無免許運転で逮捕されたら|刑事処分の流れと在留資格への影響を弁護士が解説
2026/08/28
日本で暮らす中国籍の方から、家族が無免許運転で警察に捕まった、在留資格はどうなるのかというご相談をいただくことがあります。母国の免許があるので運転できると思っていた、免許停止中であることを軽く考えていた、仕事でどうしても車が必要だったなど、経緯はさまざまです。
無免許運転は、事故を起こしていなくても、それ自体が犯罪です。反則金を納めて終わる違反(いわゆる青切符)ではなく、必ず刑事事件として処理されます。この記事では、身柄を拘束された場合の手続の流れと、その結果が在留資格にどう跳ね返るのかを順に説明します。
無免許運転で逮捕されたら、どのような刑事処分になりますか
道路交通法違反として刑事事件になり、法定刑は3年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金です。事故を伴わない初めての事案では、検察官が略式手続を選び、罰金を納付して終わることが少なくありません。もっとも、繰り返している場合、免許取消し後に運転していた場合、飲酒や無車検といった他の違反が重なる場合には、正式な裁判が請求され、拘禁刑が求刑されることもあります。
反則金制度の対象外であるため、その場で用紙にサインをすれば終わるという扱いにはなりません。取調べを受け、検察官が起訴するか不起訴にするかを判断する、という刑事事件の道筋をたどります。
どのような場合が無免許運転になりますか
免許を持たずに運転した場合のほか、免許の効力が失われている場合や、運転できる車種の範囲を超えている場合も含まれます。典型的には次のとおりです。
- 運転免許を一度も取得していない
- 免許が取り消された後に運転した
- 免許の停止期間中に運転した
- 有効期限が切れた免許のまま運転した
- 普通免許で大型車を運転するなど、免許の種類が対応していない
- 日本で有効と認められない外国の免許証だけを持って運転した
眼鏡等の条件に違反した場合は、無免許運転ではなく条件違反として扱われます。自分の状況がどれに当たるのかによって、主張できる内容も見通しも変わります。
無免許運転で逮捕・勾留されるのはどのような場合ですか
事故を伴わない単独の無免許運転であれば、逮捕されずに在宅で捜査が進むことも十分にあります。他方で、住居や勤務先が不安定である、身元を引き受ける人がいない、逃亡や証拠隠滅のおそれがあると見られる、同種の前科前歴がある、事故を伴う、飲酒運転が重なっているといった事情があると、逮捕され、そのまま勾留される可能性が高まります。
勾留は原則10日間で、延長されるとさらに10日間まで続きます。この期間に検察官が処分を決めますので、身柄の解放と処分の見通しを同時に考える必要があります。
無免許運転をすると在留資格を失いますか
無免許運転それ自体で直ちに退去強制になるわけではありません。刑罰を理由とする退去強制事由は類型が限られており、たとえば入管法24条4号リは1年を超える実刑に処せられた場合を対象としますが、同号には但書があり、刑の全部の執行を猶予された場合は除かれます。無免許運転で1年を超える実刑となる事案は多くありません。
むしろ注意すべきなのは、交通事件の捜査をきっかけに別の事情が明らかになる場面です。在留期間を過ぎて滞在していた場合は入管法24条4号ロ、許可された活動を行わず専ら別の就労をしていた場合は同号イに当たり得ます。これらは刑事処分の結果とは別に、退去強制手続として進みます。
無免許運転の前科は在留期間の更新にどう影響しますか
罰金前科が一つあるだけで更新が認められなくなるとは限りませんが、審査では確実に不利に働きます。在留資格の変更・在留期間の更新の審査では、素行が善良であることが考慮要素の一つとされており、道路交通法違反を繰り返している場合や、飲酒運転・事故と併せて処分を受けた場合には、評価が厳しくなります。
永住許可や帰化の申請では、更新よりもさらに厳格に見られます。将来これらを考えている方は、目先の罰金額だけでなく、記録が残ることの意味を踏まえて対応を決めるべきです。
事故を起こした無免許運転はどう扱われますか
無免許であったことが加重事由となり、法定刑が引き上げられます。人にけがをさせた場合、通常であれば過失運転致傷として7年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金の範囲で処断されますが、無免許であった場合は自動車運転死傷処罰法の加重規定により10年以下の拘禁刑となります。
この段階になると、被害者との示談、被害弁償、再発防止の体制づくりが処分を大きく左右します。弁護人を通じて早期に被害者へ謝罪と賠償の意向を伝えられるかどうかが、その後の分かれ目になります。
無免許と知りながら車を貸した人や同乗した人も処罰されますか
処罰の対象になります。無免許運転になることを知りながら車両を提供した人は、運転者と同じく3年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金の対象です。また、無免許運転であることを知りながら運転を要求したり依頼したりして同乗した人は、2年以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金の対象となります。
会社が従業員に無免許での運転を指示していた、あるいは知りながら黙認していたという事案では、雇用主側の責任も問われます。外国人を雇用する会社は、採用時に免許証の有効性を確認する運用を整えておくことが必要です。
家族が逮捕されたと連絡が来たら、まず何をすればよいですか
できるだけ早く弁護人を選任することです。逮捕から起訴・不起訴の判断までは最長で23日間しかなく、その間に本人と面会できるのは原則として弁護人だけです。身元引受書の準備、勤務先との調整、被害者がいる場合の示談交渉は、いずれも時間との勝負になります。
また、取調べは日本語で行われるのが原則で、通訳の質によって供述調書の内容が変わってしまうことがあります。中国語で正確にやり取りできる体制を早い段階で確保しておくことが、後の入管手続でも効いてきます。
当事務所のご案内
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)は、中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護と入管手続を主たる注力分野としています。担当する松村大介弁護士(第一東京弁護士会所属・登録番号59077・2019年登録)が、警察署での最初の接見から検察官との交渉、公判、その後の入管手続に至るまで全工程を直接担当します。事務員や若手弁護士が代わりに対応することはありません。
外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐しており、捜査機関が手配する通訳とは別に、依頼者ご本人のために動く立場の通訳を利用していただけます。取調べで何を話したのか、入管で何を聞かれているのかを正確に把握できる体制です。刑事手続が終わった後の在留資格の更新・変更等については、提携する行政書士とワンストップで対応します。
- 難関とされた在留特別許可を1回の手続で獲得した事例。観光目的で来日した相談者が日本人女性との間に子を授かったものの、在留資格を失い不法滞在で逮捕・起訴された事案です。婚姻と認知の手続が未了で当局から一旦不受理とされたところ、松村弁護士が憲法的な観点から当局と交渉して婚姻・認知を成立させ、入管法違反の刑事裁判を意識した被告人質問・証人尋問を行いました。国籍国発行の公的書類がほとんど存在しない困難な状況下でも有利な証拠を集め、入管当局の過去の許可事例を分析することで、1回の手続で在留特別許可を得ました。
- 強制退去の危機にあった女性を救済した事例。冤罪により不法就労助長罪に問われ、強制退去の危機に瀕した女性の事案です。「退去強制事由には故意・過失を要しない」とされてきた従来の実務に対し、責任主義の射程を問う訴訟を提起して上訴審まで争いました。その後、入管から在留特別許可が認められました。
初回のご相談は無料です。費用は事案に応じてお見積りします。まずは現在の状況を整理するところから、一緒に始めさせてください。
おわりに
無免許運転は、刑事処分そのものは罰金で終わることもある一方で、在留期間の更新、永住許可、帰化といった将来の手続に長く影響します。事故が伴えば刑は一段と重くなり、捜査の過程で在留や就労の問題が明るみに出ることもあります。処分が決まってしまってからでは打てる手が限られますので、警察から連絡が来た段階、あるいはご家族が身柄を拘束された段階で、早めにご相談ください。当事務所では中国語での対応が可能で、刑事手続と入管手続の両方を見通したうえで方針をご提案しています。
なお、本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。また、ここで紹介した過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではありません。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。
覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。
お問い合わせ
舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
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