舟渡国際法律事務所

薬物事件で有罪になると強制送還される|執行猶予でも実刑でもアウト、外国人が在留資格を守る唯一の道

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薬物事件で有罪になると強制送還される|執行猶予でも実刑でもアウト、外国人が在留資格を守る唯一の道

薬物事件で有罪になると強制送還される|執行猶予でも実刑でもアウト、外国人が在留資格を守る唯一の道

2026/06/22

薬物事件で有罪になると強制送還される|執行猶予でも実刑でもアウト、外国人が在留資格を守る唯一の道

はじめに

「家族が薬物の事件で逮捕された。これから日本に居られなくなるのか」――そうした不安を抱えて、このページにたどり着いたご家族・ご友人の方は少なくありません。報道では、覚醒剤や大麻をめぐる外国人の事件が連日のように伝えられています。

外国人の薬物事件には、日本人の事件とは決定的に異なる落とし穴があります。それは、刑が軽くても、執行猶予が付いても、原則として日本から退去を強制されてしまうという点です。本記事では、どの薬物・どの罪が退去強制の対象になるのかを具体的に整理したうえで、在留資格を守るために何が決定的に重要かを、外国人刑事弁護に注力する弁護士の立場から解説します(本記事は2026年6月時点の法令に基づきます)。

退去強制事由となる「薬物犯罪」とは――対象となる薬物と法律

入管法24条4号チは、薬物関係の法令に違反して有罪の判決を受けた外国人を、退去強制事由として定めています。ここでいう薬物関係の法令と、規制の対象となる主な薬物の種類は、具体的には次のとおりです。

  • 覚醒剤取締法――覚醒剤(メタンフェタミン、アンフェタミン。俗に「シャブ」「エス」「アイス」などと呼ばれるもの)
  • 麻薬及び向精神薬取締法――麻薬(コカイン、ヘロイン、モルヒネ、MDMA、LSD、マジックマッシュルームに含まれるシロシビン等)、および向精神薬(睡眠薬・抗不安薬等の一部の不正な取扱い)
  • 大麻――2024年12月12日施行の法改正により、大麻および有害成分THCは「麻薬」として位置づけられ、所持・譲渡・使用は麻薬及び向精神薬取締法で規制されます。新たに使用罪が設けられ、単純所持の法定刑も7年以下の拘禁刑に引き上げられました。大麻草の栽培は「大麻草の栽培の規制に関する法律」(旧・大麻取締法)で規制されます
  • あへん法――あへん、けしがら等
  • 麻薬特例法(麻薬及び向精神薬取締法等の特例法)――規制薬物の不正取引のあおり、薬物犯罪収益の取扱い等

行為の類型としては、所持、使用、譲渡し・譲受け、輸入・輸出、栽培、そして営利目的の各類型がいずれも対象となります。これらの薬物に関し有罪判決を受ければ、刑の重い軽いを問わず、退去強制の対象となりうるのが原則です。

なお、いわゆる危険ドラッグ(指定薬物)は、医薬品医療機器等法(薬機法)で規制されており、入管法24条4号チが列挙する薬物関係法令には含まれません。もっとも、その場合でも、1年を超える拘禁刑に処せられれば、別の退去強制事由(同号リ)に該当しうる点には注意が必要です。

なぜ執行猶予でもアウトなのか――入管法24条4号チの構造

「執行猶予が付いたのだから、刑務所に入らずに済む。日本にも居られるはずだ」――これは外国人事件で最も多い誤解の一つです。

退去強制事由のうち、入管法24条4号リ(無期又は1年を超える拘禁刑に処せられた者)には、刑の全部の執行猶予を受けた場合を除く、という除外規定があります。ところが、薬物犯罪を対象とする同号チには、こうした除外規定がありません。つまり、薬物事件では、執行猶予判決であっても、さらにいえば罰金や刑の免除であっても、有罪判決を受けた以上は退去強制事由に該当しうるのです。実刑であればなおさらです。

刑事裁判で執行猶予を勝ち取ることを最終目標と考える弁護活動では、この落とし穴を防げません。入管法24条各号の構造を正確に把握しないまま「執行猶予が付けば大丈夫」と説明することは、結果として依頼者の在留資格の喪失・強制送還につながりかねない重大な弊害をもたらします。

「不起訴処分」だけが在留資格を守る

以上の構造から導かれる結論は明快です。薬物事件で在留資格を守るには、そもそも有罪判決を受けないこと、すなわち起訴前の段階で不起訴処分(起訴猶予・嫌疑不十分・嫌疑なし)を獲得することが、ほぼ唯一の確実な道だということです。

したがって、外国人の薬物事件の弁護活動は、執行猶予の獲得ではなく、起訴前段階からの不起訴処分の獲得を最優先目標として組み立てる必要があります。具体的には、逮捕・勾留の早い段階から、所持や使用の故意の有無、薬物であることの認識可能性、営利目的の不存在、違法な捜査の有無などを精査し、検察官に対して不起訴を求める意見書の提出や面談を重ねていきます。

初動対応で押さえておきたい3つのポイント

ご家族が逮捕されたとの知らせを受けたら、勾留が決まるまでの最初の72時間が特に重要です。次の3点を意識してください。

  • 黙秘権の行使――取調べに不用意に応じないこと。薬物事件では、認識や入手経路に関する供述が後の処分を大きく左右します
  • 早期の弁護人選任――当番弁護士制度や私選弁護人の選任により、できる限り早く弁護人を接見に向かわせること
  • 経験ある通訳の確保――捜査機関が指定する通訳の訳出のニュアンスが、供述調書に不利な形で残る危険があります。依頼者本人のために動く通訳の確保が結果を左右します

それでも有罪になってしまったら――在留特別許可申請と比例原則

万一、有罪判決を受けて退去強制手続に進んでしまった場合でも、そこで諦める必要はありません。退去強制手続の中で、法務大臣(その委任を受けた入管当局)に対し、在留特別許可(入管法50条)を求める道が残されています。令和5年改正入管法(令和6年6月10日施行)により、在留特別許可で考慮すべき事情が法律上明示されました(入管法50条5項。在留を希望する理由、家族関係、素行、入国の経緯、在留期間、人道上の配慮等)。

ここで当事務所が重視するのが、比例原則と平等原則に基づく主張です。比例原則の観点からは、違反態様(たとえば自己使用目的の少量の所持か、営利目的の大量所持か)の軽重と、退去強制によって失われる利益(日本人配偶者や日本で就学する子との家族関係、長年築いた生活基盤等)の重大さとを対比し、退去強制という最も重い処分が、達成しようとする目的との関係で均衡を欠くことを論じます。

平等原則(憲法14条1項)の観点からは、出入国在留管理庁が過去に公表してきた許可事例を年度横断的に分析し、本件と同種の事情について許可された先例があることを示したうえで、本件についてのみ不許可とすることは合理的な理由のない別異取扱いであると主張します。これらは行政の広範な裁量を理由に片付けられがちな場面ですが、憲法に立ち返って裁量の限界を問う姿勢が重要だと考えています。

さらに、当事務所では、退去強制事由の判断にあたって行為者の故意・過失を要件としてこなかった従来の入管実務に対し、責任主義の射程は行政処分にも及ぶべきではないかという論点を正面から問う訴訟を、現在係争中です。刑事事件の段階から故意・過失を徹底して争っておくことが、後の入管手続における主張の基礎にもなります。

当事務所のご案内と解決事例

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)の松村大介弁護士は、中国籍の方を中心とする外国人の刑事弁護・入管手続に注力してまいりました。薬物事件と在留に関わる解決事例として、次のようなものがあります。

  • 覚醒剤取締法違反(営利目的所持)で起訴された依頼者について、徹底した証拠分析と被告人質問・反対尋問を通じて無罪判決を獲得した事例。営利目的の薬物事犯は法定刑が重く、執行猶予の獲得すら容易でない類型ですが、捜査の違法性や所持・営利目的の故意の不存在を丁寧に主張立証することで、結果を覆せる場合があります
  • 在留資格を喪失し不法滞在で起訴された依頼者について、入管当局と交渉し、過去の許可事例を分析することで、難関とされる在留特別許可を一度の申請で獲得した事例
  • 冤罪により不法就労助長罪に問われ強制退去の危機に瀕した依頼者を救済すべく、退去強制事由にも故意・過失が必要ではないかという論点を、責任主義の射程の問題として問う訴訟を係争中の事例

当事務所の最大の特徴として、松村大介弁護士が接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当いたします(事務員・若手弁護士による代行を行いません)。また、外国人事件に精通した中国語専属通訳が常駐しており、捜査機関が指定する通訳とは別に、依頼者ご本人のために動く立場の通訳を、刑事手続全般にわたってご利用いただけます。刑事手続終了後の在留資格の更新・変更等についても、提携の行政書士と連携してワンストップで対応いたします。

結語

薬物事件は、外国人にとって、刑の軽重そのもの以上に、在留資格を失うかどうかという一点で人生を左右します。だからこそ、執行猶予を目指す発想ではなく、起訴前の不起訴処分の獲得を最優先に据えた、入管手続まで見据えた一貫した弁護活動が必要です。早い段階でのご相談が、選択肢を大きく広げます。

本記事は一般的な解説であり、個別の事案については弁護士に直接ご相談ください。また、ここで紹介した過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。覚醒剤取締法違反(営利目的所持)での無罪判決獲得、特殊詐欺事案での不起訴処分獲得、難関とされた在留特別許可の獲得等の解決実績を有する。

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网站:https://matsumura-lawoffice.jp/

微信ID:matsumura1119

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