舟渡国際法律事務所

神熙玲先生との思い出 Netflix「地獄に堕ちるわよ」を観て

お問い合わせはこちら

神熙玲先生との思い出 Netflix「地獄に堕ちるわよ」を観て

神熙玲先生との思い出 Netflix「地獄に堕ちるわよ」を観て

2026/06/22

 弁護士になる前のことである。2011年から10年間、私は神熙玲先生の最後の直弟子として、先生のもとで占術を学んだ。

 きっかけは、その数年前にさかのぼる。2004年ごろ、世はいわゆる六星占術と細木数子のブームに沸いていた。私はその渦中で、溝口敦氏の「魔女の履歴書」を手にした。記された事柄の真偽はともかく、私の心に強く残ったのは、細木数子その人ではなかった。貧困の時代から伝説の占い師へと身を起こす、その転換点に立っていたとされる神熙玲という人物である。いったい何者なのだろう。その問いが、長く頭の片隅に残り続けた。

 

 そして2011年、私はとうとう神熙玲先生のもとを訪ねた。ところが、伺っていた住所に行ってみると、先生はすでに転居された後であった。それでも私は諦めきれず、周辺で何度も聞き込みを重ね、ようやく先生に巡り合うことができた。今になって振り返っても、あのときの自分の取材力には、我ながら驚かされる。そうして個人鑑定を受け、その場で入門を願い出た。以来10年、私は先生の最後の直弟子として、真理占星学を学ぶことになる。


 真理占星学とは、算命学や0学占いといった東洋系の占術を統合し、先生が独自に体系づけられたもので、生年月日を基準として森羅万象を読み解く占術である。


 思えば、足を運んで人を捜し、話を聞いて回るというあの営みは、今の弁護士の仕事にも通じている。事実を一つひとつ確かめ、関係者から丹念に話を聞き取る取材は、弁護士業務の根幹をなすものである。先生を捜し当てたあの日から、粘り強く食らいついていく姿勢だけは、私のなかで少しも変わっていない。


 先生に細木数子の話を向けると、決まって少し顔をしかめられた。それでも、問わず語りに、さまざまなことを教えてくださった。


 著書「人間の器」を執筆された契機も、そのひとつである。細木数子が、神熙玲先生との出会いを世間に隠していた。その事実を正したい、真実を世に明らかにしたい。それが筆を執った理由だと話された。


 島倉千代子さんの話も忘れがたい。島倉さんが細木数子と決別したその日、駆け込んだ先は、ある医院であった。院長から呼ばれて先生が駆けつけると、島倉さんは部屋の隅でおびえ、震えていたという。島倉さんからすれば、神熙玲先生もまた細木数子の側の人間に見えたのだろう。だから、ただ怖かったのだ、と先生は語られた。


 後年、先生が携帯サイトを運営しておられたときのことも教えてくださった。運営会社が「細木数子六星占術の師匠」という広告表示を出したところ、細木数子事務所から抗議文書が届いた。先生は秘書を通じて、「神熙玲先生は細木数子氏との直接対決を希望しております」と返された。すると、それきり、先方からの連絡は途絶えたという。


 先生は、ご自身の生き方についても、折に触れて静かに語られた。「占い師は陰の存在だから、表に出るべきじゃない」。そして、「人の評価は自分で言うものではなく、他人から与えられるもの。私はそれでいい」。その言葉のとおりに、先生は最後まで、自ら表舞台を求めることはなかった。
真理占星学を学んで痛感したのは、マスコミで公表されている占いの多くが、簡略化されすぎていて、占いの真髄にはおよそ届いていないということである。テレビや雑誌で目にする占いは、入口にすぎない。その奥には、生半可な気持ちでは到底立ち入れない、深く広い世界が広がっていた。


 免許皆伝を受けた後も、私は学びを止めなかった。大石眞行先生、雨宮零先生をはじめ、幾人もの先生方から種々のご指導を受けてきた。ひと口に占いといっても玉石混交であるが、真面目に研鑽を積まれた占いの先生方の実力は、本当にすごい。なぜこれほどまでに当たるのか。その問いの前に、ただ頭が下がる思いしかない。


 そもそも占いとは、古代の人々が自然の法則を見つめ、そこに神の意志を見出して、体系づけたものである。そして、その営みはやがて、「人はどう生きるべきか」を問い、指し示すものへと発展した。世に霊感商法などと取り沙汰されるたぐいのものは、到底占いとは呼べない。それらは、本来の占いとは明確に区別されるべきものである。


 その根底にあるのが、人間小宇宙論という考え方である。広大な天体、すなわち大宇宙に働く法則は、そのまま一人の人間という小宇宙のうちにも映し出されている。人もまた、星々を貫くのと同じ理によって動く、ひとつの小さな宇宙にほかならない。だからこそ、人が生まれ落ちたその時の天の配り、すなわち生年月日を読み解けば、その人の本質と、運命の流れを知ることができる。真理占星学が生年月日を基準として森羅万象を占うのも、まさにこの一点に拠っているのである。


 高尾義政先生、御射山宇彦先生から、私が直接にご指導を受けたわけではない。これらは、いずれも神熙玲先生を通じて伝え聞いた教えである。まず、算命学を体系づけられた高尾義政先生は、「人間の価値は、時代と社会が決める」と説かれた。そして、「人間は、与えられた役目に従って生きるべきである」とも。自らの価値を自ら誇るのではなく、おのれに与えられた役目を静かに見定め、それを全うする。その姿勢は、「人の評価は自分で言うものではなく、他人から与えられるもの」と語られた神熙玲先生のお言葉とも、深いところで通じ合っている。
ま た、0学を創始された御射山宇彦先生は、「運命は相性によって形成され、時間がそれを決定する」と説かれた。人の運命は、他者との相性のなかで形づくられ、時の流れが、その帰趨を定めていくというのである。そして、世に広く知られる0学占いの運命グラフは、その表層にすぎない。一本の曲線として描かれるその背後には、深遠な易の解釈が横たわっている。表に現れたかたちの奥に、底知れぬ世界が広がっているのである。これらの教えもまた、神熙玲先生のお話を通じて、私の胸に深く刻まれた。


 Netflixの「地獄に堕ちるわよ」を観ながら、私はずっと神先生のことを思い出していた。画面に映るのは細木数子の生涯だが、その物語の陰に、確かに先生の面影があった。


 神熙玲先生は、私の運命を変えてくださった恩師である。弁護士となった今も、その思いはいささかも変わらない。先生に出会えたことを、私は今も、心から幸運だと思っている。

 

 末筆ながら、私を直接この道へと導いてくださった神熙玲先生、大石眞行先生、雨宮零先生、占いの深淵を指し示してくださったすべての先生方に、心より御礼を申し上げる。先生方から授かった教えは、占術の枠にとどまらず、私が弁護士として、また一人の人間として、どう生きるべきかを、今も静かに照らし続けてくれている。

----------------------------------------------------------------------
舟渡国際法律事務所
住所 : 東京都豊島区高田3丁目4-10布施ビル本館3階
電話番号 :050-7587-4639


----------------------------------------------------------------------

当店でご利用いただける電子決済のご案内

下記よりお選びいただけます。