舟渡国際法律事務所

医薬品・化粧品・サプリメントの個人輸入と薬機法|自己使用の範囲と、販売目的と疑われた場合の刑事・在留リスク

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医薬品・化粧品・サプリメントの個人輸入と薬機法|自己使用の範囲と、販売目的と疑われた場合の刑事・在留リスク

医薬品・化粧品・サプリメントの個人輸入と薬機法|自己使用の範囲と、販売目的と疑われた場合の刑事・在留リスク

2026/08/29

海外の通販サイトで注文した痩身サプリメントや育毛剤、美白クリームが税関で止められ、後日、税関や警察から連絡が来た。あるいは、自分で使うつもりで多めに取り寄せた薬を知人に分けたところ、無許可販売の疑いをかけられた。医薬品や化粧品の輸入は、自己使用の範囲であれば認められる一方、その範囲を超えると刑事事件に発展することがあります。

本記事では、医薬品医療機器等法(薬機法)のもとでの個人輸入の考え方、自己使用と認められる数量の目安、販売目的と判断された場合の手続の流れ、そして刑事処分が在留資格にどう影響するかを、外国籍の方が特に注意すべき点を中心に整理します。

海外の薬やサプリメントを自分で使うために取り寄せるのは違法ですか

結論から言えば、自己使用を目的とし、数量が社会通念上の範囲にとどまる限り、原則として違法ではありません。薬機法は、販売や授与を目的として医薬品などを輸入する行為に許可や承認を求めており、自分で使うためだけの輸入は、この規制の対象から外れる扱いとされています。ただし、これはあくまで例外的な取扱いであり、範囲を超えれば通常の輸入と同じ規制がかかります。

また、日本で承認されていない成分を含む製品は、健康被害が生じても救済制度の対象にならず、成分表示と中身が一致しない例も珍しくありません。法的なリスクだけでなく、健康上のリスクも同時に負うことになります。

個人輸入として認められる数量にはどのような目安がありますか

厚生労働省は、税関での確認を円滑にするため、自己使用と考えられる数量の目安を示しています。おおむね、医師の処方が必要な医薬品は1か月分程度、処方を要しない内服薬は用法用量から見て2か月分程度、外用薬や化粧品、医薬部外品は標準的な大きさのもので1品目24個以内といった範囲が一つの基準とされています。

目安を超える場合や、注射剤・毒薬劇薬など取扱いに注意を要するものについては、地方厚生局から輸入確認(いわゆる薬監証明)を受ける必要があります。数量の目安や必要書類は改定されることがあるため、実際に取り寄せる前に地方厚生局や税関に確認するのが確実です

個人輸入した薬を家族や友人に譲ったり売ったりしてもよいですか

ここが最も事件になりやすい場面です。自己使用のために輸入したものを他人に販売したり、代金を取って融通したりすれば、無許可販売として薬機法違反になり得ます。無償で譲る行為も、法律上は授与として規制の対象になり得ます。

とくに、フリマアプリや交流アプリのグループで在庫を告知し、複数人に繰り返し送っていたようなケースでは、最初から販売目的で輸入していたと評価されやすくなります。取引履歴、発送記録、送金記録はすべて客観的な証拠として残ります。

税関で医薬品が止まったという通知が届いたらどうすればよいですか

通知は、任意放棄を求めるものから、事情を確認したいという呼出しまで幅があります。まず、その通知が何を求めているのか、どの機関からのものかを正確に確認してください。輸入の目的、注文の経緯、数量、過去の注文回数によって、その後の展開は大きく変わります。

この段階で安易に、後で売るつもりだったという趣旨の説明をしてしまうと、その供述が後の手続で重い意味を持ちます。心当たりがある場合は、回答する前に弁護士に相談してください。

薬機法違反で逮捕されるのはどのような場合ですか

身柄を拘束されやすいのは、営利性と反復性が認められる事案です。具体的には、次のような事情が重なる場合です。

  • 販売用の在庫と評価できる分量をまとめて輸入していた
  • 広告や勧誘を行い、不特定多数に販売していた
  • 複数の名義や住所を使い分けて輸入していた
  • 医師の処方が必要な医薬品や、規制成分を含む製品を扱っていた

他方、自己使用の範囲を少し超えた程度で、初めての事案であれば、任意の事情聴取にとどまり、最終的に起訴されないこともあります。

薬機法違反で刑事処分を受けると在留資格にどう影響しますか

混同されやすい点ですが、薬機法違反は、それ自体では大麻や覚醒剤などの薬物犯罪と同じ扱いにはなりません。入管法24条4号チは薬物関係の一定の法令違反について、有罪判決を受けたこと自体で退去強制事由に当たると定めていますが、薬機法違反はこれとは別の枠組みで検討されます。

薬機法違反の場合、退去強制事由として問題になるのは主に入管法24条4号リです。同号には但書があり、刑の全部の執行を猶予された場合は除かれます。したがって、罰金や執行猶予付きの判決であれば、直ちに退去強制の対象になるわけではありません。もっとも、在留期間の更新や在留資格の変更、永住許可の審査では素行が考慮されますから、影響がないわけではありません。

持ち込んだ製品に規制成分が含まれていた場合はどうなりますか

海外のリラックス系サプリメントや電子たばこ用リキッドの中には、日本では規制されている成分を含むものがあります。この場合、薬機法ではなく麻薬及び向精神薬取締法などの規制が適用され、扱いが一段と重くなります。

大麻については、令和6年12月12日に大麻取締法が大麻草の栽培の規制に関する法律へと改称され、大麻は麻薬及び向精神薬取締法上の麻薬として扱われることになりました。同時に使用罪が新設され、単純所持は7年以下の拘禁刑と定められています。これらの法令違反による有罪判決は、罰金や執行猶予であっても入管法24条4号チの退去強制事由に当たります。製品の成分表示を信じていたという事情は、故意の有無をめぐる重要な争点になります。

早い段階で弁護士に相談すると何ができますか

個人輸入の事案では、自己使用だったのか販売目的だったのかという評価が結論を左右します。注文履歴、使用実態、生活状況、体調に関する資料などを整理して、自己使用であったことを裏づける説明を早期に提出できれば、起訴されずに終わる可能性が高まります。

外国籍の方の場合は、刑事手続と並行して在留への影響を検討し、在留期間の満了時期や届出義務との関係も同時に管理する必要があります。当事務所では中国語対応の体制を整え、刑事手続と入管手続を一体として検討しています。

当事務所のご案内

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)は、中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護と入管手続を主たる注力分野としています。担当する松村大介弁護士(第一東京弁護士会所属・登録番号59077・2019年登録)が、警察署での最初の接見から検察官との交渉、公判、その後の入管手続に至るまで全工程を直接担当します。事務員や若手弁護士が代わりに対応することはありません。

外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐しており、捜査機関が手配する通訳とは別に、依頼者ご本人のために動く立場の通訳を利用していただけます。取調べで何を話したのか、入管で何を聞かれているのかを正確に把握できる体制です。刑事手続が終わった後の在留資格の更新・変更等については、提携する行政書士とワンストップで対応します。

  • 難関とされた在留特別許可を1回の手続で獲得した事例。観光目的で来日した相談者が日本人女性との間に子を授かったものの、在留資格を失い不法滞在で逮捕・起訴された事案です。婚姻と認知の手続が未了で当局から一旦不受理とされたところ、松村弁護士が憲法的な観点から当局と交渉して婚姻・認知を成立させ、入管法違反の刑事裁判を意識した被告人質問・証人尋問を行いました。国籍国発行の公的書類がほとんど存在しない困難な状況下でも有利な証拠を集め、入管当局の過去の許可事例を分析することで、1回の手続で在留特別許可を得ました。
  • 強制退去の危機にあった女性を救済した事例。冤罪により不法就労助長罪に問われ、強制退去の危機に瀕した女性の事案です。「退去強制事由には故意・過失を要しない」とされてきた従来の実務に対し、責任主義の射程を問う訴訟を提起して上訴審まで争いました。その後、入管から在留特別許可が認められました。

初回のご相談は無料です。費用は事案に応じてお見積りします。まずは現在の状況を整理するところから、一緒に始めさせてください。

おわりに

医薬品やサプリメントの個人輸入は、自己使用の範囲にとどまる限り認められる一方、その線を越えると無許可の輸入・販売として刑事責任を問われ得ます。さらに、製品に規制成分が含まれていた場合には、退去強制に直結する類型に切り替わることもあります。税関からの連絡や警察からの呼出しがあった段階で、輸入の目的を説明する準備を整えておくことが、その後の結論を大きく左右します。

なお、本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。また、ここで紹介した過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではありません。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。

覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

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ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

微信ID:matsumura1119

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