています。
また、日本人配偶者かどうかにかかわらず、在留資格を有して日本で生活している方は、入管への届出が別途必要です。市区町村への届出と入管への届出は、まったく別の手続ですので、片方を済ませたことで両方が終わったと考えないでください。
日本人配偶者との離婚を市区町村にどう届け出ますか
この場合の届出は、日本で離婚を成立させるためのものではなく、既に外国で成立した離婚を戸籍に反映させるための報告的な届出です。したがって、双方の署名を新たに求められる協議離婚とは性質が異なります。
提出先は本籍地または住所地の市区町村です。必要な書類は、離婚の成立を証する中国の書面とその日本語訳、届出人の身分を証する書類などですが、自治体によって求められるものが異なることがありますので、事前に窓口へ確認してください。届出が済むと戸籍に離婚の記載がされ、離婚後の氏や子の記載についての手続へ進むことができます。
中国の離婚証や判決書はそのまま使えますか
そのままでは使えないのが通常です。日本の役所や入管に提出する外国語の書類には、日本語の訳文を添えるのが原則です。訳文には、訳した人の氏名や作成日を記載します。
また、書類の真正について、公証や認証を求められることがあります。中国で作成された文書について、どのような証明が必要になるかは、提出先と時期によって異なりますので、中国を離れる前に確認しておくと二度手間を避けられます。帰国中に原本を取得し、必要な証明まで済ませておくことをお勧めします。
中国の裁判所の離婚判決は日本でも効力が認められますか
外国の裁判所の判決は、日本の法律が定める一定の要件を満たす場合に、日本でも効力が認められる仕組みになっています。要件としては、その裁判所に管轄があったこと、相手方に手続への参加の機会が適切に与えられていたこと、内容が日本の公の秩序に反しないことなどが挙げられます。
多くの場合、市区町村の窓口での届出によって処理されますが、判決の内容や送達の経緯によっては、日本の裁判所の手続を経ることが必要になる場合もあります。相手方が手続に出席していない形で判決が出ているようなときは、書面をそろえる前に一度ご相談ください。
入管への届出は必要ですか
必要です。日本人の配偶者等や永住者の配偶者等の在留資格で在留している方は、離婚をしたときに入管へ届け出なければなりません。期限は14日以内とされています。届出をしないままにしていると、義務の不履行として、後の更新や永住許可の審査で消極的に評価されることがあります。
なお、届出をすること自体で在留資格が直ちに失われるわけではありません。届け出ないまま放置する方がリスクが大きく、後から説明する材料も失われますので、期限内に手続してください。
離婚後も日本に在留するにはどの手続をとりますか
配偶者としての活動を行わない状態が6か月以上続くと、在留資格の取消し(入管法22条の4)が問題となり得ます。ただし正当な理由がある場合は除かれます。したがって、離婚が成立したら、できるだけ早く、次のいずれの道を進むかを決める必要があります。
- 日本人や永住者との間の子を監護養育している場合などの定住者への変更
- 就職先が決まっている場合の就労系の在留資格への変更
- 進学する場合の留学など、他の在留資格への変更
- 日本での生活を継続しない場合の出国の準備
在留資格を既に失っている場合や、退去強制の手続が始まっている場合には、在留特別許可(入管法50条)の枠組みで判断されます。同条5項は、家族関係や在留の経緯、人道的な配慮の必要性などを考慮要素として定めています。
在留期間の更新が近い場合はどうすればよいですか
離婚が成立しているのに、日本人の配偶者等の在留資格のまま更新を申請しても、婚姻関係が既にないため、そのままでは認められません。更新ではなく変更の申請を検討することになります。
期限が迫っている場合は、離婚に関する中国の書類の取得が間に合うかどうかが問題になります。書類が届く前でも、経緯を説明する書面を添えて申請を行い、追って提出するという進め方が取られることもあります。期限を過ぎてしまうと選択肢が大きく狭まりますので、書類が揃っていない段階でもご相談ください。
子どもの親権・戸籍・在留はどうなりますか
中国の手続で子の養育について定められている場合、その内容が日本でどのように扱われるかは、書面の性質や手続の経緯によって異なります。日本人配偶者との間の子については、戸籍の記載や氏に関する手続を別途行う必要が生じることがあります。
お子さんが外国籍で日本に在留している場合には、扶養者の在留資格が変わることに伴って、お子さんの在留資格も見直しが必要になります。親が定住者に変更する場合には、子についても併せて申請するのが通常です。親の手続だけを進めて子の手続が漏れると、お子さんが在留資格のない状態になってしまいますので、必ず家族全員分を同時に確認してください。
当事務所のご案内
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)は、中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護と入管手続を主たる注力分野としています。担当する松村大介弁護士(第一東京弁護士会所属・登録番号59077・2019年登録)が、警察署での最初の接見から検察官との交渉、公判、その後の入管手続に至るまで全工程を直接担当します。事務員や若手弁護士が代わりに対応することはありません。
外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐しており、捜査機関が手配する通訳とは別に、依頼者ご本人のために動く立場の通訳を利用していただけます。取調べで何を話したのか、入管で何を聞かれているのかを正確に把握できる体制です。刑事手続が終わった後の在留資格の更新・変更等については、提携する行政書士とワンストップで対応します。
- 難関とされた在留特別許可を1回の手続で獲得した事例。観光目的で来日した相談者が日本人女性との間に子を授かったものの、在留資格を失い不法滞在で逮捕・起訴された事案です。婚姻と認知の手続が未了で当局から一旦不受理とされたところ、松村弁護士が憲法的な観点から当局と交渉して婚姻・認知を成立させ、入管法違反の刑事裁判を意識した被告人質問・証人尋問を行いました。国籍国発行の公的書類がほとんど存在しない困難な状況下でも有利な証拠を集め、入管当局の過去の許可事例を分析することで、1回の手続で在留特別許可を得ました。
- 強制退去の危機にあった女性を救済した事例。冤罪により不法就労助長罪に問われ、強制退去の危機に瀕した女性の事案です。「退去強制事由には故意・過失を要しない」とされてきた従来の実務に対し、責任主義の射程を問う訴訟を提起して上訴審まで争いました。その後、入管から在留特別許可が認められました。
初回のご相談は無料です。費用は事案に応じてお見積りします。まずは現在の状況を整理するところから、一緒に始めさせてください。
おわりに
中国で離婚を済ませてきた場合でも、日本での戸籍への届出、入管への届出、そして在留資格の変更という三つの手続が残ります。とくに入管への届出の期限と、配偶者としての活動を行わない期間に関する取扱いは、放置するほど不利になります。中国の書類の取得と翻訳には時間がかかりますので、帰国前の準備の段階からご相談いただくのが理想的です。当事務所では中国語での対応が可能で、書類の確認から入管への申請までお手伝いしています。
なお、本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。また、ここで紹介した過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではありません。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。
覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。
お問い合わせ
舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
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