日本で子どもが生まれたら|出生届14日以内と在留資格取得申請30日以内の手続
2026/08/31
日本で暮らす中国籍のご夫婦、あるいは日本人と中国籍のご夫婦のもとにお子さんが生まれたとき、喜びの一方で、役所と入管の手続をいつまでにどこへ出せばよいのかが分からず、期限を過ぎてしまうご相談が毎年あります。とくに、産後の体調が優れない、里帰りの予定が入っている、日本語の書類が読めないといった事情が重なると、手続はどうしても後回しになりがちです。
この記事では、出生届の期限と提出先、在留資格取得申請の30日という期限の意味、生後まもなく出国する場合の扱い、子に与えられる在留資格の種類、中国籍の子の出生登記と旅券、そして期限を過ぎてしまったときの対応までを整理します。
日本で子どもが生まれたら、最初に何をしますか
やるべきことは大きく三つあります。市区町村への出生届、中国籍の子であれば中国側への出生登記と旅券の取得、そして入管への在留資格取得の申請です。それぞれ期限も窓口も別ですので、一つの手続を済ませたことで他が済んだと考えないでください。
病院で交付される出生証明書は、出生届の用紙と一体になっているのが通常です。これを紛失すると再交付に手間がかかりますので、退院時に受け取った書類は一式まとめて保管しておいてください。
出生届はいつまでに、どこに出しますか
出生の日を含めて14日以内に、子が生まれた場所の市区町村役場、または父母の住所地の市区町村役場へ提出します。父母が外国籍のみであっても、日本で生まれた以上、日本の役所への出生届は必要です。
父母のいずれかが日本人であれば、この届出によって子は日本の戸籍に記載され、日本国籍を有する子として扱われます。この場合、後述する在留資格の手続は不要です。父母がいずれも外国籍の場合は、戸籍は編製されず、受理された事実を証する書面(出生届受理証明書など)を取得して、次の手続に使うことになります。
子の在留資格取得申請は本当に30日以内ですか
そのとおりです。日本で生まれた外国籍の子が引き続き日本に在留するには、出生の日から30日以内に、住所地を管轄する地方出入国在留管理局へ在留資格取得の申請をしなければなりません。出生届を出せば入管の手続も自動的に済むと誤解されている方が非常に多い部分です。
申請には、出生を証する書面、父母の在留カードと旅券、父母の在留資格や職業・収入を示す資料、住民票などが必要になります。申請の受付から結果が出るまでには一定の期間がかかりますので、30日というのは結果が出るまでの期限ではなく、申請そのものの期限であると理解してください。
生後まもなく子を連れて出国する場合も申請は必要ですか
出生の日から60日以内に日本を出国するのであれば、在留資格を取得しなくても、その間は在留資格なしで在留できる扱いになっています。中国のご実家で産後を過ごすために、生後まもなく親子で帰国されるご家庭では、この扱いが当てはまることがあります。
ただし、出国が延びて60日を超えてしまうと、在留資格のない状態になってしまいます。航空券の日程が変わりやすい時期でもありますので、確実に60日以内に出国できると言い切れない場合は、まず30日以内に在留資格取得の申請をしておく方が安全です。
子にはどの在留資格が与えられますか
父母の在留資格に応じて決まります。おおむね次のように整理できます。
- 父母が就労資格や留学などで在留している場合は、扶養を受ける子として家族滞在
- 父母の一方が永住者で、子が日本で生まれ引き続き在留する場合は永住者の配偶者等(要件を満たせば永住許可の申請を検討することもあります)
- 父母の一方が定住者である場合などは定住者
- 日本人から認知された子については日本人の配偶者等が認められる場合があります
どの在留資格になるかによって、就労の可否や将来の変更・更新の見通しが変わります。父母の在留資格が近く変更・更新を迎える場合は、子の申請と併せて全体の設計を考えるのが実務的です。
中国籍の子の出生登記や旅券はどうしますか
日本の役所への出生届とは別に、中国の駐日大使館・領事館での手続が必要になります。一般には、出生届受理証明書や出生医学証明に相当する書類、父母の旅券や身分証明書などを揃えて、子の旅券(または渡航証)の申請を行います。
必要書類や翻訳・公証の要否は取扱い窓口や時期によって異なりますので、必ず事前に確認してください。入管の在留資格取得申請では子の旅券の提示を求められるのが通常であり、中国側の手続が遅れると入管の手続も止まってしまいます。二つの手続を並行して進める意識が必要です。
30日を過ぎてしまった場合はどうなりますか
直ちにお子さんが退去強制になるわけではありませんが、在留資格のない状態が続くことになり、放置すれば不法残留として扱われる可能性があります。健康保険や各種手当の手続にも支障が出ますし、後日、父母の在留期間更新や永住許可の審査で、届出義務を守らなかった事実が消極的に評価されることもあります。
期限を過ぎたことに気づいたら、できるだけ早く、遅れた理由を説明する書面(入院が長引いた、日本語が分からず制度を知らなかった、など)を添えて申請してください。事情によっては在留特別許可の枠組みで検討されることもあります。時間が経つほど説明は難しくなりますので、早期の相談をお勧めします。
出生後に利用できる公的な制度には何がありますか
在留資格を得て住民登録がされれば、国民健康保険や被用者保険の被扶養者としての加入、乳幼児の医療費助成、児童手当、予防接種、保育の申込みなど、日本人の子と同様の制度を利用できるものが多くあります。自治体によって名称や要件が異なりますので、住所地の窓口で確認してください。
また、出産に関しては、健康保険から出産育児一時金が支給される仕組みがあります。これらの多くは在留資格と住民登録を前提としますので、入管の手続を早く終えることが、生活面の支援にそのままつながります。
当事務所のご案内
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)は、中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護と入管手続を主たる注力分野としています。担当する松村大介弁護士(第一東京弁護士会所属・登録番号59077・2019年登録)が、警察署での最初の接見から検察官との交渉、公判、その後の入管手続に至るまで全工程を直接担当します。事務員や若手弁護士が代わりに対応することはありません。
外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐しており、捜査機関が手配する通訳とは別に、依頼者ご本人のために動く立場の通訳を利用していただけます。取調べで何を話したのか、入管で何を聞かれているのかを正確に把握できる体制です。刑事手続が終わった後の在留資格の更新・変更等については、提携する行政書士とワンストップで対応します。
- 難関とされた在留特別許可を1回の手続で獲得した事例。観光目的で来日した相談者が日本人女性との間に子を授かったものの、在留資格を失い不法滞在で逮捕・起訴された事案です。婚姻と認知の手続が未了で当局から一旦不受理とされたところ、松村弁護士が憲法的な観点から当局と交渉して婚姻・認知を成立させ、入管法違反の刑事裁判を意識した被告人質問・証人尋問を行いました。国籍国発行の公的書類がほとんど存在しない困難な状況下でも有利な証拠を集め、入管当局の過去の許可事例を分析することで、1回の手続で在留特別許可を得ました。
- 強制退去の危機にあった女性を救済した事例。冤罪により不法就労助長罪に問われ、強制退去の危機に瀕した女性の事案です。「退去強制事由には故意・過失を要しない」とされてきた従来の実務に対し、責任主義の射程を問う訴訟を提起して上訴審まで争いました。その後、入管から在留特別許可が認められました。
初回のご相談は無料です。費用は事案に応じてお見積りします。まずは現在の状況を整理するところから、一緒に始めさせてください。
おわりに
お子さんが生まれた直後は、体調も生活も落ち着かない時期であり、期限の管理までは手が回らないのが実情だと思います。それでも、出生届は14日以内、在留資格取得の申請は30日以内という期限は動きません。父母の在留資格の種類によって子に認められる在留資格も変わりますので、どの資格でどのような資料を出すか、迷われたら早めにご相談ください。当事務所では中国語での対応が可能で、期限を過ぎてしまった事案についても、経緯を整理したうえで入管への説明と申請をお手伝いしています。
なお、本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。また、ここで紹介した過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではありません。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。
覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。
お問い合わせ
舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119
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