飲酒運転の同乗者・車両提供者・酒類提供者の責任|運転していなくても処罰されます
2026/08/28
飲み会の帰りに、車を出してくれた友人の隣に乗っただけなのに、後日警察から呼出しを受けた。自分の車を貸しただけなのに、被疑者として取調べを受けている。こうしたご相談は、外国籍の方からも数多く寄せられます。
日本の道路交通法は、飲酒運転をした本人だけでなく、車を提供した人、酒を提供した人、そして飲酒運転と知りながら同乗した人も処罰の対象としています。ここでは、それぞれどのような責任を負うのか、どのような場合に成立するのかを整理します。
自分は運転していないのに、なぜ処罰されるのですか
飲酒運転は運転者一人の問題ではなく、周囲がこれを可能にすることによって起きる、という考え方が制度の前提にあるからです。そこで、運転者を処罰するだけでなく、車を提供する行為、酒を提供する行為、運転を知りながら同乗する行為が、それぞれ独立した犯罪とされています。
したがって、自分は一滴も飲んでいない、ハンドルを握っていない、という説明は、責任を免れる理由になりません。問題は、飲酒運転になることを知りながら関与したかどうかです。
車を貸した人にはどのような責任がありますか
飲酒運転になると知りながら車両を提供した場合、提供した人は運転者と同じ重さの刑に問われます。運転者が酒酔い運転であれば5年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金、酒気帯び運転であれば3年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金です。
自分の車を貸した場合だけでなく、会社の車を使わせた場合、キーの置き場所を教えた場合など、実質的に車を使える状態にした行為が広く含まれ得ます。相手が無免許であることを知りながら車を貸した場合も、同様に3年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金の対象です。
酒を出した人や一緒に飲んだ人はどうですか
これから車を運転すると分かっている人に酒を提供した場合、提供した人も処罰されます。運転者が酒酔い運転となった場合は3年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金、酒気帯び運転となった場合は2年以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金です。
単に同席していただけで直ちに責任を負うわけではありませんが、車で来ていることを知りながら酒を勧めた、注文して手渡した、といった事情があれば、提供したと評価される可能性があります。
同乗しただけでも罪になりますか
なります。運転者が酒を飲んでいることを知りながら、その車に乗せてほしいと頼んだり、送るよう求めたりして同乗した場合、酒酔い運転であれば3年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金、酒気帯び運転であれば2年以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金の対象となります。
無免許運転の場合も同様に、無免許と知りながら運転を求めて同乗した人は、2年以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金の対象です。断りにくかった、上司に誘われたといった事情は、量刑では考慮され得ますが、犯罪の成立自体を否定する理由にはなりにくいのが実情です。
飲酒運転だとは知らなかった、と言えば済みますか
認識がなかったのであれば犯罪は成立しませんが、知らなかったという説明が通るかどうかは、客観的な状況から判断されます。捜査機関が重視するのは次のような事情です。
- 同じ席で飲んでいたか、運転者が飲む場面を見ていたか
- 店から駐車場まで一緒に歩いたか
- 運転者の様子(顔色、におい、話し方)から飲酒が分かる状況だったか
- 運転を代わるよう促した、タクシーを提案したといったやり取りがあったか
飲んでいたことを知っていた以上、飲酒運転になると分かっていたはずだ、と推認されるのが通常です。安易に、知らなかったとだけ述べるのではなく、その場の具体的な状況を正確に説明することが大切です。
飲食店や勤務先が責任を問われることはありますか
あります。客が車で来店していることを把握しながら酒を提供した場合、店の側が酒類提供者として問われる可能性があります。店舗に駐車場がある場合には、来店方法の確認や、飲酒した客に運転させない対応が求められます。
職場の宴会でも、参加者が車で来ていることを知りながら酒を勧めた人は、同じ枠組みで責任を負い得ます。従業員に運転を指示した場合には、会社としての責任も問題になります。
事故が起きた場合、同乗者や車を貸した人も賠償責任を負いますか
刑事責任とは別に、民事上の賠償責任を負うことがあります。自動車損害賠償保障法は、自己のために自動車を運行の用に供する者にも賠償責任を負わせており、車を提供した所有者がこれに当たると判断されることがあります。
また、飲酒運転を積極的に促したような場合には、共同不法行為として責任が問われる余地もあります。任意保険についても、契約の条件によっては補償が制限されることがありますので、事故後は速やかに保険会社に確認してください。
同乗者として捜査の対象になった場合、外国籍の方が注意すべきことは
まず、被疑者として扱われている以上、刑事事件として記録が残るという前提で対応することです。略式手続による罰金であっても前科は残り、在留期間の更新や永住許可の審査で説明を求められる事情になります。
そのうえで、事実関係を正確に述べることが重要です。日本語での取調べでは、頼んだのか、たまたま乗せてもらったのか、といった微妙な違いが伝わりにくく、調書の表現一つで結論が変わることがあります。呼出しの連絡を受けた段階で弁護人に相談し、通訳の体制を含めて準備しておくことをお勧めします。
当事務所のご案内
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)は、中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護と入管手続を主たる注力分野としています。担当する松村大介弁護士(第一東京弁護士会所属・登録番号59077・2019年登録)が、警察署での最初の接見から検察官との交渉、公判、その後の入管手続に至るまで全工程を直接担当します。事務員や若手弁護士が代わりに対応することはありません。
外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐しており、捜査機関が手配する通訳とは別に、依頼者ご本人のために動く立場の通訳を利用していただけます。取調べで何を話したのか、入管で何を聞かれているのかを正確に把握できる体制です。刑事手続が終わった後の在留資格の更新・変更等については、提携する行政書士とワンストップで対応します。
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初回のご相談は無料です。費用は事案に応じてお見積りします。まずは現在の状況を整理するところから、一緒に始めさせてください。
おわりに
飲酒運転の責任は運転者だけのものではありません。車を貸した人、酒を出した人、事情を知って同乗した人も、それぞれ独立した罪に問われ、前科が残れば在留の手続にも影響します。断りにくい場面であったとしても、後から責任を免れることは容易ではありませんので、運転する人には飲ませない、飲んだ人の車には乗らないという原則を徹底してください。すでに呼出しを受けている方は、供述内容が固まる前にご相談ください。
なお、本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。また、ここで紹介した過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではありません。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。
覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。
お問い合わせ
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ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
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