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子の親権をめぐる争いと在留資格の関係|監護の実体が在留審査で持つ意味

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子の親権をめぐる争いと在留資格の関係|監護の実体が在留審査で持つ意味

子の親権をめぐる争いと在留資格の関係|監護の実体が在留審査で持つ意味

2026/08/31

離婚の話し合いが進むなかで、子どもをどちらが育てるかが最大の争点になっている。相手方からは、親権を渡さなければ在留資格を失うだけだと言われた。子どもは日本の学校に通い、日本語で生活している。中国籍の方から、こうしたご相談を受けることがあります。

本記事では、親権と在留資格がどのような関係にあるのか、入管の審査では何が見られるのか、離婚の手続が続いている間の在留はどう扱われるのかを、家事事件と入管手続の両面から説明します。

親権をとれば在留資格が認められますか

親権を得たことは重要な事情ですが、それだけで在留資格が認められるわけではありません。入管の審査で問われるのは、法律上の地位よりも、現に子と生活を共にし、その世話をしているという実体です。日本国籍を有する子を現に監護養育している親について日本での在留を認める運用は、子の福祉を守るという考え方に基づくものであり、親権者という肩書だけでは、この趣旨に応えたことになりません。逆に言えば、親権をめぐる争いにおいて監護の実体を積み重ねておくことは、家事事件と在留手続の両方で意味を持ちます。

在留資格の審査では親権と監護のどちらが重視されますか

実務上は監護の実体です。具体的には次のような事情が確認されます。

  • 同居の状況:住民票の記録、実際に生活している住居の状況。
  • 日常の世話:食事、通院、送り迎え、学校行事への参加。
  • 生計の維持:養育に要する費用を誰が負担しているか。
  • 学校との関係:連絡帳や保護者としての連絡先の登録、担任との面談。
  • 子の意思と生活環境:年齢に応じた子自身の意向、友人関係、使用言語。

これらは日々の生活の中に散らばっている事実ですので、後から証明しようとすると難しくなります。争いが始まった時点から記録として残しておくことをお勧めします。

親権をとれなかった親は日本に残れませんか

直ちにそうなるわけではありません。親権者でなくても、面会交流を継続し、養育費を負担し、子の生活に関与し続けている場合には、その事情が在留の判断において考慮される余地があります。ただし、実務上、監護をしていない親についての判断は、監護している親に比べて厳しくなる傾向にあります。この場合には、就労資格への変更、日本での在留期間の長さ、その他の生活基盤を含めて、複数の道筋を並行して検討する必要があります。面会交流の取決めを調停調書などの形にしておくことは、関与の継続を示す資料になります。

子どもが日本国籍の場合と外国籍の場合で違いますか

大きく違います。子が日本国籍を有する場合、その子を現に監護養育する親については、子が日本で生活を続ける利益を守るという観点から、在留を認める方向の考慮が働きます。他方、子が外国籍である場合には、子自身の在留資格が親の在留資格に連動していることが多く、親の在留資格が失われれば子の在留も不安定になるという構造になります。この場合、子の日本での在留期間、就学の状況、日本語で教育を受けてきた事実などが、家族全体の事情として考慮されることになります。どちらの場合も、子の生活の継続性をどう説明するかが中心になります。

子どもを連れて別居することは在留に影響しますか

相手方の同意を得ずに子を連れて家を出た場合、家事事件においては監護者の指定や子の引渡しをめぐる争いに発展し、その経緯が親としての適格性の判断に影響することがあります。暴力から避難するためのやむを得ない別居と、一方的な連れ去りとでは評価が異なりますので、経緯を記録に残し、相談先を確保しておくことが重要です。また、子を国外へ連れ出す場合には、国際的な子の奪取に関するハーグ条約の適用が問題になり得ます。日本もこの条約の締約国であり、一方の親が他方の親の監護権を侵害して子を国境を越えて移動させた場合、原則として元の居住国へ子を返還する手続が用意されています。帰国を考える場合には、この点を先に確認してください。

離婚調停や訴訟が続いている間の在留はどうなりますか

係争中であることは、在留の判断において考慮され得る事情です。日本人の配偶者等の在留資格については、配偶者としての活動を継続して6か月以上行わないで在留していることが入管法22条の4の取消事由とされていますが、正当な理由があるときは除かれます。離婚調停や訴訟が現に係属し、子の監護をめぐる審理が続いていることは、この正当な理由を基礎づける事情になり得ます。したがって、係属を示す資料を入管に対して説明できるようにしておくことが重要です。あわせて、在留期間の満了が近い場合には、期間内に更新または変更の申請を行っておく必要があります。

共同親権の導入で何が変わりますか

令和6年に成立した民法等の改正により、離婚後も父母の双方が親権者となり得る仕組みが導入されました。これにより、離婚後の親子関係の在り方が制度として変わります。もっとも、在留資格の審査において重視されるのが監護の実体であるという枠組み自体は、直ちに変わるものではないと考えられます。制度の施行時期や、家庭裁判所における具体的な運用については、手続を進める時点での最新の情報を確認してください。いずれにしても、子と現実にどのような関係を築いているかを示す準備が必要である点は変わりません。

どのような資料が監護の実体の証拠になりますか

日常の記録が中心です。住民票、母子健康手帳、学校からの連絡文書、通知表、習い事の月謝の領収書、通院の記録、保育所や学童保育の利用資料、生活費の支出が分かる家計の記録、写真などです。相手方が監護をしていないことを示すためには、相手方が子と接触していない期間や、養育費が支払われていない事実を、時系列にまとめておくことが有効です。裁判所の手続と入管の手続では求められる資料が重なりますので、最初から両方を見据えて整理しておくと負担が軽くなります。

当事務所のご案内

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)は、中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護と入管手続を主たる注力分野としています。担当する松村大介弁護士(第一東京弁護士会所属・登録番号59077・2019年登録)が、警察署での最初の接見から検察官との交渉、公判、その後の入管手続に至るまで全工程を直接担当します。事務員や若手弁護士が代わりに対応することはありません。

外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐しており、捜査機関が手配する通訳とは別に、依頼者ご本人のために動く立場の通訳を利用していただけます。取調べで何を話したのか、入管で何を聞かれているのかを正確に把握できる体制です。刑事手続が終わった後の在留資格の更新・変更等については、提携する行政書士とワンストップで対応します。

  • 難関とされた在留特別許可を1回の手続で獲得した事例。観光目的で来日した相談者が日本人女性との間に子を授かったものの、在留資格を失い不法滞在で逮捕・起訴された事案です。婚姻と認知の手続が未了で当局から一旦不受理とされたところ、松村弁護士が憲法的な観点から当局と交渉して婚姻・認知を成立させ、入管法違反の刑事裁判を意識した被告人質問・証人尋問を行いました。国籍国発行の公的書類がほとんど存在しない困難な状況下でも有利な証拠を集め、入管当局の過去の許可事例を分析することで、1回の手続で在留特別許可を得ました。
  • 強制退去の危機にあった女性を救済した事例。冤罪により不法就労助長罪に問われ、強制退去の危機に瀕した女性の事案です。「退去強制事由には故意・過失を要しない」とされてきた従来の実務に対し、責任主義の射程を問う訴訟を提起して上訴審まで争いました。その後、入管から在留特別許可が認められました。

初回のご相談は無料です。費用は事案に応じてお見積りします。まずは現在の状況を整理するところから、一緒に始めさせてください。

おわりに

子の親権と在留資格は、別々の手続でありながら、実際には同じ事実によって結論が左右されます。誰が子と暮らし、誰が日々の世話をしてきたのか。この一点が、家庭裁判所でも入管でも問われます。争いが始まってから慌てて資料を集めるのではなく、日常の記録を残しながら、家事事件の進め方と在留資格の申請時期をあわせて設計することが、子の生活を守る最も確実な方法です。相手方から在留資格を持ち出して譲歩を迫られている場合は、その主張が正確かどうかを含めて、早い段階でご相談ください。

なお、本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。また、ここで紹介した過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではありません。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。

覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

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ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

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