家族滞在から就労系の在留資格へ変更するには|要件・必要書類・不許可時の対応
2026/08/31
夫または妻の在留資格に付いて日本に来た方から、自分も正社員として働きたい、週28時間の枠では生活が成り立たない、というご相談をよくいただきます。日本の高校を卒業したお子さんが就職を考える段階でも、同じ問題に直面します。
家族滞在は、扶養を受けて日本で生活するための在留資格ですので、フルタイムで働くには在留資格そのものを変更する必要があります。この記事では、どの在留資格を目指せるのか、学歴や職務内容の要件、日本で育った子どもについての取扱い、申請中の就労の可否、不許可になった場合の対応までを順に説明します。
家族滞在のままフルタイムで働くことはできますか
できません。家族滞在は扶養者の収入で生活することを前提とした在留資格で、それ自体には就労が認められていません。資格外活動許可を受けて原則として週28時間以内の範囲で働くことはできますが、これを超える働き方をするには在留資格の変更が必要です。
28時間の枠を超えて働き続けた場合、更新の審査で問題とされるだけでなく、事案によっては在留資格の取消しや退去強制の手続につながることもあります。収入が足りないという事情は理解できますが、枠を超えるのではなく、変更の可否を検討するのが正しい順序です。
家族滞在から技術・人文知識・国際業務へ変更するには何が必要ですか
この在留資格へ変更するには、大きく三つの条件が揃う必要があります。
- 受入れ先が決まっていること(雇用契約書または内定通知があること)
- 職務内容が該当すること。単純作業や現場での反復作業ではなく、専門的な知識を用いる事務職・技術職や、通訳翻訳・海外取引など外国人としての感性を要する業務であること
- 本人の学歴または実務経験が職務内容と結びつくこと。大学・大学院や日本の専門学校を卒業していること、または相当年数の実務経験があること
加えて、受入れ企業の事業の安定性、給与が日本人と同等以上であることも見られます。ここでつまずくのは、飲食店やコンビニでの接客、工場のライン作業といった業務内容で申請してしまうケースです。職務の中身を具体的に書き起こし、学んできたこととどうつながるかを説明できるかどうかが分かれ目になります。
学歴や実務経験がない場合はどうすればよいですか
就労系の在留資格は、原則として学歴か経験のいずれかを要求しますので、どちらも足りない場合は、別の道を検討することになります。具体的には、特定技能の試験に合格して分野を絞って就労する、日本の専門学校や大学に進学して学歴要件を満たす、といった方法です。
また、配偶者が永住者となった場合や、婚姻関係が日本人・永住者との間にある場合には、身分に基づく在留資格に変更できる可能性があります。本人の経歴だけでなく、家族全体の在留資格の状況を見て道筋を選ぶことが大切です。
日本の高校を卒業した子どもは就労できる在留資格に変われますか
家族滞在で来日し、日本の学校で教育を受けて高校を卒業した方については、定住者または特定活動への変更が認められる取扱いがあります。これが認められれば、就労の内容に制限のない働き方や、就労を目的とした在留が可能になります。
もっとも、入国したときの年齢、日本の学校に在籍した期間、卒業後に就職先が決まっていること、扶養者が身元保証をすることなど、細かな条件が定められています。どちらの類型に当てはまるかは経歴によって異なりますので、卒業前の早い段階で見通しを確認しておくことをお勧めします。
特定技能への変更は可能ですか
可能です。分野ごとの技能試験と日本語試験に合格し、受入れ機関との間で基準に適合する雇用契約を結べば、家族滞在から特定技能への変更を申請できます。介護、外食、農業、建設など、人手不足が続く分野で受入れが行われています。
注意していただきたいのは、特定技能の類型によっては家族の帯同が認められないことがある点です。将来の家族の在留も含めて選択する必要がありますので、目先の就労だけで決めずに、数年先の設計まで考えて選んでください。
変更の申請中もアルバイトを続けてよいですか
従前の在留資格と資格外活動許可の効力が続いている間は、その範囲内での就労は可能です。もっとも、新しい勤務先でフルタイムの勤務を始めてよいのは、変更が許可された後です。許可前に正社員として働き始めてしまうと、それ自体が資格外活動として問題になります。
企業側から早く来てほしいと言われることは多いのですが、入社日は許可の見込みを踏まえて設定してもらうべきです。受入れ企業に対しては、弁護士から手続の説明をお伝えすることもできます。
変更申請が不許可になった場合はどうなりますか
従前の在留期間が残っていれば、その期間は家族滞在のまま在留できます。期間が残っていない場合には、出国の準備のための在留が短期間認められることがあります。不許可になったからといって、その日のうちに退去を求められるわけではありません。
大切なのは、不許可の理由を確認することです。入管では不許可の理由の説明を受けることができますので、職務内容が該当しないと判断されたのか、学歴との関連性が足りないとされたのか、受入れ企業の資料が不足していたのかを確かめ、補強したうえで再申請を検討します。理由を確かめずに同じ書類で出し直しても、結果は変わりません。
扶養者が離婚・退職・帰国した場合、家族滞在はどうなりますか
家族滞在は扶養者の在留資格に依存していますので、扶養者が日本を離れる、在留資格を失う、あるいは離婚によって扶養関係がなくなると、家族滞在を続ける前提が崩れます。配偶者としての活動を行わない状態が続けば、在留資格の取消し(入管法22条の4)が検討される場面もあります。
この場合、就労系の在留資格への変更、日本で育った子どもについての定住者への変更、事情によっては在留特別許可(入管法50条)の枠組みなど、複数の可能性を並べて検討する必要があります。扶養者の状況が変わったときは、期限が来る前にご相談ください。
当事務所のご案内
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)は、中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護と入管手続を主たる注力分野としています。担当する松村大介弁護士(第一東京弁護士会所属・登録番号59077・2019年登録)が、警察署での最初の接見から検察官との交渉、公判、その後の入管手続に至るまで全工程を直接担当します。事務員や若手弁護士が代わりに対応することはありません。
外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐しており、捜査機関が手配する通訳とは別に、依頼者ご本人のために動く立場の通訳を利用していただけます。取調べで何を話したのか、入管で何を聞かれているのかを正確に把握できる体制です。刑事手続が終わった後の在留資格の更新・変更等については、提携する行政書士とワンストップで対応します。
- 難関とされた在留特別許可を1回の手続で獲得した事例。観光目的で来日した相談者が日本人女性との間に子を授かったものの、在留資格を失い不法滞在で逮捕・起訴された事案です。婚姻と認知の手続が未了で当局から一旦不受理とされたところ、松村弁護士が憲法的な観点から当局と交渉して婚姻・認知を成立させ、入管法違反の刑事裁判を意識した被告人質問・証人尋問を行いました。国籍国発行の公的書類がほとんど存在しない困難な状況下でも有利な証拠を集め、入管当局の過去の許可事例を分析することで、1回の手続で在留特別許可を得ました。
- 強制退去の危機にあった女性を救済した事例。冤罪により不法就労助長罪に問われ、強制退去の危機に瀕した女性の事案です。「退去強制事由には故意・過失を要しない」とされてきた従来の実務に対し、責任主義の射程を問う訴訟を提起して上訴審まで争いました。その後、入管から在留特別許可が認められました。
初回のご相談は無料です。費用は事案に応じてお見積りします。まずは現在の状況を整理するところから、一緒に始めさせてください。
おわりに
家族滞在から就労系の在留資格への変更は、本人の学歴や職歴だけで決まるのではなく、受入れ企業の実態、職務内容の書き方、家族全体の在留状況が絡み合って結論が決まります。日本で育ったお子さんの進路については、高校在学中から準備できることも少なくありません。働き方を変えたい、就職の内定が出たが在留資格が心配だという段階で、早めにご相談ください。当事務所では中国語での対応が可能で、企業側への説明も含めてお手伝いしています。
なお、本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。また、ここで紹介した過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではありません。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。
覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。
お問い合わせ
舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
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