舟渡国際法律事務所

在留資格のない子どもの就学と将来の在留|学校に通えるのか、進学はどうなるのか、在留特別許可の考え方

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在留資格のない子どもの就学と将来の在留|学校に通えるのか、進学はどうなるのか、在留特別許可の考え方

在留資格のない子どもの就学と将来の在留|学校に通えるのか、進学はどうなるのか、在留特別許可の考え方

2026/08/31

親の在留資格が切れたまま日本で暮らしている。子どもは日本で生まれ、日本語で育ち、中国語はほとんど話せない。学校には通わせられるのか、通わせたことで入管に知られてしまわないか、中学を出た後はどうなるのか。ご家族から寄せられる不安は、どれも子どもの毎日に直結する切実なものです。

この記事では、在留資格のない子どもの就学がどのように扱われているのか、進学や医療はどうなるのか、そして日本で生まれ育った子どもと家族について在留特別許可がどのように考えられているのかを、順を追って説明します。

在留資格がない子どもも学校に通えますか

通えます。公立の小学校・中学校については、外国籍の子どもであっても、保護者が就学を希望すれば受け入れることとされており、在留資格があることは就学の要件とされていません

就学の手続は、住んでいる市区町村の教育委員会が窓口になります。住民登録がない場合でも、居住の実態を説明したうえで相談すれば、受入れについて具体的な案内が受けられることが一般的です。授業料や教科書の取扱いについても、日本国籍の子どもと同様の扱いがされています。

実務上、最も避けたいのは、入管に知られることを恐れて何年も学校に通わせないことです。就学しない期間が長引くと、子どもの学力や日本語の習得だけでなく、後で述べる在留特別許可の検討においても、日本での成育を裏付ける資料が残らないという不利益が生じます。

学校に通わせると入管に知られてしまいますか

学校が児童生徒の在留状況を入管に報告する仕組みが一般的に運用されているわけではありません。教育を受ける機会の保障という観点から、就学の受入れは在留状況とは切り離して扱われてきました。

もっとも、不安を抱えたまま手続を進めるのは負担が大きいものです。心配がある場合は、教育委員会に相談する前に弁護士に事情を伝え、家族全体としてどのような方針を取るのかを整理してから動くほうが、結果として安心して進められます。

健康保険や医療費はどうなりますか

在留資格がない場合、公的医療保険への加入は認められておらず、医療費が全額自己負担となる点が、生活上の最も大きな困難の一つです。

その一方で、次のような選択肢が検討できる場合があります。

  • 無料低額診療事業を行っている医療機関を利用する
  • 予防接種や乳幼児健診など、自治体が住民の健康を守るために実施している事業について、居住の実態を前提に相談する
  • 学校での健康診断を通じて、健康状態の記録を残しておく

体調不良を我慢させることは、子どもの成育にとっても、後の手続で健康上の事情を主張するうえでも望ましくありません。受診した記録は必ず保管してください。

高校への進学や卒業後の進路はどうなりますか

高等学校については、在留資格の有無によって受験や入学の取扱いが一律に決まっているわけではなく、都道府県や学校によって対応が異なります。まずは中学校の進路指導の担当者に相談し、志望校の受入れ状況を具体的に確認することが出発点になります。

その先で現実の壁となるのは、卒業後の進路です。在留資格がなければ、就労も、資格を要する専門的な進路も、制度上開かれません。だからこそ、子どもが中学生・高校生になる前の段階で、家族の在留の見通しについて方針を立てておく必要があります。

日本で生まれ育った子どもに在留特別許可が認められることはありますか

あります。日本で生まれ育ち、日本の学校に通っている子どもとその家族について、一定の要件のもとで在留特別許可を認める方針が示され、実際に許可された例が公表されています。

ただし、これは日本で生まれた子どもがいれば当然に許可されるという趣旨ではありません。子どもの成育状況に加えて、家族の入国・在留の経緯、退去強制事由となった行為の内容、日本での生活の状況などが総合的に判断されます。結果を保証できるものではなく、事案ごとの事情によって結論は大きく異なります。

在留特別許可の判断で子どもの事情はどのように考慮されますか

令和5年の入管法改正により、在留特別許可の判断に当たって考慮すべき事情が入管法50条5項に列挙され、家族関係や在留の状況、人道上の配慮を要する事情などが法律上明示されました。

また、在留特別許可のガイドラインは令和6年3月に改定され、同年6月10日から施行されています。ここでは、本邦の学校に在学していることや、本邦で出生し長期間にわたり生育していることが、積極的に評価される要素として扱われています。他方で、退去強制事由に該当した後に在留が長期化したこと自体は、消極的な要素として扱われる場合があります。

したがって、主張すべきは、単に日本に長くいるということではなく、子どもが日本社会の中で具体的にどのように育ち、何を身につけ、本国に戻った場合に何を失うのかという中身です。

子どもが18歳や20歳に近づくとどうなりますか

子どもの年齢が上がるにつれて、家族としてまとまった判断がされる場面と、子ども自身の事情が独立して評価される場面とが出てきます。就学中であることが重要な要素とされる以上、学校を離れた後は、主張できる事情の内容が変わってくることになります。

そのため、子どもが中学卒業や高校卒業を迎える前に手続を検討することには、時期としての意味があります。時間が経てば有利になるという性質のものではありません。

家族としていま準備しておくべきことは何ですか

日本での成育と生活の実態を、客観的な資料として残しておくことが何より重要です。次のようなものが手がかりになります。

  • 在学証明書、通知表、出席状況が分かる書類、学校行事の記録
  • 担任教師や部活動の顧問、学習支援に関わった方が作成した陳述書
  • 母子健康手帳、予防接種の記録、受診歴が分かる書類
  • 日本語で書いた作文や日記など、子ども自身の言葉が残るもの
  • 地域の行事への参加、近隣の方や支援団体との関わりを示す資料
  • 親の就労状況、家計の状況、住居の状況が分かる資料

これらは後からまとめて集めることが難しく、時間の経過とともに散逸します。手続を始めるかどうかを決める前の段階から、記録を残し始めてください。

当事務所のご案内

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)は、中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護と入管手続を主たる注力分野としています。担当する松村大介弁護士(第一東京弁護士会所属・登録番号59077・2019年登録)が、警察署での最初の接見から検察官との交渉、公判、その後の入管手続に至るまで全工程を直接担当します。事務員や若手弁護士が代わりに対応することはありません。

外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐しており、捜査機関が手配する通訳とは別に、依頼者ご本人のために動く立場の通訳を利用していただけます。取調べで何を話したのか、入管で何を聞かれているのかを正確に把握できる体制です。刑事手続が終わった後の在留資格の更新・変更等については、提携する行政書士とワンストップで対応します。

  • 難関とされた在留特別許可を1回の手続で獲得した事例。観光目的で来日した相談者が日本人女性との間に子を授かったものの、在留資格を失い不法滞在で逮捕・起訴された事案です。婚姻と認知の手続が未了で当局から一旦不受理とされたところ、松村弁護士が憲法的な観点から当局と交渉して婚姻・認知を成立させ、入管法違反の刑事裁判を意識した被告人質問・証人尋問を行いました。国籍国発行の公的書類がほとんど存在しない困難な状況下でも有利な証拠を集め、入管当局の過去の許可事例を分析することで、1回の手続で在留特別許可を得ました。
  • 強制退去の危機にあった女性を救済した事例。冤罪により不法就労助長罪に問われ、強制退去の危機に瀕した女性の事案です。「退去強制事由には故意・過失を要しない」とされてきた従来の実務に対し、責任主義の射程を問う訴訟を提起して上訴審まで争いました。その後、入管から在留特別許可が認められました。

初回のご相談は無料です。費用は事案に応じてお見積りします。まずは現在の状況を整理するところから、一緒に始めさせてください。

おわりに

在留資格がないという状況は、子ども自身が選んだことではありません。就学の道は開かれており、日本での成育の実態は、その後の在留の検討において重要な意味を持ちます。学校に通わせないまま時間が過ぎることは、子どもにとっても、家族の将来にとっても失うものが大きいといえます。まずは記録を残すことから始めてください。

舟渡国際法律事務所では、中国語の通訳を交えてご家族全体の状況を伺い、就学や医療に関する当面の対応、在留特別許可の申請に向けた資料の整理、手続を始める時期の見極めまで、状況に応じたご案内をしています。なお、本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。また、ここで紹介した過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではありません。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。

覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

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ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

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