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養育費の取決めと回収の実際|在留への影響と相手が国外にいる場合の対応

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養育費の取決めと回収の実際|在留への影響と相手が国外にいる場合の対応

養育費の取決めと回収の実際|在留への影響と相手が国外にいる場合の対応

2026/08/31

離婚のときに養育費を月々支払うと口約束をしたが、数か月で振込が止まった。相手に連絡しても返事がなく、そのうち日本を離れてしまったらしい。子どもを一人で育てながら、在留期間の更新も控えている。中国籍の方から、こうしたご相談を数多くいただきます。

本記事では、養育費の取決めをどのような形にしておくべきか、支払われないときにどのような回収手段があるのか、相手が国外にいる場合に何ができるのか、そして養育費の有無が在留の審査にどう関わるのかを説明します。

養育費を受け取っていることは在留審査で意味がありますか

意味があります。離婚後に定住者への在留資格変更などを申請する場合、独立して生計を営むことができるかどうかが審査されます。養育費が継続的に支払われていることは、生活の安定を示す事情のひとつとして評価されます。もっとも、養育費だけで生計が成り立つ例は多くありませんので、就労による収入とあわせて、全体としての生活設計を示すことが必要です。逆に、養育費が取り決められているのに支払われていない場合には、その事実と、回収のために講じている手続を説明できるようにしておくとよいでしょう。

養育費を支払っていない親の在留はどうなりますか

養育費の不払いそれ自体が在留資格を失わせる規定はありません。しかし、子との関係を理由として在留を主張する場面では、大きな意味を持ちます。親権者でない親が、子の養育に関与し続けていることを在留の基礎として主張する場合、養育費の負担は、その関与を裏づける最も分かりやすい事実だからです。面会交流も養育費の支払いもない状態が続けば、子との関係を理由とする主張は説得力を失います。支払いが困難であれば、放置するのではなく、減額の協議や取決めの変更を申し立てることが、結果として自らの立場を守ることにもつながります。

養育費はどのように取り決めますか

取決めの方法によって、後の回収のしやすさが大きく変わります。実務では次の順に強い効力を持ちます。

  • 口約束:合意としては有効でも、証明が難しく、強制的な回収はできません。
  • 書面による合意:内容は明確になりますが、そのままでは差押えができません。
  • 強制執行認諾文言のある公正証書:支払が止まったときに、裁判をせずに差押えができます。
  • 調停調書や審判書:家庭裁判所の手続で作成され、同じく強制的な回収の根拠になります。

金額の目安については、家庭裁判所で用いられている算定の考え方があり、双方の収入と子の年齢や人数に応じておおよその水準が導かれます。将来の進学費用や医療費の分担についても、取決めの中で触れておくと後の争いを防げます。

支払が止まったとき、どのように回収しますか

家庭裁判所の手続で取決めをした場合には、履行を促す手続を利用できます。それでも支払われないときは、強制執行として給与や預貯金の差押えを検討します。給与の差押えは、養育費の場合には他の債権よりも広い範囲で認められています。相手の勤務先や口座が分からない場合には、財産開示の手続や、公的機関や金融機関から情報を取得する手続を利用できる場合があります。いずれも、まず強制執行の根拠となる書面があることが前提になりますので、取決めの段階でどの形にしておくかが決定的に重要です。

相手が日本を離れてしまった場合、回収できますか

難しくなりますが、諦める前に確認すべき点があります。相手が日本に財産を残している場合には、日本国内の預貯金や不動産に対する強制執行が可能です。相手が日本国内の会社に籍を残している場合も同様です。相手が完全に出国し、日本に財産もない場合には、相手が現在いる国での手続を検討することになります。この場合、日本の裁判所で作成された調停調書や判決が、その国でそのまま効力を持つとは限りません。承認や執行の可否は国によって異なり、家族に関する事件では特に扱いが分かれますので、現地の弁護士に確認する必要があります。

中国にいる相手から回収することはできますか

個別の事案ごとに確認が必要です。日本の裁判所の判断が中国で執行されるかどうかは、その国の法制度と実務の運用によって決まり、実際に実現できるかは事案によって異なります。実務的には、日本国内に残された財産を先に押さえること、相手の親族との協議による任意の支払いを模索すること、相手が日本に再入国する見込みがあるかを検討することなど、複数の方向から現実的な手段を探すことになります。相手の中国国内の住所、勤務先、身分証の情報が分かる場合には、現地での手続を検討する材料になりますので、離婚の際に把握できる情報は記録しておいてください。

養育費以外に利用できる支援はありますか

あります。ひとり親家庭に対する公的な支援は、日本に住民登録があれば外国籍であっても対象となるものが多く、児童扶養手当、医療費の助成、就学に関する援助、住宅に関する支援などが用意されています。自治体によっては、養育費の取決めに必要な公正証書の作成費用を補助する制度や、保証会社を利用する費用を補助する制度を設けているところもあります。また、収入が一定以下であれば、法テラスの民事法律扶助により、弁護士費用の立替えを利用できる場合があります。適法な在留資格があることが利用の前提となる制度が多いため、在留手続を先に整えることが、支援を受ける前提にもなります。

相談前に整理しておく情報は何ですか

次の情報があると、回収の見通しを早く立てられます。取決めの有無とその形式、取り決めた金額と支払期日、実際に支払われた期間と滞納額、相手の氏名と生年月日、現在の住所と連絡先、勤務先と口座の情報、相手の国籍と在留資格または出国の有無、子の年齢と就学状況、そして自身の在留期間と収入の状況です。すべてが分からなくても構いません。分かる範囲で時系列にまとめておくと、どの手段が現実的かを短時間で判断できます。

当事務所のご案内

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)は、中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護と入管手続を主たる注力分野としています。担当する松村大介弁護士(第一東京弁護士会所属・登録番号59077・2019年登録)が、警察署での最初の接見から検察官との交渉、公判、その後の入管手続に至るまで全工程を直接担当します。事務員や若手弁護士が代わりに対応することはありません。

外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐しており、捜査機関が手配する通訳とは別に、依頼者ご本人のために動く立場の通訳を利用していただけます。取調べで何を話したのか、入管で何を聞かれているのかを正確に把握できる体制です。刑事手続が終わった後の在留資格の更新・変更等については、提携する行政書士とワンストップで対応します。

  • 難関とされた在留特別許可を1回の手続で獲得した事例。観光目的で来日した相談者が日本人女性との間に子を授かったものの、在留資格を失い不法滞在で逮捕・起訴された事案です。婚姻と認知の手続が未了で当局から一旦不受理とされたところ、松村弁護士が憲法的な観点から当局と交渉して婚姻・認知を成立させ、入管法違反の刑事裁判を意識した被告人質問・証人尋問を行いました。国籍国発行の公的書類がほとんど存在しない困難な状況下でも有利な証拠を集め、入管当局の過去の許可事例を分析することで、1回の手続で在留特別許可を得ました。
  • 強制退去の危機にあった女性を救済した事例。冤罪により不法就労助長罪に問われ、強制退去の危機に瀕した女性の事案です。「退去強制事由には故意・過失を要しない」とされてきた従来の実務に対し、責任主義の射程を問う訴訟を提起して上訴審まで争いました。その後、入管から在留特別許可が認められました。

初回のご相談は無料です。費用は事案に応じてお見積りします。まずは現在の状況を整理するところから、一緒に始めさせてください。

おわりに

養育費は、子の生活を支える資金であると同時に、離婚後の在留を組み立てるうえでも意味を持つ要素です。そして回収のしやすさは、取決めをどの形で残したかによって決まってしまいます。すでに支払が止まっている場合でも、相手が日本に財産を残しているか、勤務先が分かるかによって、取り得る手段は変わります。相手が国外にいる場合には日本国内での手続と現地での手続を切り分けて考える必要がありますので、状況が分かる資料をお持ちのうえでご相談ください。

なお、本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。また、ここで紹介した過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではありません。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。

覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

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ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

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